秒速5センチメートル(2007)のレビュー・感想・評価
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3話で展開される2人の想い
U-NEXTで鑑賞。
観る前は、1時間の中で展開される少し壮大な物語だと思っていました。実際に観て、テレビアニメのような3話構成のオムニバス形式になっていました。
幼馴染の2人がそれぞれの道を歩んでいき、また会えないかなという想いが交差していました。心の声で物語を進めていくことで、彼らが身近な存在のように感じ、私たちと同じ現実を生きている感覚がシンクロしました。
夜空の映像も綺麗で、ここから新海ワールドが始まったことを考えると感慨深かったです。2025年には実写版も公開されたので、どんな違いがあるのか気になってきました。
光を動かすだけでも何かを表現できる
実写版を見る前に改めて見直してみようと思い再鑑賞。やっぱり新海誠監督の作品の中でもとりわけシャープな表現がなされた1作だと思う。風景に思いを託すというスタイルは、ここで一回完成を迎えていて、技術や予算のシンポでこの方向性はさらに発展していくわけだが、やはり大きなターニングポイントとなった作品だ。
最初の一話は冬景色、雪で止まった列車の中のそわそわするわびしい感じ、雪の降る速度がいい、焦っている主人公に対してゆっくり降る雪が感情と対比的になっていて。
二話目は特に好き。明け方の星空が宇宙と一体になっているようなあの空。2人で星空見ていて物理的には近い距離にいるのに、心は地上と宇宙くらいに、すごく離れている。ロケット打ち上げをとらえたワイドショットはいまだに新海作品で一番美しいショットではないかと思っている。
その他、電車内のシーンで、一切キャラクターの動きはなくて、手すりに反射する光だけが動いているショットも好き。光を動かすだけでも何かを表現できている。これは結構すごいことだと思う。
タイトルなし(ネタバレ)
先に、実写映画化された新作を鑑賞したので、観比べ鑑賞です。
今回が初鑑賞。
物語は、概ね実写化された作品と同じだが、テーマの方向性が大きく異なっていますね。
新海誠監督作品において繰り返し描かれる「届かない想い」のテーマ。
そのエッセンスが凝縮されている。
が、エッセンスだけとも言える。
小中学生時代、高校生時代、成人してプログラマとして働いて疲弊している現在。
届かなかった想いは、そのまま過去に埋もれ、いまは「汚れちまった」澱のようなものだけが残っている・・・
そんな物語、
短いショートアニメ3作の連作の形をとっており、特に最終話は山崎まさよしの楽曲のPV、イメージアニメのような形式になっている。
主人公の青年の背景を深掘りし、最終的な方向性を真逆にした実写版の方が好みだなぁ。
実写よりしっくり来る。
初見 60歳の爺の見る映画じゃない。
重力加速度と空気があるので「5cm」はあくまでも比喩的表現と思うべし。
V=GTですらね。しかも、花ぴらは空気抵抗に阻ませる質量。
つまり、ロケットを運ぶ5kmからの発想なんだろうね。
さて、ストーリーは完全に男目線な「君の名は」だね。
こんな青春だといいなぁってことじゃない。
色が少しデフォルメされ過ぎ。
兎に角、昔からの日本人の好きな「メロドラマ」だよ。
結局、女性はどうなってしまうのか?
