秒速5センチメートル(2007)のレビュー・感想・評価
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新海誠監督作品の中でいちばんすきです。
2年ぶりくらいに再び見ました。今思えば、1回目に見た作品と少し違う「秒速5センチメートル」を見たのかもしれません。内容が3話に分かれていて、小学生中学生•高校生•大人とストーリーが流れていってました。最終的にふたりは結ばれるのかと思いきや、予想と違う展開だったのが少し寂しいですが、最後の方で「One more time,One more chance」という曲とともにストーリーが流れていっていたのがほんとうに感動でいっぱいでした。ああいうのが私は大好きです。「好き」という気持ちはなかなか相手に伝えられないし、恋愛は後悔がいっぱいです。その思いがこの作品に詰め込まれていたと思います。
甘酸っぱい青春の物語。それ以上でも以下でもない
君の名は
この作品が新海誠監督のものだと知って合点した。
そうでなければ真似でしかないと思っていたが、少しホッとした。
そうであれば、レビューのし甲斐も出てくる。
監督は、この切ない恋というものに対する想いが強いのかもしれない。
高校生の登場人物ではなく、小学生にまで遡ってその純粋さの秘密に迫りたかったのかもしれない。
1時間という非常に短い中に三部作を詰め込みながら… そもそも三部作になっているとも思わなかったが、永い人生と永遠に思われた純粋な思いの変化を描いている。
そうですか~ この作品。
綿密な描写はまさに「君の名は」 あのロケットの逆が隕石か?
ただ、波の描写には課題があった。
実在するモノの名前をモジっているのも面白かったが、「君の名は」ではそれをそのまま忠実に書いていたのもまたよかった。
ひとつの作品を作り出すことで次作への課題が見つかり、挑戦する。
そうしてできた大作の前の作品。
さて、
冒頭の踏切がこの物語の顛末を伝えていた。
アカリとカナエの物語は第一話と第二話で語られているものの、大人になったタカキと水野の物語は描かれていない。
タカキはアカリを追いかけるように東京に出てきたものの、お互い次第に当時の思いが薄くなってしまったのだろう。
それはおそらく大人になってからではなく、挿入された描写から想像するに種子島へ引っ越してからだったのだろう。
彼が相手もないままにメールを打つのは、未だ何も整理がついていない心の問題だが、その一挙手一投足こそが、人の心を描写している。
ここが監督が考えたであろう、純粋さがなぜそのままの形で成長していかないのかという「テーマ」のようなものがあるように思った。
誰もが持った記憶がある純粋さ。
それは何故失われるのだろうというごく自然な問い。
第一話の多くはアカリがナレーションをしていた。
タカキはそのナレーションに呼応するかのように純粋さと、アカリを傷つけた反省を持ち続けたことが描かれていた。
風で飛んでしまった手紙
したためた思いは、キスの前後で変わったこと。
第二話ではタカキを好きになったカナエの純粋な思いが彼女のナレーションに乗せられた。
カナエも純粋であるがゆえに、タカキの視線上に自分がいないことを発見する。
言えなかった思いを山崎まさよしさんの曲に乗せた。
第三話では水野という新しい女性とタカキは3年間付き合ったことが語られた。
しかし、二人の距離はたった1センチしか近づかなかったようだ。
さて、、
タカキは種子島に引っ越す前にアカリとの絆を強くしたのに、なぜ、手紙の交換をしなくなっていったのだろう?
ここがこの物語最大のミステリーとなっている。
ロケットと宇宙探索
ここにかけた時間と距離
これこそが恋愛に対するひとつの真実を捉えているのだろう。
タカキは弓道部に入りそれなりに打ち込んでいるものの、彼には疎遠になってしまったアカリとの純粋で真実だと思っていた「何か」に失望を拭えなかったのだろうか?
何気ない一日をアカリに報告していた中学時代
その行為だけが残ってしまって、純粋に感じた今日一日を、純粋にアカリに報告できなくなってしまっていたのは、会えない時間と距離間という事実
ここは経験者であればわかりやすいのかもしれない。
彼は再び上京した。
そこにあったのは間違いなくアカリだったはずで、でも、疎遠だった期間によって会おうとも思えなくなってしまったのだろうか。
彼は日々Pgrとして生活し、タバコと酒と散らかった部屋が彼の心の荒み具合を表現していた。
運命
冒頭の踏切と最後の踏切
「君の名は」とは真逆のような切なさ
ロケットは、打ちあがってしまえば決して戻ることはない例えなのだろうか?
