007 スカイフォール : 映画評論・批評

007 スカイフォール

劇場公開日 2012年12月1日
2012年11月27日更新 2012年12月1日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー

ボンド映画の存在意義を問う、“屈折した家族”MI6の崩壊と再生劇

007シリーズに新たな生命を吹き込んだダニエル・クレイグの無骨なボンド像とは、過激なファイターであり、非情なスペシャリストであり、その反面、人間的な弱みをひた隠すセンチメンタリストだ。複雑な内面を抱える彼が、半世紀の長きに渡るスパイ活劇の伝統の重みと疲れを引き受けるかのようにしてミドルエイジ・クライシスに陥り、自分探しを迫られる。冷戦の遺物である工作員に大義はあるか。デジタル万能時代における身体能力とは何か。男尊女卑のイコンは生き残れるのか。サム・メンデスは、正義の在り処とヒーローの居場所を探りつつ、ボンド映画が作り続けられる意味を自問自答する。

強敵シルバは世界征服など眼中にない。情報局MI6の内情に精通する彼の狙いは、ボンドの女性上司M。権威の象徴をママと呼んで怨念をたぎらせる悪は、国家の歪な落とし子であり、黒々としたもうひとりのボンドだ。憎まれ口を叩きながらもMに従う不肖の息子ボンドとシルバの三角関係は、ボンドガールならぬボンドマザーをめぐる修羅場と化す。1995年以来、Mを演じてきたジュディ・デンチがテニスンの詩を引用し、運命に翻弄されて弱りきった正義の存在意義を訴える演説が胸に迫る。

アストンマーチンDB5の登場はセルフオマージュを超え、ボンドが出自をたどる旅の一環だ。スコットランドへと舞台を移してからは撮影監督ロジャー・ディーキンスの腕が冴えわたり、曇天の英国原風景で繰り広げられる決闘は息を呑む。本質を見失わないために大胆に変わる。サム・メンデスの起用は吉と出た。古色蒼然たるMI6を家に見立て、屈折した家族の崩壊と再生を描く“イングリッシュ・ビューティー”を経て、007は振り出しに戻る。

清水節

関連コンテンツ

特集

《シリーズ製作50周年記念作》に相応しい“ドラマ”と“アクション”! 「007 スカイフォール」は、ウワサ通りの傑作だった──
特集

本国イギリスをはじめ世界25カ国で先行公開されるや、そのすべての国で初登場No.1を記録。イギリスでは、「ハリー・ポッターと死の秘宝 Part2」を抜いて公開7日間の歴代1位の記録を達成。全米では007シリーズ最大のオープニング記録を...特集

関連ニュース

関連ニュース

フォトギャラリー

DVD・ブルーレイ

007/スカイフォール[Blu-ray/ブルーレイ] 007/スカイフォール[DVD] 007 スペクター[Blu-ray/ブルーレイ] ドラゴン・タトゥーの女 デラックス・コレクターズ・エディション[Blu-ray/ブルーレイ]
007/スカイフォール[Blu-ray/ブルーレイ] 007/スカイフォール[DVD] 007 スペクター[Blu-ray/ブルーレイ] ドラゴン・タトゥーの女 デラックス・コレクターズ・エディション[Blu-ray/ブルーレイ]
発売日:2013年8月2日 最安価格: ¥1,000 発売日:2013年8月2日 最安価格: ¥1,000 発売日:2016年12月21日 最安価格: ¥1,000 発売日:2012年6月13日 最安価格: ¥4,098
Powered by 価格.com

映画レビュー

平均評価
3.7 3.7 (全169件)
  • すべての映画レビュー
  • 映画レビューを書く
このページの先頭へ

最近チェックした履歴

映画の検索履歴

他の映画を探す

映画館の検索履歴

他の映画館を探す

特別企画

新作映画評論

新作映画評論の一覧を見る
Jobnavi