ミッション:8ミニッツのレビュー・感想・評価
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それでも立ち上がる
それでも立ち上がる。
と、いう映画に燃えないわけがない。
それが意味のないことだと言われても自身が納得出来なければ魂に安息はないのだろう。
スティーヴンスとグッドウィンのやりとりは実際にはモニターの文字。
全てを削ぎ落とした魂の言葉だからこそ彼女も揺さぶられたのではないか。
ラストで銀の豆のオブジェを見せるのもあまりに意図的だ。
しかしなんと言ってもスティーブンスが乗り移った(ソースコードにリンクした?)社会科教師。
彼には何の救いもないな。
彼女を奪われ魂を奪われ。
今作最大の被害者である。
HAPPYな映画
2013.04.27 DVDにて観賞。
正直、映画序盤は話のストーリーが良くわからなかった。
カプセルに閉じ込められた主人公(ジェイク・ジレンホール)が、列車の中への世界へと送られるが、その8分間で爆発が起きる。の繰り返し。
展開が進むにつれ、実は主人公は瀕死の状態。
心理学・量子力学の権威が開発中のプログラムで、テロなど犯罪の予知などへ絶大な貢献が見込めること。
といったことが分かってくる。
終盤では、列車の中での8分間で、爆発を防ぐと同時に、人々・世界を幸せに導こうと必死に奔走する姿が描かれ、なんとも心地よいエンディングを迎えた。
感動的で心が和む作品
列車内での主人公とヒロインの会話がユーモラスで良かった
親父さんと電話で話す場面がグッときた
何度も死を経験するのは嫌だけどこの任務は少しやってみたいと思った
少しずつ真相に近づいていく緊張感が良かった
その反面案外呆気なく犯人に辿り着いたのが少し残念だった
満点はあげられない物足りなさが僅かに残った
ハッピーエンドへのもって行き方が少し強引だった
量子力学のパラボリック理論とやらの範疇がイマイチわからない
記憶に入り込むプログラムなのに最後は完全にタイムスリップのような状況だった
もう…もう、やめたげてよぉ!
「映画通ほど騙される。」
このキャッチコピーを見て、自分を含め何人の“自称”映画通が挑戦したんでしょうね。
でもこのキャッチコピーはずるい。
「まんまと騙されたー!」って書けば「通ぶってんじゃねーよ」って言われそうだし、「すぐオチわかったよ」って書けば「強がってんじゃねーよアホ死ね」って言われるかもしれないし。
でも後者なんですよ…死ななアカンのですよ。
正確にはたまたま当たったって言う方が正しいんですが、ひとつ言わせてくれ。
「騙される」って言われたらメチャクチャ考えちゃうじゃん?普段使ってない右側の脳みそフル回転じゃん?
そりゃ少なからず映画観てたらわかるって!ほんと何なのこのキャッチコピー!?やりにくくてしょうがないよ!!(何をだ)
あえてオチは書きません。
まあでも、この映画のすごいのは、全部脚本に頼ってない所ですよね。
演出も良いんですよ。視覚効果的には簡単でしょうけど、電車から落ちて動きだすまでをワンカットで撮ったりしてますし。
なかでも主人公とヒロインがキスした瞬間一時停止するシーンは「やーん、ステキー」ってなりました。
SFのサスペンスなのにラブストーリーにも手を抜かない。
この「ジャンルにとらわれない感」大好きです。
もう2個言わせてもらうと、主人公に乗っ取られる男が不憫でなりません。
…エージェント・スミスってレベルじゃねーぞ!!
あと邦画タイトルとパッケージダサい。もう勘弁してください。
でも普通に面白かったです。
映画通ほど騙されるって何に?
