007 スカイフォールのレビュー・感想・評価
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最凶の敵!(007㉓)
ボンドにボンドらしさを戻しつつも、かつてない展開
6代目ジェームズ・ボンド=ダニエル・クレイグの最終作がやっと公開されたので、彼の過去作を復習鑑賞(その3)。
完全オリジナルストーリーで、前作の直接的な続編ではないが、MI6内部に敵が潜入できるという前作が示した脆弱性を引き継いでいる。
ボンドガールがいない…とも、M(ジュディ・デンチ)が本作のボンドガールだ…とも言われているが、トルコの名もない女、敵の情婦(ベレニス・マーロウ)、そして恐らくエージェント=イブ(ナオミ・ハリス)の3人の女性とボンドは関係を持つ。
ヴェスパーのことは吹っ切れたようで、なによりだ。
シリーズ50周年記念作品として一大キャンペーンが張られた本作は、見事にシリーズの興収記録を更新した。
MI6の本部が襲われるという異色の設定で、Mのかつての部下シルヴァ(ハビエル・バルデム)が疑似母Mを逆怨みする強敵として現れる。前作の弱みだったヴィランに、本作では不気味さと怖さが戻った。
ボンドにもウィットが戻っていて、シリーズの原点へのオマージュも見られる。
サム・メンデス監督の画作りが美しく、アクションだけではなく芸術点も高い。
オープニングシークェンスは、味方から奪われた「リスト」を追ってイスタンブールの街中で派手なチェイスを繰り広げる。屋根の上をバイクで走るシーンはダニエル・クレイグがノースタントで演じているように見える。どういう仕掛けなのだろう。
敵のシルヴァとボンドはMを挟んで抗争関係となるのだが、ボンドと関係を持った情婦は無惨にもシルヴァの手によって殺されてしまう。
シルヴァは、間男のボンドを殺すのではなく女の方を殺すのだが、そこには「ボンドを寝盗った女」に報復するというホモセクシャルの匂いがする。
ボンドは、関係の深い女の死には感傷的になる一方で、そうでもない女には分かりやすいほどあっさりしている。かつて初期作品が女性蔑視だと糾弾されたことがあるが、それは当時の時代性を考慮して問題視されなかった。しかし、今の時代、これを「クール」と解釈するのだろうか…
わざと捕らえられたシルヴァは、レクター博士のように監禁された状態でMとの面会を果たす。
そしてシルヴァは簡単に脱出してしまうのだが、監視員たちが殺されているのにすぐ近くにいた職員たちは気づかなかったのだろうか。
それを追うボンドとの追跡劇がスリリングに展開し、地下鉄を使ったスペクタクルが前半の山場だろう。
「スカイフォール」とは何なのかよく分からないが、そこにボンドがかつて暮らしていた家があることは分かった。いわゆるボンドの故郷なのだろう。
初代ボンドから受け継いだ(という説明はないが)アストンマーティンを駆って、ボンドはMを連れて故郷に逃げ込む。そこでシルヴァを迎え撃つ算段だ。
初代のアストンマーティンだから、仕込み機関銃が活躍する。
荒野のポツンと一軒家での銃撃戦へとなだれ込むのだが、敵を迎え撃つのは管理人のジイサンとMとボンドの3人で、巻き込まれた管理人は気の毒だ。
戦いは長期化し、敵の大将シルヴァが登場する頃には辺りは暗くなっていく。
この、陽が落ちかけてから夜の暗闇に至る時間帯の映像が、特段に美しい。
そして、凍った湖(そんなに寒そうではなかったのに)を使ったスリルがあって、いよいよ決着の一騎打ち…となるが、意外とあっさりシルヴァを倒す。
また、このエピソードも悲劇で幕を閉じる。
そして後日譚でMが襲名制であることが判るのだった。
007最高作
やっぱりQが良かった。
そ、そんなにいいのか。。。
転回期となるテーマ
【過去】
ジェームズ・ボンドの過去、Mの過去が、シルヴァの過去と交錯して物語は展開する。
「スカイフォール」は、序盤から意外な展開だが、諜報やアクション以外でも、伏線が示されたり、ジェームズ・ボンドの過去が、ヴェスパーの分析と合致しているのかなど、「カジノ・ロワイヤル」を振り返って、変な意味、ノスタルジックな楽しみ方もある作品になっていると思う。
ロンドンのナショナル・ギャラリーの、印象派にも影響を与えた英国人画家ターナーの「戦艦テレメール号」の前で、ジェームズ・ボンドは、Qから銃と発信機を受け取る。
この絵は、1805年、スペインとのトラファルガーの海戦で活躍したテレメール号が、老朽化で解体される直前の曳航される場面を描いたものだ。
このトラファルガー海戦の勝利をきっかけにイギリスは太陽の沈まない大英帝国への道を歩むのだが、今やイギリスは、そうした世界的な影響力は衰え、更に、現代社会の進化で、諜報活動もスパイも、無用の長物になりかけているのではないかということを示唆し、それは、ジェームズ・ボンドやMの葛藤にもなっている。
