声をかくす人のレビュー・感想・評価
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結局裁判って?
最後の死刑シーンはダンサインザダークなみの衝撃でした。まっビンラディンやフセインも軍事裁判すらせず処刑する国だから不思議ではないが監督ロバートレッドフォードもこう言うのを訴えたかったかもね。さておき
映画の内容は結構良かった。この評価でもあったように邦題にかなり違和感を感じます。前から思うんだけど邦題をやめてそのままのタイトルにして欲しい。基本タイトルを観て映画を観るので映画の価値観や雰囲気が全く変わってくるので1人の人間の価値でタイトル変えないで。
The Conspiratorでよい
前半はかなり冗長にて、はしょりたい部分も多い。ただ、広範になるにつれ、裁判劇定番のテーマを織り込み、なかなか見せる展開とはなっている。ジェームズ・マカヴォイ にせよロビン・ライトにせよ、非常に抑制の利いた演技で引きつけ魅せているだけに、冗漫な部分があるのは残念。そして、一番の難点は「邦題」。この邦題は、映画主題のメタファーであるにせよ、それを客に考えさせては駄目。原題の「The Conspirator」こそが、この映画の「質」に合っている。せっかく魅せるべきものを、邦題によって台無しにしてしまっていると言っても過言ではない。まさに訳者による「マスターベーション的」解釈で、映画自体を貶めている。
法と人の正義に切り込む問題作の迫力を是非!
この映画、舞台は1865年4月15日、「今日出来る事は、明日にのばすな」のどの名言を残した事などで、日本でも一応その名は良く知られている第16代目のアメリカ大統領エイブラハム・リンカーンの暗殺された事件に纏わる物語だ。
その暗殺容疑者と見られる中にメアリー・サラットと言う一人の女性がいて、彼女も真犯人の一人であるか否かと言う裁判が行われたが、その裁判では、終始一貫として、彼女は無実を主張し続けていた。
しかし、当時の彼女は軍法会議と言う異例の裁判によって、彼女の主張を退け、犯人の一人であるとの判断を下し、アメリカで初めて絞首刑を言い渡され、死刑に処せられた女性だが、約150年の時を経た今でも、その総ては藪の中で在る。
その模様をロバート・レッドフォードならではの解釈により、彼のタッチで謎に迫る、法廷劇だ。レッドフォードは登場人物の一人一人の心情を繊細かつ丁寧に積み上げる様に描き出してゆく事で、法による正義とは何か、アメリカの建国の精神である、「自由と平等、その幸福を追求する事は、天から与えられた人の権利」と言うその精神が、その当時も真っ当に守られていたか否かを再現する事で、現在のアメリカが本当の意味に於いて、アメリカ建国当時の、その精神をしっかりと今なお受け継いで来ているのか否かを世に問う迫真の映画だ。
彼の出演作品も「スティング」「明日に向かって撃て」などの娯楽作も有るが、それ以外の作品では「大統領の陰謀」「ブル・べイカー」「候補者ビル・マッケイ」などの社会派の作品に多数出演しているし、彼が監督した作品に於いては、「普通の人々」「リバーラン・スルーイット」「クイズ・ショー」などなど、非常に人間の本質的な資質とは、如何なるものかを問う、哲学的な作品や社会派の作品が多数ある。そう言えば彼が映画界の若者を養成する為に始めた「サンダンスフィルム」での受賞作品の数々も、軽いタッチの娯楽作品と言うよりも、社会派や人間の本質に迫る作品が多い事に改めて気付かされた。
そんな真面目一方の彼だが、いえいえ、生真面目なるが故にと言う方が正しいのだろうか、ロバート・レッドフォードは大学を1年で退学し、ヨーロッパに浮浪の旅に出ると言う珍しい経歴を持っているのだ。
彼は映画界に入る前は画家志望だった為に、彼の作品はみな、非常に画的に美しい映像であるのも彼の作品の大きな特徴と言えると思う。
クリント・イーストウッド程には、彼は早撮りでは無い為に、イーストウッドの様に毎年1作品と言う急ピッチで作品を制作する事はないが、レッドフォードもイーストウッドと共にアメリカ映画界には常に大きな影響在る存在なので、今後の作品も益々楽しみだ。
アメリカの法的劇は、日本人には少々難しい気もするが、しかし、たまにはこう言った社会派の作品を観てみるのも考える所が多々有り面白いと思う。
そしてまた今回も、ジェームス・アンドリュー、ロビン・ライト、ケヴィン・クラインといった豪華名優揃いなのもこの映画の楽しみだ。ところで、リンカーンは奴隷解放の父と言われ、今でも最も評価の高い大統領の一人として人気だが、彼はその一方では、先住民族であるネイティブアメリカンを徹底的に迫害した。ナバホ族や、ダコタのインディアン戦争が行われたのは、リンカーン政権下の時であり、彼はかなり凄い民族主義者と言う半面も同時に合わせ持っている事が覗われる。