過去を覗き見るはずのマシンが、実は過去と現在を繋ぐタイムマシンだった、とは「デジャブ」だが、「映画通ほどダマされる」というコピーに同じ設定を予想したのは私だけではあるまい。
まあ、作成者側が日本のコピーを知っていたとは思えないが、早々に「これはタイムマシンではない、プログラムの中で起きていることに過ぎない。」と、それを否定するセリフを吐いている。
過去をいじることによって未来が変わってしまうというよりも、パラレル・ワールドが生まれる設定は「バック・トゥー・ザ・フューチャー」をはじめ、多くの映画で扱われているので、それほど違和感はない。
0秒後の見せ方は面白かった。
ここで終わりと見せかけて観客を引っ張り、続きを見せるあたりは、どうなってんだとの思いを抱かせ、これが言うところの「ダマされる」話なのかなとも思ったが、それほどびっくりするほどの話じゃない。
感傷的なエンディングだった。
あの卵形のオブジェの見せ方はうまい。
ジェイク・ギレンホールが実は死にかけているのは、早い段階で明かされる。
死者の記憶を再現するには、同じような状態(=死ぬ寸前、瀕死)が必要なんだろうとは、分かりやすいというか、受け入れやすいが、死んだはずのショーン・フェントレスの魂というか、ショーン自体はどこへ行ってしまったんだろう。
パラレル・ワールド(?)で一番割を食ったのはショーンなのかもしれない。
デヴィッドボウイの息子の作品
アメリカ映画「SOURCE CODE」、邦題「ミッション:8ミニッツ」を観た。なかなか おもしろい。
監督のダンカン ジョーンズの二作目の作品。最初の作品は、SFスリラーというか、ミステリー心理劇と言うか、人の心を描いた映画の「月に囚われた男」。
この監督の父親は 役者や映画監督もできるマルチで ロックの神様、デビット ボオイだ。
ストーリーは
アフガニスタンに派遣されていた空軍パイロットの コルター ステイーブンスが あるとき目が覚めてみると シカゴに向かう列車の中に居た。前の座席にすわって 親しげに話しかけてくる女性は 自分の知り合いらしい。どうして自分が列車に乗っていて クリステーンという女性から ショーンと呼びかけられるのか、全く覚えがない。混乱して、列車の洗面所に駆け込むと、そこの鏡には 見た事のない男の顔が映っている。ポケットの中の財布には鏡に映ったショーンという学校の先生の顔写真が入っている。
その瞬間に列車は火を吹いて爆発。コルターは 吹き飛ばされて気を失う。目が覚めてみると 彼は鉄の箱の中で 座席に拘束されている。
鉄の箱の名は ソースコード。
奇妙な 電気コードばかりが張り巡らされている鉄の箱には、テレビのモニターがあり、キャプテン ゴッドウィンと名乗る軍人の女性が コルターに語りかける。キャプテンはコルターに 乗っていた列車に仕掛けられた爆弾と、爆弾犯を見つけるように命令する。
猶予は8分間。
脳には死亡する直前の 8分間の記憶が死んだ後もしばらく残っている。その記憶に 別人の脳がトリップして入り込むと 死ぬ前の8分間を追体験することができる。ソースはコルターの脳だ。ショーンが死ぬ前の8分間の脳に コルターの脳が入り込むことが出来れば 爆弾犯を捉えて、次の犯行を未然に防ぐことが出来る とキャプテンは言う。
シカゴ警察は、シテイーの中心を走る列車に爆弾が仕掛けられている という予告を受けていた。第1発目の爆弾は シカゴに向かう列車で すでに爆破されていた。ショーンもクリステイも含めて 乗客は全員死亡していた。第2発目は 市の中心を走る列車に仕掛けられ 規模も大きな爆弾だと犯人は言う。もし爆発すれば 被害の大きさは計り知れない。是が非でも 爆発を止めなければならない。
爆破予定時間が迫っている。
コルターは 再び列車の中に送り込まれる。8分間で爆弾を見つけて 犯人を探し出さなければならない。コルターは必死で爆弾を探し出す。爆弾は見つけた。しかし犯人を捜す途中で8分間は過ぎ 爆発。コルターは 何度も 爆弾犯が見つかるまで 8分間ごとに 列車のなかに送りこまれる。
コルターは何度も失敗し、キャプテンと話すうちに 自分が すでにアフガニスタンの空軍戦で死亡していることを知る。しかし、軍は内密にコルターの脳だけを生存させておいて その脳をソースに死ぬ直前の他人の脳にトリップする技術を開発していた。キャプテンの命令は絶対だ。コルターは何度も何度も列車に乗せられて 8分間の爆弾犯探しをさせられる。
コルターは 父親をとても尊敬 敬愛している。自分の脳が生きていることを父親に伝えたいが、それはできない。