だろ。
幼い、届かない、近づかない、恋心
細田守とえいばの写実的な描写モリッモリ。アニメーションなのにドラマのように入り込めてやっぱりいいですね。
計3パートに分かれた恋物語。それぞれ主役格は変わりますが、通して描かれている人物は2人。
その2人の想いや、そこに関わる人物の想いを小説のように語りながら魅せてくる。
写実的なアニメーションの裏で詩的な語りを常にしていて、満足感は満ち満ち。ずっと喋ってるし、語りは少し遠回しなので頭の回らない夜中に観るのはやめましょう笑。
“誰が語るか”“何を語るか”“何を語り、何を見せるか”で心情や想いを魅せてくる。60分ほぼずっと喋ってるけど、詩的で難しいのとは別にセリフだけで見ても多分ギリ内容は把握できなそう。補足的な意味ではなく、敢えて語らず絵で見せてきてると思う。アニメーションの活かし方が上手いんじゃ。
登場人物の気持ち悪さは、少しわかります。あどけなさとか女たらしだとか思うところは確かにあったけど、この一本で幼い両思い、青春の片想い、叶わなかった恋心を描写していると考えたら気持ち悪さもそこまで感じなくなりました。
あそこまで写実的に描けるのに人物だけ妙に気持ち悪く感じるのは、幼さや未熟さ、恋心の拙さなんかを表していると感じました。
展開があまりに早すぎてラストシーンはイマイチ感情移入できず……。澄田ちゃんパートが一番わかりやすく、自分も経験があるのでウワァァァってなりました。
美しく叙情的な画面の裏で〜
テレビで視聴。
流石に新海監督らしい美しい画面でした。
切ない雪景色、はらはら舞い散る桜の花びら、
溢れる熱い思いを象徴するような長い長い西陽。
アニメとして光の表現が本当に夢の様に美しい。
で、月に8回ほど映画館で映画を観る
中途半端な映画好きとしては
突き詰めれば、初恋の相手に囚われすぎて
生き方そのものに迷ってしまった悲しい男。
どうなってしまうのだろう〜〜
シュールな映画を観すぎたメガネの曇ったおばさん的には
主人公の先行きの心配があまりにも強くて、
苦しかったわ。
あかりを夢に置き換えると共感できる
告白が全てではないけれど、たかきもあかりもかなえも、最善策として言わずに断ち切る事を選んだはずが、
一生心に後味苦めに残るのだろうな。
スマホなくとも上の世代の人間達は、距離が離れてもうまく相手を思いやり心を通わせて次世代に命を繋いできている。たまたま不器用な3人が集まってしまったのではないかな。
東京で同じ中学に通うために合格したはずが、雪が深くなる栃木に引っ越すことになって先に離れたあかりは、先に絶望を経験したが自分から何通もたかきに手紙を書いて再会を実現させた。
たかきが鹿児島に引っ越すことになった時、今度はたかきの番なのではないかと思ったが、たかきもあかりも、今度はそう簡単に会えなくなるねと最後を感じてしまう。
その後ずっとあかりとの過去にとらわれてたかきは青い鳥状態なのに。
そのたかきを見て、親しくなっても決して自分に向かない目線に、辛くなるかなえ。かなえは高校はたかきと同じにするため頑張って受験し合わせたが、高卒後は進路が定まらず、サーフィンを高3で始めて毎日海でぼんやりして過ごしている。
かなえとたかきがロケット打ち上げを目撃する場面、
かなえは波に乗れた今日告白しようと考えていたがいつまでも言い出せず、結局ロケットのとんでもない轟音に全てかき消されてしまった。
自分の意思で関わる人の意思確認をして人生を舵取りできず、止まってしまっているたかきとかなえを象徴するようで真反対に、ロケットは宇宙の真っ暗闇に留まるのではなく闇を切り裂いて進んでいく。
あかりも、そうだったのではないかな?
離れたたかきを追える歳ではなく、栃木で雪深い闇の中を歩んで、それでも闇をかき消して未来を切り拓いていき、別の男性との結婚を選んだのではないか?
たかきは手紙なくともあかりを片隅に東京に進学し、疲弊するIT職で心を壊したようだが、頑張って歩んだ先にあかりではない交際相手?からも別の人との結婚のメールが届いた。
通じ合うには会話が必要。
メールもできるのに。
書いた文を送らず保存し続けるたかきの心情は、家族も友達もかなえもあかりも、誰も知らぬまま。
言わないと伝わらないよ、そのために人間には言語能力があり文字で会話がなくても伝えられるのだから。
そのようなメッセージを受け取った作品。