法の番人である弁護士でもあったリンカーン大統領の暗殺事件究明の裁判が、自由と平等の精神に則った裁判では無かったと言うのは、誠に皮肉な事だ。
地味すぎる
法廷ものに期待するスリリングな駆け引きといった要素がほぼ皆無で、ひたすら権力の腐敗と、おばさんの気の毒な感じばかりが描かれていた。
リンカーンの殺害場面や、殺害犯など、もうちょっと面白くしようと思えばいくらでもできそうなのに、そういった要素を排除して敢えてこの路線を選んでいるのだろうけど、それにしても地味で退屈だった。おばさんの部分を端においてもメッセージは描けると思う。
首吊りの場面は怖かった。美術や俳優の演技は実在感が素晴らしかった。
時代の空気感
ロバート・レッドフォードが重厚な作品を届けてくれた。
南北戦争が終わった当時のアメリカ合衆国。
どこか不安で、いつかまた戦争が起きるんじゃないか。
まだ、穏やかざる空気感が漂っている。
そんな映像がすばらしいと思った。
リンカーン大統領暗殺に関する、その容疑者と弁護士の「真実」を巡る裁判がこの映画のテーマである。ただし、真実とは「神のみぞ知る」ことで、いまからでは、過去の事実さえ知ることはできない。そういうものだろう。
でも、そこに迫ろうとすることをやめてはならない。
ひとつの事件に対しては、いろんな解釈があり得る。
この映画でいえば、北軍の軍法会議。
当然、歪んでいる、偏っている。
それでも、人間には「真実」を求めようとする内なる声というか、
神的な声があるのも間違いないことだろう。
処刑のシーンをみるのは映画ならでは。
監督もこの恐ろしい場面を厳然として見せるのは、相当な覚悟が必要だと思う。
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のラース・フォン・トリア監督。
「チェンジリング」クリント・イーストウッド監督。
「声をかくす人」ロバート・レッドフォード監督。
いづれも、その重圧の耐える作品だった。
最後に容疑者の娘役だった女優、僕のフェイバリットのひとりであるエヴァン・レイチェル・ウッド。すごく地味な役で、君が出る必要はないとも言えそうだけど、その数シーンがきわめて重要だった。役者としてひとつのステップを踏んだのではと僕は思っている。
難しい
統治するということは
権力による個人の拘束である
法治は社会生活の安全な維持と国家権力による個人への不当な弾圧を見張ることである
よって権力の分離が必須である
しかし・・・
例えば 原子力を運営する立場の権力と監視する立場の権力が同源であれば法治は正しくなされる基盤を失う。
むずかしい映画、法定闘争映画が好きなかたには見ごたえがあると思います。
『フォレスト・ガンプ』のジェニーは 今
『フォレスト・ガンプ』のジェニーは今 こんなに素晴らしい女優さんになっています。 ショーン・ペン元妻の ロビン・ライトが国家反逆者と共謀し リンカーン大統領を暗殺したとして罪に問われる女性 メアリー・サラットを熱演しています。 息子を想う母親の気持ち、そして信念を貫こうとする一人の女性 メアリーの心の葛藤が伝わる演技でした。
そのメアリーの弁護を引き受けた フレドリック・エーケンに こちらも演技派ジェームズ・マカヴォイ(『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』のチャールズ)。個人的に 彼の演技が好きです。 繊細さを感じる、それでいて 気持ちが熱い。 正義感が伝わる行動や発言は、実在したエーケン弁護士を容易に想像させる 熱演でした。
その他、メアリーの娘・アンナ役に エバン・レイチェル・ウッド(『レスラー』で ミッキー・ロークの娘やってました)、フレドリックの恋人・サラ役に アレクシス・ブレーデル(『旅するジーンズ・シリーズ』のレナ、目のキレイな子)、フレドリックの友人・ハミルトン役に ジェームズ・バッジ・デール(テレビ・シリーズ『パシフィック』で ロバート・レッキーを好演した俳優さん、個人的に 注目してます☆)
フレドリックの友人・ベイカー役の ジャスティン・ロングは、コメディ色がつよくて この作品には ちょっと不向きな気がしました。。
同じタイトルの作品が 以前にもあったようなので リメイクかな? 知識があまりないまま 観た作品、とても難しかったですが 勉強になりましたし 良いキャスティングだったと思います。 そんな映画を撮ったのが ロバート・レッドフォード、御年74歳! クリント・イーストウッドに負けていない、俳優としても 監督としても才能を発揮する。アメリカには すごい人がいるもんです(感嘆!)
映画 = エンタメ、という考えだけではなく 歴史を勉強することができる教材としても 素晴らしい作品です。
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