「園子温、やるじゃんよぉ~!」ヒミズ トコマトマトさんの映画レビュー(感想・評価)
園子温、やるじゃんよぉ~!
昨年、試写会で見た時、ラストシーンでは涙が出た。
私は、今は職業的に映画を見る立場でなく、時々時間が空いた時に、試写室をのぞくという程度で、年間30本ほどしか映画を見ていない。
そんな、50男を感動させる内容がこの作品にはあった。
ベネチア国際映画祭で主演の若手2人が新人賞を取ったというのも、うなずける、「力」と「熱」のある作品だ。
大震災の被災地にいち早く入り、それを映像化して、作品に反映させている園監督のあざとい、とも言える手腕は評価したい。
そういうことを映像作家、商業映画を撮る監督、演出家の中で何人が実現できたのか?
報道取材が優先される中、おそらく徒手空拳で撮ったという印象も受ける被災地のシーン。それが映画の中でも効果的に生きている。
ベネチアでこれを見て、それだけでガツンと感じさせたのは立派だ。
ヒミズを見た後、既に上映中だった園の「恋の罪」を見た。
ヒミズでセリフがなかった神楽坂恵(園監督夫人!)が、巨乳をほおりだしてがんばっているのだが、ヒミズでセリフをなくしたのは正解だった。(それがきっかけで監督を落とした=想像=のはしたたかな女やね)
それはともかく…。
映画「ヒミズ」では、学校や家庭が牢獄のようになり、息が詰まるのを痛烈に感じる10代のころに体験する極端なケースを映画化して成功している。
染谷将太と二階堂ふみの行き場のなさを爆発させる熱演には脱帽だ。
園組常連の光石研のネバついた芝居も光る。
追い込まれ、追いつめられた主人公が取った行動を受け入れ、それにストレートなメッセージを載せるラストシーン。見ていてこみ上げるものがあった。
もう一度、劇場で見てもいいと思う。
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