これは次回の「スペクター」にも引き継がれるテーマでもある。
そして、上海のビルから垣間見えるモディリアーニの「扇子を持つ女」。
これは、2010年5月20日、パリの近代美術館から、ピカソやマチスの作品と一緒に盗難にあった作品で、未だ行方不明になっているものだ。
これが上海にあったというところも、実は、中国が台頭した世界情勢の変化を表しているのだ。
自分自身の衰えと、過去に絡んだトラウマ。
世界情勢の変化や技術の進化のなかにあって、諜報活動はどうあるべきかという葛藤。
それでも前に進もうとするジェームズ・ボンドと、Mに対して、過去に執着して復讐を目的に生きるシルヴァ。
様々な対比が織り込まれる。
この「スカイフォール」は、こうしたフレームワークとアクションがシンクロした傑作になっていると思う。
また、冒頭でジェームズ・ボンドと格闘し、上海のビルから転落するパトリスは、得体が知れないことから、ゴースト(亡霊)と呼ばれる存在で、次回作のタイトル「スペクター」も亡霊という意味であることから、諜報員や、その組織も亡霊のような存在なのかという示唆も感じられる。
「スカイフォール」では、「カジノ・ロワイヤル」でヴェスパーが分析したジェームズ・ボンドの為人(ひととなり)が凡そ的を得ていたことが明らかになるが、次回作「スペクター」では、ジェームズ・ボンドのトラウマと、Mがスカイフォールに向かう途上、諜報員には家族がいない方が良いと言ったことに対して、ジェームズ・ボンドが暗い表情をしたことの意味も明らかになる。
序盤のチェイスが一番面白いかも・・・
男はみなマザコン
ジェームズ・ボンドの特徴をよく活かして、国に対する忠誠心=Mに対する忠誠心みたいな一種のマザコンとさえ思えてしまう。一方で強敵ミスター・シルヴァ=ティアゴ・ロドリゲス(ハビエル・バルデム)にしても、MI6やMを恨み続けて復讐を図ろうとしている。元エージェントなだけにコンピュータには軽々侵入できるし、組織本部を爆破したり引っ越し先まで予測しているほど内部に精通している。入れ歯を取ったときの顔の歪みはちょっとホラー映画みたいだった。
オープニングのエピソードではパトリスという強敵もいたのだが、列車上での格闘の末、ボンドは生死をさまようほど痛手を被り、受けた銃弾の痕にはウランが検出って・・・よくぞ復活してくれたよ!ボンド最強説。試験は不合格だけどね・・・
上海、マカオと緊迫する場面も続くが、圧巻は廃墟マニアも大喜びしそうな長崎県・軍艦島でのシルヴァの隠れ家。さらにジェームズ・ボンドの過去にも肉薄する今作。スカイフォールの意味さえ謎めいていたが、後半にはスコットランドの故郷の地名だとわかる。Mを囮としてシルヴァをおびき出し、その間要塞と化していくのだ。
スカイフォールでは銃撃&爆破、爆破、爆破。大掛かりで金もかかってそうなのに、前作『慰めの報酬』の予算の半分なんだとか。この重厚さはやっぱり監督の腕なのだろうか、それとも重いストーリーに騙されたからなのか、アデルの主題歌が良かったことも加味して心に残るボンド作品になりそう。というか、Mはマザー?エマって誰?と、スカイフォールの番人キンケイド(アルバート・フィニー)の過去も知りたくなってくる。そしてMが・・・さらにマネーペニーが・・・と、若きQの登場以上にラストにも驚かされました。
エンタメとはかけ離れたボンド作品。そうなったのもシルヴァの目的はMを単純に殺すことにあったのではなく、“過去の罪を思い出させて”から殺すというものだったから。狂ったマザコン。そしてボンドにもそれを味わわせようと苦しめる様子。多くのエージェントを殺していく展開も、ひょっとしたら、Mを独り占めしたかったからではないのか?などと感じてしまった。
地味でシリアスなのに大好きな007
アクションましまし
終わりの始まり
ボンドはスーパーヒーローではない。
痛みを伴い過去を引きずり、やがて老いる。
そこが素晴らしい。
この辺りからダニエルクレイグ版は最後か?と言われてた
気がする。次回作スペクターで最後だと言うから
映画館に観に行ったら、また次もあるそうだ。
なので、今作からダニエルクレイグ版終盤3部作となると
思う。
M然り老いと言う言葉がキーワードになっている。
しかし、ただ老いるだけじゃなく若い世代のMI6が登場し
Qと言う相棒を得て、作品としては若返ってるから凄い。
敵も前作の小物感漂う相手じゃなくて
ハビエルバルデムだから、観ててゾクゾクする。
老いたとは言ってもバリバリ体は動いてるのでアクション
も見応え充分。
クライマックスは老人版ホームアローンって感じで
面白かった。