彼は、死に物狂いの犯人探しの末、とうとう犯人を捕らえる。ついにシカゴ市内で列車が大爆発することは 未然に防ぐことが出来た。しかしそれまで生かされ利用されていた コルターの脳は、、、、。
というお話。
サイエンスフィクションともミステリーとも言える。面白い映画だ。デ カプリオの「インセプション」同様に 観ている人が 自分なりの理解の仕方ができる。よくわからない映画は それだけ解釈が多様で どんなふうに理解しても許される。
反戦映画「ジョニーは戦争に行った」の先を行っている。手足体を失ったジョニーの脳は生きていた。同じように この映画では 戦闘で体を失ったコルターの脳は生かされていて 死ぬ人の8分前の脳に乗り移って 犯人探しまでやらされる。死んでも死ねない軍の新兵器だ。タイムスリップならぬ、ブレインスリップ。
しかし人の脳は 命令に従うだけのために あるわけではない。人はたった8分間にも 人を愛し 恋して 歓びも哀しみも感じることが出来る。それを、コルターを演じたジェイク ギレンホールは、とても上手に演じている。
人がこんなに悲しかったり、嬉しかったり、怒ったり 愛を求めたりする生きものだった ということが改めてわかる。
コルターが心から敬愛して慕っていた父に コルターの友達だと言って電話をするシーンがある。涙が出る。
最後に コルターが脳の生命装置を打ち切られると知っていて、クリステーンと笑いあって抱き合いながら死んで行こうとするシーンがある。自分だったら8分間だけ命を預けられたとき、何をするだろうと思って、とても切ない。
ジェイク ギレンホール、テイーンのアイドルだった可愛い子ちゃんから、人間の哀しみを体言できる良い役者になった。
おもしろい映画だ。「インセプション」が好きな人、「月に囚われた男」が好きな人ならば 絶対楽しめる。
もしもの世界。
多くのD・ジョーンズファンがおっしゃっているように、
私も「月に囚われた男」でやられてしまった一人である。
まぁ~泣いた、泣いた、心でむせび泣くっていうの?(古)
まさにそんな感じだったなぁーなんて思いながら観た本作、
やっぱりラスト近くではむせび泣き(T_T)、また同じだった。
本作もテイストはよく似ている。
なんですか、あの予告(だいぶ反響をよんでるみたいだけど)
映画通ほど…ってやつですね。そもそも映画通って何なの^^;
そう言われて「あ、はい私映画通ですから」と思える人は素敵。
私は通じゃなくてバカの方なので…じゃあどっちなんだろか?
と期待しながら観てしまった。結果は…う~ん泣かされた(爆)
ま~話の運びが巧い。
観客までも列車に同乗させ、主人公と一緒に犯人探しをさせ、
さらにロマンスまで絡める。かと思えば悲しい過去を露呈させ、
人生にやり直しは利くのか?という難問を突きつけてくる。
原題「ソースコード」、これはプログラムの中での出来事である。
テロによる列車爆破は起きた後、第二の予告テロを防ぐための
ミッションがこの8分間なのである。繰り返される転送と爆破、
このままずっと主人公は転送され続けるのだろうか、と考えて
より切なくなってくる観客に、少しずつ変わる環境を味わわせ、
待てよ、これって何とかできるんじゃないのか?ひょっとしたら
この乗客全員を助けることが可能なんじゃないのか?と期待を
膨らませる方法が巧い。結果、最後までミッションが展開する。
確かに人生、そうは巧くいかない(T_T)
理想(仮想・夢想・構想・妄想)と現実世界とは異なって然りなのだ。
人生のもしも。はどちらかといえば後悔の念が引き起こす。
もう戻らない時間や人間や物体をいつまでも追い求める脳内世界。
特に今回のようなテロにあっては、犠牲者の魂が救われないのが
何より辛い。博士が開発したこのソースコードの目的が犯人特定
に絞られることに対し、主人公が最も重要視するのが救済である。
この監督、こういった自己犠牲的なテーマをこれは如何にもという
目線でなく、ごくサラリと描いてしまうところがすごい。
なぜ大尉が選ばれたのか。なぜショーンの身体なのか。どうして
彼は父親と話がしたいのか。このミッションを成功させたいのか。
謎が謎を呼ぶ(考えるとキリがない)展開の中、物語は佳境に入り、
ついにラストの8分間へと向かっていくが。。。
ストップモーションの中、列車内に散りばめられた笑顔の光景は
おそらく誰もが今作の冒頭からは予想し得なかった映像だと思う。
J・ギレンホール(ホントに名画座みたいな名前^^;)
監督を逆指名し今作を作り上げたのだが、とてもいい演技を見せる。
一瞬しか顔を拝めないショーン先生(だったよね)が一番の犠牲者
(言い方が悪いかしら)では?という気がするのは私だけだろうか。。
いや違う、運命は、信じた方が勝ちなんだから。魂よ、永遠なれ!
