ゴーストライターのレビュー・感想・評価
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深い
タイトルが暗示しているものは何なのか考えさせられる深い映画だった。始まりの港のシーンといい、最後の原稿が風に舞うシーンといい撮り方が独特で、作品に深みを出していた。サスペンスということで、特に派手なアクションシーンがあるわけでなく、淡々と主人公が謎に迫っていく様子が描かれていて、全体的には地味な画に映っているが、静寂さの中から何か国家や人間が抱える闇のようなものを感じ取れる作品で、シーンが進むにつれてどんどん引き込まれていった。どんよりとしたシーンばかりなので、好き嫌いが分かれるかもしれないが、綿密な構成になっていて、複線からいろいろ推測しながら観て楽しめる映画だった。
希薄…。。。
御伽噺を見ている様だ。 重くもなく軽くもない。これ程迄に引き込まれる登場人物が 出 て 来 な い 映画を観たのは久し振りなのではないか。 共感、若しくは嫌悪感を抱く様な、機微に入る感情移入を誘う台詞も行動も特に無い。ただただ謎めいて、淡々と解き進む、と言った印象。 何より渇望感が無い。主人公の「謎を解きたい」欲望、元英首相の保身欲、元首相に仕える人々の切迫感、元首相を恨んでる風な群衆、正義を貫きたい元首相にとっての敵対勢力、国家を揺るがす事件に群がる報道陣――。 全ての登場人物の確固たる情念が見えないから どうしても話が希薄に感じられてしまうのだ。 当然、これでは原作にも興味が湧かない。改めて Stieg Larsson 恐るべしを思い知るのであった。
最後の最後で凄いご都合主義
知的にチェックしたけど、スピードを合わせる事を考えると、彼が出てくるかなり前から、タイミングを合わせなきゃいけないが、合わせるタイミングは無い。無いのは当たり前、必ずそこまで出るか、その位置に出るかわからないのに、あのスピードはあり得ない。 知的な雰囲気で進む映画を、最後の最後に、知的で考えると辻褄が合わないシーンで終わらせる。 知的な終わり方で終わらせていたら、すげぇと感動したのに。
謎が残るサスペンス
主人公と同じ目線でハラハラドキドキしながら観る事ができました。 観た後も謎に包まれた感じで、あれは一体どうだったんだろう?と、所々真相が気になりました。 ユアンマクレガー目当てで観ましたが正解でした! もう一回観よう!
これが、サスペンスだ!
英国元首相ラングの自伝執筆を依頼されたゴーストライターの男。取りかかるが、謎が湧いて出る。 前任のゴーストライターの死…。 ラングの隠された過去…。 ラングの突然の戦犯容疑…。 やがて、政界を揺るがす陰謀に巻き込まれていく…。 「チャイナタウン」「フランティック」など優れたサスペンス映画でも知られるロマン・ポランスキー。その手腕が冴え渡った上質のサスペンス。 特に取り得も無い名もなき主人公はゴーストライターとは言え物書き。性分からか真実を追求するが、追い求めれば追い求めるほど危険の中に足を踏み込んでいく。ユアン・マクレガーが危うさと共に何処か滑稽さも滲ませる。 某スパイのようなラングの二枚目の顔と、その顔の下に隠されたもう一つの顔。明暗の付け方はラングのあだ名のように“役者”だ。ピアース・ブロスナンが絶妙に演じる。 何か秘めた雰囲気を醸し出すラング夫人。ラスト共々、オリヴィア・ウィリアムズが印象を残す。 真実が全て正義に繋がる訳ではない。真実に政界が絡むと尚更。 ゴーストライターの末路に、政界の闇の戦慄を感じる。 話的にはよくある陰謀劇で派手なシーンも無いが、不穏な冒頭から衝撃のラストまで、静かながらも流れるような展開で、見入ってしまう。寒々とした孤島の風景も一役買っている。 巨匠が手掛けたヒッチコック風巻き込まれ型サスペンスに満足。 旨みと醍醐味たっぷり、これぞサスペンス!