MはMOTHERのM。
男はいつまで経っても子ども。
ターナーとモジリアーニ
【23作目】スカイフォール
ダニエル・クレイグ版ボンド初鑑賞。思っていたより違和感も問題無く、寧ろこちらのワイルド感があるボンドの方がしっくりくる。
衝撃のイントロから、ラストまで釘付け。過激なアクションはだいぶ少なめだが、ストーリーでしっかり魅せてくれる。
紳士的で色気がある過去作からのボンドというよりは、引退間近で少し疲れが見える"過去のスパイ"の位置付け。
本作の敵シルヴァがボンドと重なる部分、スパイになる哀しい生い立ちを含めての、圧倒的なサスペンスを楽しむ形。お互いの心理戦、読み合いの脚本がとにかく秀逸で息を吐かせない。そして、驚きのラストから、次作へしっかりと"信念"も引き継がれて。
『娯楽』としても『作品』としても、物凄いクオリティの高い完成度に感服。今後の続編にも期待。
期待が大きすぎた
上海やマカオのシーン、 ロンドンの地下鉄でのシーン、 終盤のスコットランドの古城でのシーンなどはあまりワクワク感はなかった。 人気シリーズなのだからもっと面白い脚本を書いてほしいと願う。
BS-TBSで映画「007 スカイフォール」を見た。
8年前に劇場でも見たのだが、今回TVで放映されていた。
劇場公開日 2012年12月1日
2012年製作/143分/G/アメリカ
原題:Skyfall
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
サム・メンデス監督47才
ダニエル・クレイグ44才
ジュディ・デンチ78才
ハビエル・バルデム43才(ペネロペ・クルスの夫)
ナオミ・ハリス36才
いちばんの見どころは冒頭のオートバイでのチェイスシーン。
強い相手にてこずるジェームズ・ボンド。
最終的には逃げられてしまう。
上海やマカオのシーン、
ロンドンの地下鉄でのシーン、
終盤のスコットランドの古城でのシーンなどはあまりワクワク感はなかった。
人気シリーズなのだからもっと面白い脚本を書いてほしいと願う。
この作品でジュディ・デンチは殉職。
レイフ・ファインズが新しい「M」となる。
満足度は5点満点で3点☆☆☆です。
ジェームズ・ボンド 新起動(ジェネシス)
このタイトルはターミネーターの5作目からの言葉です。
そんなことより、現在、007 の最新作がこの冬公開予定だったというとことで、007 のダニエル・グレイヴ版を1作目から観ている最中です。
感想
ダニエル・グレイヴ版では最高傑作ではないかと思いました。いろんな名作から美味しい要素を抜き取り、往年の007 のお箱ストーリーと織り交ぜて描くその様はまさに新起動という感じ。
ダークナイト、ダークナイト・ライジングの様な立場的落ち込み、そして、そこからの立ち上がり。そして、無自覚な罪が産む最強の悪(ジョーカー=シルヴァ)。ラストはボンドの古郷(原点)での戦いを経ての物語的な次世代への継承。
素晴らしいと思います。何より満足なのが今作のボンドガールポジションがなんとあのMだということです。これまで、保護者の様な目で上官として主に厳しく、稀に優しく、スパイとしてのあるべき道を示してきた彼女が、まさかのボンドとの冒険の相棒役!コレは驚きました。彼女の横暴さには時々苛立ちを覚えていたので、ボンドガールらしい苦悩を観て逆に安心しました。
美術面でも時折りブレードランナーを思わせるカラフルで美しいセットが多数出てきてそこも新しいと思いました。
総評
007 らしい物語展開への原点回帰に興奮し、昨今の作風からオマージュも楽しめる美味しい作品。
前作、慰めの報酬で少し観るモチベーションが下がっていましたが、今作で一気に次作へのモチベーションが上がりました。
駄作。ちょっと酷い。
今回の007のミッションは、謎の敵に奪われた味方のリストを奪い返すこと……のはずですが。
最後までリストは奪い返せていません。
リストの無害化や回収完了の確認も行っていません。
そして、ボンドが守ると誓った人は結局守れず死んでしまいます(しかも二人とも)。
これでミッション完了と言えるのでしょうか。
謎の敵は映画が始まって早々に「唇の分厚い男」と確定したようです。
確認作業もなにもなし。ストーリーのご都合なのでしょうけど。
この「唇が分厚い男」の演技は、バットマン・ダークナイトの二番煎じにしか思えず陳腐。
このストーリーであれば、早々に登場した悪党の背後に本物の悪党の親玉がいる……というのが映画というものだと思いますが。
はっきり言って、ただただ銃器をぶっ放すだけの2時間半。
退屈な作品でした。
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