(どの世界、どの時間、どの相手とであれ、幸せならばそれが一番)
どう捉えるか
最後をどう捉えたら良いのだろう?そこがイマイチ難しいところだ…
全体的にはテンポ良く進んで、見応えがありました。現実に起きた事故前の8分間の任務。それを何度も繰り返して犯人を見つけ出し、次の犯行を未然に防ぐ。未来を変えるのであって、過去を変える訳じゃないはずなんだけど…?あのラストだと過去が変わっちゃってる気がするんだけど…しかも都合良く…。
でも、まぁ見応えある作品なので、どうぞ皆さん観てみて下さい。観る価値はアリます。
1度見ただけではいまいち理解できていないです。
同じシーンの繰り返しでも微妙に異なる情報が入ってきたり
ジェイク・ギレンホールが学習していくことによって
話を転がしていくところは面白かったのですが・・・
わからないところが2つ。
ジェフリー・ライトが説明しているところが未だに理解できていないのですが
転送した先の人の記憶しかないのに、なぜ爆弾を見つけられたのか。
多くの人の記憶を頼りにシステムが補完していたから?
転送シーンですでにラストシーンのカットが挿入されていますけど
なぜ?
ミッションが新たにスタートするかのような音楽で
これからまた始まるのかと思わせるラスト。
これはループの映画だったのか???
どの瞬間、どの時点へ飛んだ!?
もう一度観ないといけないようです。
コンパクトだが中身がギッシリ詰まっている感じの映画
『インセプション』程複雑では無い。しかしラストの予想不可能で楽しさ8倍!
最近は120分を超える大作が目白押し、しかもその殆んどが長くつまらない映画!しかしこの作品、尺はコンパクトでエコ的だが面白さはダイナミックな驚きのジェットコースター映画だ!
と言ってもこの映画舞台の殆んどが、列車の中の出来事。つまり有る意味での密室劇なのだから、観客を飽きさせない工夫が全編に散りばめられている秀作と言える。
舞台はシカゴ近郊に到着した長距離列車に時限爆破装置が取り付けられる。
そして事故が起きてしまうのだが、その爆破犯人をその列車の乗客の一人の過去の記憶に入り込み犯人を捜査すると言う摩訶不思議な捜査法を行うと言うストーリーなのだ。
やや物語は複雑ではあるが、過去にさかのぼり起きてしまったテロによる列車爆破事故をその事故の発生前の過去に戻って犯人を捜し出し、列車事故発生後である現在以降に起きるであろう、近未来の爆破事件を過去から犯人を割り出し、未然にテロ事件の発生を防ぐと言うものだ。アインシュタインの唱える相対性理論では光速が最も早いと言われていたが、現在では光よりも早い存在がこの世に存在しているだろうと言われ、正確に時間軸はどう存在するのだろうか?量子力学など苦手な私には正直良く理解出来ない分野であるが、割とこの手の作品は昔から多数有るのだ。これらはきっと謎を究明すると言う人間に備わった好奇心を呼び覚ますもののようだ。
実際にこの様な研究開発が何処かの国で、誰かの手により事実行われているのか否かは決して解らないが、好奇心のアンテナが全開する。
この真犯人究明の為に幾度も記憶に戻るので、同じ映像が展開されるのだが、少しずつ変化し続ける状況を見せる事で、真犯人捜査を主人公と同時に観客を巻き込んで行くと言うもので、最後まで目が離せないのだ。デビット・ボーイの息子であるダンカン・ジョーンズと言う監督の前作『月に囚われた男』を未だ私は観ていないが、このD・ジョーンズに私は囚われた男の一人かもしれない。これからの作品が楽しみな監督さんである。
僅か90分の映画で何度同じ様なシーンが繰り返されたのかカウントしていないので不明だが、本当に8分刻みで繰り返されていたのかさえどうでも良い程に気にならなかった。
この映画では列車がシカゴ駅に到着直前に爆破され、シカゴの街中で再びテロ事件の惨事を未然に阻止すると言うものだが、このシカゴと言う都市は私の記憶に間違いが無ければ確か全米一の飛行機の1日の離発着機数が多い空港のある都市だったと思う。
NYで発生した世界同時多発テロ事件から丁度10年目を迎えた今年、あのテロ直後より米軍のアフガン介入に始まりイラク・アフガニスタン戦争で、今年の年末ようやくイラクからの撤退を表明したオバマ政権であるが、テロと戦争の悲劇をこんな形で描く作品も珍しいと思う。