伏線がすべて明かされないワケ
一般の人が政治の世界に巻き込まれたらどうなるか。 ラストの展開に疑問が残ります。 丁寧に丁寧に物語を展開していたのに、早急に纏めなければいけない、と広げた風呂敷を無理にひとまとめにしてしまって、色々と重要なものを取りこぼしているような…… 風で舞う書類の描写は、『真実は闇の中』の暗喩のように思えて、すごく素敵なのですが、主人公(ゴースト)に感情移入していただけに、もっと幸せにしてあげて!と叫びたくなりました。クライアントの家に泊まると必ずその家の妻といい仲になってしまう(本人はいつもじゃないと否定していましたが、おそらくいつもの事でしょう)ような、静かでユーモアがあって知的な良い男なのに…… 劇中、代理人に電話がつながらないのは何かの伏線かと思いましたが、 続報もなく真相は分かりませんでした。気になる。 『すべての真相が分からない』訳は、一般人のゴーストライターが主人公なので、その目線に寄っているからでしょうね。 もちろん彼は仮にも文章を書く人間なので、十分情報収集能力や観察力はあり、普通の人より状況がよく分かっている方。 しかし一般人なので、すべては分からない。 作家にとってよく分かるのは感情の機微などです。状況よりも感情の描写が多いのもその為でしょう。 それを私はリアリティーと感じました。 リアリティーを大切にしている良い映画です。
面白かった!
暗いし、一体どんな謎が明かされるのだろう、主人公は大丈夫なのかと心配しながら最後までとても引き込まれた。 ラストシーンは画面の外で事件が起こっていてそれをドラマチックに感じさせるところがすごかった。映画見たって感じがすごくした。 ただ登場人物が多くて、人物名だけ言われてもごちゃごちゃして把握できなかった。
大人のサスペンス
近年観たサスペンスの中で一番良いかも知れない。それほど本作「ゴーストライター」は良く出来た作品だ。フェリーに取り残された一台の車のシーンから始まって、ラストの直接的には見せずとも誰が見ても分かるエンディングまで、しっかり堪能出来る大人のサスペンス映画です。恐るべしポランスキー!!サスペンス好きの方は本作は必見ですよ。
(やめておけ)・「構わない?」「もちろん」
映画「ゴーストライター」(ロマン・ポランスキー監督)から。
元英国首相アダム・ラングの自伝執筆を依頼された主人公が、
ラングの滞在する孤島を訪問して、事件が起きる。
そしてラストは、サスペンスらしい結末だなぁ、が感想。(汗)
ただ、気になるシーンは、何度も登場した。
食事のシーンは「箸」を使っていて、ぎこちなかったり、
タクシーは、お客が車を降りてから料金を渡しており、
これまた「えっ?」と思うような場面が続いた。
それでも万国共通だな、と思ったシーンが、気になる一言。
ラングの奥さんが、夜遅く、主人公の部屋に訪ねてくる。
どうみても、SEXを求めているのだが、それを察して
主人公が洗面所へ逃げ込み、鏡の自分に言い聞かす。(やめておけ)
そうだよ、どう考えてもヤバい、と思ったのもつかの間、
ベッドに裸で横たわっている奥さんが呟く。「構わない?」
それに答えて、主人公がためらわずに「もちろん」。
さっきのシーンは何だったんだよ、と観ていて可笑しかった。
据え膳なのかわからないが、女性に求められたら断れない、
いや、断らないのが男性のマナーなのか。
このシーンは、大ドンデン返しとなる結末の伏線なのか、
ちょっと興味深いシーンでもあった。
地味だけど内容は凄い