人間関係より、あかりを夢と置き換えた時に、わかる人も多いのではと思った。幼い頃はただただ好きで、なりたかった職業に中学生頃、その職業に就いている人から実際に話を聞くとそこで嬉しいと同時に圧倒的難関を感じてしまい、今までより遠い存在に心理的距離ができてしまう。進路を決める頃までまっすぐその夢に突き進めたら良いが、なんとなく諦めて、夢は夢として蓋をして、手っ取り早い選択肢から進路と仕事を決めてしまう。叶わぬ夢はずっと心に残るのに。ロケットの場面も、宇宙飛行士という圧倒的になるのが大変な職業が近くて遠い種子島で高校生活を過ごしたら、どんな進路になるのだろうな?そんなことを考えながら見た。
男性は恋愛ごとにフォルダを分けて保存、女性は上書き保存、こんなことをよく聞くが、その通りなのだろう。
実写映画→アニメの順で
昨日実写版の映画を見て、今朝アニメを見ました。
この順番で良かったと思います。
貴樹が幸せに向かって歩き出せることを願います。
映画の補完
○映画は今(2009年)にスポットを当てて深掘り
アニメよりもさらに貴樹の孤独感が伝わる。
それだけに彼の心の叫びが染みてくる
○小学校時代に電車の音や星を観る風景など追加
伏線となって美しく繋がっていく
○2人が渡せなかった手紙の内容
○再会の約束
逆にアニメの補完(映画でのカット)
○2人が朝まで過ごした納屋のお話
○種子島の花苗のセリフ 優しくしないで
○クライマックスの山崎まさよしの歌と共に貴樹の目はいつでも明里を探していたこと
○手紙をお互いに楽しみにしたが、やがて途絶えていったこと
あの頃に戻りたいと感じた🏫
誰もが持っている甘酸っぱい青春の思い出は、時々思い返す事はあれど決して戻れない…。この様な題材を堂々と映画にできるのは、新海監督だけでは無いでしょうか。ブレイクする前の作品の方が良かった気がします。台詞が結構ポエムじみていて、ラストは寂しいです。
蛇足5メートル
【所感】
劇場版を初めに観ました。が、物足りなさを感じました。映像の美しさや空気感はよかったのですが、全体に無理に話を膨らませている印象があり、心にすっと入ってきませんでした。特に松村北斗の配役は、アニメ版を見ると、あらためてミスキャストだと。高畑充希の演じる女性像も、薄情に映り、登場人物同士の距離が必要以上に冷たい感じでした。
本日、アニメ版のDVDを観て、印象は一変しました。3つの短編で構成されたアニメ版は、どのエピソードもコンパクトながら、登場人物の心の揺れや時間の流れがわかりやすかったです。へたに無駄な説明もなく、映像と音楽と間で物語が進んでいくので、劇場版では感じづらかった登場人物の心の痛みや届かない想いが胸に響いてきました。
第3話では、不覚にも涙がこぼれました。時間に流され、それでも忘れられない記憶のかけらがふと甦る瞬間を、PV的に描いていて、正直やられました。
劇場版のように無理に形を整えようとした物語よりも、アニメ版の余白のある語りのほうが、登場人物の心を感じられるのではないかと思いました。
軍配は圧倒的にアニメ版に上がります。劇場版は、説明しすぎた続編のような印象で、原作の持つ詩情を弱めてしまったように思います。アニメ版の完成度を考えれば、無理に劇場版を作る必要はなかったのではないかと。この作品が、本来伝えたかった「届かないけれど、確かにあった想い」を、無理に膨らます必要はなかったと思います。
やはり泣いてしまった
実写版の映画を観た後、TVで放映されてたので録画して鑑賞。原作アニメは短編の連作だった。新海誠作品は「君の名は。」「天気の子」「すずめの戸締り」は観ている(私も高く評価している)がそれ以前の作品を見るのは初めてだった。2007年が作品の公開なので、まだiPhoneも登場してないガラケーの時代だが、当時の最新のデジタル技術を駆使しリアルな街並みの建物や看板、美しい青空や星空や日本の原風景などが存分に映し出されていた。第1話と第2話は実写版では完全に踏襲していたことがよくわかった。雪の栃木のシーンは夜中から朝までどう過ごしたか心配していたが朝まで納屋で過ごし寝れたんだぁ、。とわかって少し安心した。
第3話は「One more time One more chance」が流れるなか、無数の景色と登場人物のカット割が続く超短編だった。なので、実写版ではよくこの物語を膨らましてもらい、しっとり美しい感慨深い作品に昇華してくれたと思います。
新海誠がこの実写版を観て「まさか自分の原作で泣くとは思わなかった」と言ってたが、実写映画がいい意味で超えてくれたことに感謝したからであろう。
ちなみに私は原作アニメも実写版もラストで泣いてしまいました。
テーマは飲み込める、秀逸。ただやたらメソメソされても..