主人公の米軍エリートのスティーブは、幾度となく戦地に派兵するが、最後の派兵となるその前に父と口論したままで戦死した事を知る。
そしてこの列車で過去にさかのぼる過程で、父との喧嘩別れを許して欲しいと友人に成りすまして電話で伝えるシーンが切なくて忘れられない。私も父と死別2日前に口論したままで謝る事も出来ないままに別れた事が20年近く経つ今も悔やまれる時がある。私にもこの映画みたいに過去に戻れるなら、過去で起きた事実をたとえ取り消せなくても、新たに今のこの気持ちを伝える事が出来るならどれだけ嬉しいか!人は身近な人を大切にして生活し、決して照れずに素直に自分の気持ちを速やかに伝え続けると言う事の必要性をこの作品で教わった気がする。明日に延ばさずに、家族に感謝の気持ちを伝えて欲しくなるそんな作品だ。
「映画通ほどだまされる」という煽りには映画通ほどだまされない
ダンカン・ジョーンズ監督、「月に囚われた男」に続いて独特な世界観、限定された状況下での物語の展開がうまいです。
繰り返される部分もしつこくならず、適度にサクサクすすむし、ラストも人によってとらえ方がいろいろありそうでよいです。
「もしテロがなければ…」という世界は、やはりどうしてもあの9・11テロがなければ…という思いにもつながるのかなと想像してしまいます。
作戦・実験のために植物状態で生かされているスティーブンスを生かすか死なすかの部分で人の命の尊厳を問い、そして「もしテロがなかったら」の世界でスティーブンスは光と笑顔に満ちている。
なにやらじんわりと考えさせられるラストでした。
しかし「映画通ほどだまされる」というCMの煽りは、「たぶんそういう映画じゃないだろうけど、まあ、苦肉の策でこういう方向で宣伝してるんだろうな」と思っていったので、特になんとも思いませんが。
だまされる云々の映画じゃないですよね。シャマラン作品じゃないんだから。
いろいろ日本の映画の宣伝をみている映画通ほど、この煽り文句にはだまされないんじゃないですかね(笑
映画通ほど騙されるのではなく、映画通だと自覚させる映画
乗員・乗客全員死亡の凄惨な爆破テロの実行犯を探すため時空を超えた捜査に命を懸ける物語は、当初、デンゼル・ワシントン主演の『デジャヴ』を思い出した。
被害者のヒロインと恋に落ちる哀しいロマンスも酷似している。
しかし、今プロジェクトは人体実験の趣が強く、冷酷に進められ、明確に違うデジャヴを形成している。
相違点は主に3つ。
1:自らの志願ではなく、いつの間にか強制的にトラベル執行され、標的を見つけなければ、何度も繰り返される。
2:犯人が解ったとしても事実は絶対に変更できない
そして、最大の要素は
3つ目の
《遡るのは自身の体ではなく、脳波に適した被害者の肉体に憑依するシステム》という点である。
なぜ、自分自身の体ではなく、赤の他人で戻らざるを得ないのか?
謎だらけの作戦が事件を追うに連れて真相が明らかにされていく。
美しいヒロインとの出逢いと別れが往復する度に互いの振り回される運命に虚無感が瓦礫の如く募る。
よって、謎解きの要素は、理不尽なプロジェクトの構造にほとんど費やされており、犯人探しを楽しみにしている客には衝撃波は弱い。
タイムトラベル、テロ事件、恋物語それぞれにおいて充実していた『デジャヴ』に較べると、どうしてもインパクトに欠けてしまう。
オリジナリティの薄さが物足りない要因に繋がっているのは致命的ではなかろうか。
つまり、キャッチコピーの《映画通ほど騙される》という文句は今作には当てはまらない。
テリー・ギリアムの『12モンキーズ』
ジュネの『ロストチルドレン』
ロバート・ゼメキスの『バックトゥザフューチャー』
etc.脳と時空を扱った一連の作品の手法をなぞったうえでのオチだからだ。
正確には、映画通は騙されるのではなく、映画通だと自覚する映画の方がしっくりくる。
もしくは、映画通だと思い込ませる映画だ。
それを我々、医学用語で《洗脳》と呼ぶ。
byケーシー高峰
脳を洗う。
凄い言葉だ…。
主人公も客も己の脳を洗う意味を考えさせられる。
結論的には、そんな映画なのかもしれない。
では最後に短歌を一首
『炎(ほむら)起つ 車窓行き交ふ 残像の 迷宮は問ふ 刻む運命(さだめ)を』
by全竜
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