公開前から批評家の評判もかなり良く、日本公開してから、「観なきゃ損する」だの某映画雑誌の1位取るなどの評価を受け、そして監督が巨匠ロマンポランスキーとくれば観る前から期待高になっても仕方ない。そのような状態で鑑賞した。 ずばり良くできてるがそこまで素晴らしい出来かと言うと、うーんなってしまう。 同じ監督の戦場のピアニストを見終わった時の衝撃や感動を期待してたがそこまでの出来ではなかったと個人的な感想。 確かに良く出来てるし、こういう作品は出演者達の演技に全てかかってるといってもいい。美しいロケーションなのに雨や曇りでわざと演出させ、サスペンス要素いっぱいでストーリーを進行させ、ラストまで観客を引き付ける。 こういう作品は政治や世界情勢を特にイギリスをよく知っているかでのめり込み度、作品の評価が変わってくると思う。 気になる点を少し上げると、カーナビを何故とか、あんなに序盤は厳重なのに、何故簡単にとかあるが観てない人は参考にと。 ラスト近くの演出はさすがロマンポランスキーなので、やはり観なきゃ損か(笑)
幽霊たち
レンタル開始直前だったが何故か最寄りの映画館で上映を開始していたので、 『観るならやっぱ映画館で!』と鑑賞。 英国首相の自伝を書く事となったゴーストライターが、 前任のゴーストライターの死の謎に迫る内、恐ろしい陰謀に気付いてしまう……というサスペンス映画。 他の方々の絶賛も頷ける、上質なサスペンスでした。 (恐らくは)好奇心から謎を追い、自らを危険な状況に晒してゆく主人公は、 一連のドラマの登場人物というより、 事件の真相を暴き出し、その無慈悲さを観客に示す為のナビゲイターとして作用している。 これは市川崑監督の『金田一耕助』シリーズにおける、 金田一耕助の立ち位置に少し似てる気がする。 彼は決して事件を未然には防げない。 第三者の視点から事件を俯瞰し、どろどろと渦巻く因縁を暴露して、颯爽と姿を消す。 市川崑はそんな金田一を『天使のような存在』と解釈していたという。 天使と幽霊。 さてさて本作、中盤の展開が特に絶品だ。 『前任者はどうやって死んだ?』という事件の余白を、 観客の想像力がいつの間にか埋めているのだ。 正確には、作り手によってそう仕向けられている。 主人公が『死人と同じ道を辿っている』とは台詞にも出さず、不安と焦燥を煽るこの巧みさ! 鈍色の空と海、止まない風、舞う枯葉、しとしと降り続ける雨、まばらな人影。 観ているだけで底冷えしそうな空気感も堪らない。 風景だけではない。突き放したように淡白な描写も冷たく恐ろしい。 一定の距離を保ちつつ主人公を尾ける追跡者。 子を亡くした親の怒りすら巧みに利用する残酷な知性……。 事件を操る人物こそ登場するが、更にその背景にいる黒幕には表情(かお)が無い。 希薄な毒ガスのように、目には見えないが確かに作品全体を覆っている。 幽霊あるいは、一種の神のようだ。それも、とびきり冷酷な。 この映画、前述の“事件を操る人物”は恐らく途中で読めてしまうだろう。 だがそれでも目はスクリーンに釘付けだ。心臓も確実に脈拍を上げていた。 使い古された展開も、調理の腕によって一級のサスペンスに成り得る。 ドンデン返しばかりがサスペンスじゃないんだぜ、と余裕たっぷりに言われているかのようだ。 僕はポランスキー監督作品を沢山観ている訳では無いけど、 あぁやっぱ名匠と言われるだけありますなぁと妙な上から目線で考えた(笑)。 以上! 今回のレビュー終わり! <2012/1/8鑑賞>
アメリカ国家は怖い!!
ポランスキ-監督の映画は、いつ見ても面白い。それにしても、国で暗殺を行なっているのですから,アメリカ国家は本当に怖いです。ビン・ラディンしかり、現実味が在りすぎて、本当に怖かった。知りすぎてはダメですね、何も知らない方が幸せですよ。
私も途中で、被害者の元妻が怪しいと気づきましたが、案の定、最後にしてやったりと思った主人公が、ラストあっさり消されましたね。何てバカな主人公だと思った。でも、これがジャ-ナリストの性なんでしょうか。大統領より怖いC.I.Aでした。それにしても、映画を盛り上げるには、悪女はかかせないです。
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