3話で主人公に届くメッセージや電話スルーがよく分からなかったのだけど、ああ、社会人になってその時の彼女はいたんだけど、1話の子に囚われすぎて身が入らなかったってことか。と少し考えてわかりました。
しかしですな、あんな白けてたらさすがに3年どころか恋など生まれないのではあるまいか。
そして登場人物が終始いちいちメソメソするのがよくわからない。片思いを寄せる相手に会ったりするのは基本楽しいですからね。ああ、この人自分のことそんな好きじゃないか、と気づいたらめちゃ冷めたり、片思いが成就しないのは悲しいけれど、若い時はもうちょっと明るいんじゃないでしょうか。
別れたら泣くことはあるでしょうけどほぼ付き合う前の話ですからね。
他にもあちこち違和感や突っ込み所はありますが、映像美や表現は既にすごいし、若い時に強烈に片思いした相手がどっかにつっかえて前に進めない現象を花が散る秒速5cmに例えたのは大変に秀逸に思いました。
何とも感情がわかなかった
男女の時間と距離感
もうちょっとで届くかもしれないのに、あと1歩が踏み出せないって事は人生の中で何度もある。
その時に踏み出せなかった事ってずっと引きずってしまい、忘れたつもりでも何かの折に思い出して微かに心が疼いてしまう。
そして時間の経過と共にその気持ちも変化していく、そんな話。
踏み出す事が必ずしも勇気とは限らないし、考えて踏みとどまるのも自分の選んだ事、と気持ちを切り替えていくんだろうと思います。
勇気を出して冒険した中学生の繊細な心が伝わってきて、この作品に感動する人の気持ちはよく解ります。オバさんにはそこまでハマりませんでしたが。
花苗は可愛いですね。新海監督の理想の女性像ではないでしょうか。
でも、サーフィンやる時も夜遅く帰って泣いてた時も腕輪やアンクレットを付けていて、サーファーの中で流行っているのかもですが、サーフィンやる時チェーンのアンクレットはケガしそうで危なくないのかなと思いました。
10/31追記
新海監督独特の男のこじらせ方、というコメントを頂いて、更に考えてみました。
最初、本作で一番描きたかったのは第1話で、第2、3話はその後日譚のような位置づけかと思いました。でも、貴樹の思い出の中の明里よりも私には花苗の方が魅力的に感じます。そして第3話が短いのは何故か。
そこで、これは男のロマンを具現化した作品なんだろうと思いました。第1話はまるで宝物のようなキラキラした初恋の思い出。第2話では可愛くて健気で理想的な女の子に慕われる。これらは男の願望で妄想のようなものだから第3話で現実に返らなければならないのです。
監督の意図とは違うかもしれませんが、こう解釈する事で、1話のかなり無謀な行動も2話で孤高の男を気取ってるような様子も、まあしょうがないかと思えました。
センチメンタル
「なんで両想いの二人の手紙のやり取りがなくなってしまったのか。」と疑問で一杯になった作品だったが、好きだから連絡を取り合って結ばれるという現実的な関係性よりも、儚くて繊細な眩い揺らぎが宝なんだろう。
暖かくて明るいあかりちゃんの家に泊まればいいのにと思ってしまったが、雪の中、寒くて暗い二人だけの小屋が尊いという感じなんだろうか。
貴樹は遠くの何かを見ていると花苗ちゃんが言っていたが、それはあかりちゃんさえも通り越しているように思える。そして、貴樹自身も遠くを見てはいるがはっきりと何かを見ている訳ではない。そんなやさしく掴みどころがない貴樹に魅かれてしまったように思えた。
ラストは貴樹が踏切であかりちゃんとすれ違い切なくなったが、実は一番周りを振り回して自由に生きていたと思う。人それぞれの青春のほろ苦さに共鳴する作品なのかな。私は雪で電車が遅れ、期待が絶望に変わっていく想定外の状況に胸が痛くなった。
美しい映像とキレイなセリフ
映像も美しいし、セリフがキレイだった。
言葉を楽しむかんじ。
耳に心地よい響き。
「天気の子」や「すずめの戸締り」はそんなに好きじゃなかったけど、この作品は好きな感じだった。
子供の頃の約束って
その時は真剣で守れると思っても
人も状況も気持ちも変わっていく。
それぞれの人生。
とてもリアルに近い展開。
2人また出会って欲しかったけど。
踏切で2人が振り返るところは、「君の名は」を思い出した、「君の名は」は大好きな作品。
山崎まさよしさんの一番好きな曲がテーマ曲で
最後は歌詞とストーリーが重なって
切ない気持ちが盛り上がる。
実写版も観に行ってみよう。
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