劇場公開日 2011年10月15日

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「紅葉(もみじ)を模した菓子は、なぜ緑色なのか」一命 cmaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0紅葉(もみじ)を模した菓子は、なぜ緑色なのか

2011年10月16日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

興奮

小林正樹監督、仲代達矢主演のモノクロ作品「切腹」を観たときの衝撃は忘れられない。竹光の痛み、どす黒い血、人物相関の図と地が入れ替わる瞬間…。だからこそ、三池監督とは言え、本作への不安は少なからずあった。
思えば、三池監督はいつでも分の悪い挑戦を敢えて選んできた。今回は、様々な点でことさらに。個人的には、笑いを封印した点がいちばんの挑戦だったように感じる。前作「十三人の刺客」ではおぞましすぎて笑いを誘った敵役(稲垣吾郎が演じた藩主)も、役所広司演じる家老は、背筋が凍るまでの冷徹さと悲哀を滲ませていた。
さらに今回印象的だったのは、菓子の使い方のうまさ。饅頭をつましく分け合うのは常套として、井伊家で出される紅葉(もみじ)を模した菓子には唸った。秋の菓子である紅葉が、なぜ緑色なのか? 後半その謎が解けたとき、胸が痛くなった。3D、高画質ならではの美しい紅葉(こうよう)が、違った色を醸し出す瞬間だった。
小林版、三池版、どちらが上、どちらが勝るといった比較にこだわらず、今だから表現し得た、新たな物語世界を味わいたい。

cma
asicaさんのコメント
2021年10月1日

ああ、緑の楓が赤くなるあそこの巧さですよね。真っ赤な紅葉の描写とともに非常に印象に残る描写でした。

asica