タカキはロケットのようにアカリとの真実を探しに出かけたいとは思えなかったのだろう。
思考では遥か及ばない久遠を、絶望のように捉えてしまったのかもしれない。
そして、
アカリのナレーションは、疎遠になったころのものになっていたのかなと思った。
だから彼らが中学生だとは思えなかった。
おそらくあれは、もう手紙が途絶えてしまう間際のやり取りだったのだろう。
秒速5センチメートル 桜の花びらが落ちる速度
この単位は、満開の桜という二人の純粋な心が、距離によって始まった崩壊を意味しているのかもしれない。
カナエはロケットが時速5キロメートルで輸送されていく様を言葉にした時、
おそらくその時、
タカキはアカリの言った秒速5センチメートルという言葉の意味が、崩壊だと悟ったのだろう。
その時タカキの頭の中にあったサクラは、もうほとんど花びらがなくなってしまっていたのと思われるし、その事に気づいたのだ。
それ故、中学の時に会いに行った時も雪で、アカリが散る桜を見て何気なく言葉にした「雪みたい」という言葉と踏切での遮断機が、すでに二人の運命を告げていたのだろう。
しかし、
タカキは自分が心から信じていた自分自身の純真さと永遠の思いが、距離と時間によって蝕まれていくという事実を、決して認めたくはなかったのだろう。
それが水野の言葉に現れている。
男は失恋を引きずるものだが、この失恋物語は監督の認識を表現したのだろう。
永遠というものはなく、すべてが無常であり、それこそが人生なのだろう。
タカキは踏切でアカリとすれ違う。
それは、10年越しくらいで訪れた永遠の別れだったのだろう。
そして水野がタカキに伝えなければならないと思ったことは、おそらく彼女が今でも彼を好きだという「純粋な本心」だったのではないかなと感じた。
それはきっと、タカキが踏切で永遠の別れを悟った後、アカリと同じように新しい春の訪れとなるように思った。
多義的ではあるし、相変わらず私の妄想ではあるが、なかなか痺れる作品だった。
センチメンタル
男と女の温度差
2024年劇場鑑賞91本目。
パンフレットないのでマイナス0.5。最近はリバイバルでもパンフレット作るところは作るからそこは容赦しません。
この日前に観た映画が三本とも半分以上寝落ちという異常事態だったので、おみやげポップコーンを2つ買って1時間食べ続ける作戦(笑)
さすがに全部起きて観られました。
これ、1、2週間前に観た映画そっくりですね。もちろんこっちがずっと先に作られているのでこちらを先に観ていた人はあっちをそう思ったのかな?なんの映画かはネタバレになるので書きませんが。
自分新海誠作品を初めて見たのが君の名はからなので、それ以降の作品の男女は同じくらいの好意をお互い抱いていると思うのですがこれは完全に片方に寄ってますね・・・。切ない。
ミミはどうしたの?ひとりじゃ寂しいでしょ?
青春の誰でもあるあるが良く出てていい!3話あるけど2話目がお勧め!
久し振りにこの映画を観ました。すっかり忘れてたけど、やっぱり好きだなあと思って観てたら、最後になって、えっ?!ってなった。
そうだった。前もここでえっ?!ってなって終わったんだった。(笑)
2話目の話が好き!何か青春の思いってこんなだよね。お互いすごく好きなのに言い出せなかったりずっと思ってたり。はっきり伝えないからすれ違ってしまって終わってしまったり。本当は両想いなのに…。
ラスト、電車が過ぎたら彼女が居てほしかったなあ。彼女は気付かなかったのか?私なら振り向くなあ、絶対。
山崎まさよしの曲がぴったりだった。監督は10年前に流行ったこの曲を山崎まさよしに頼んで使わせて貰ったとか。
曲から着想を得て物語を紡いだとしか思えない程のシンクロ率ですごく効いていた。
とても切なくてきれいな小品です。
題名のつけ方が秀逸。
これだけで、観てみようと思います。
初恋の甘酸っぱさ、片思いの切なさを存分に追体験できました。
20世紀は、行き違いもすれ違いもたくさんあって、常時接続の今では味わえない趣があります。
私は、子どもの頃より、大人になってからの方が楽しいです。
思春期の必死だった遠野君、素敵な大人になって欲しいな。
声要らないかも🌀🌀
初期のころの作品だがおすすめ。
今年140本目(合計1,232本目/今月(2024年4月度)14本目)。
(前の作品 「フォロウィング」→この作品「秒速5センチメートル」→次の作品「流転の地球 太陽系脱出計画」)
古い作品の復刻上映があったので見てきました。
今でこそ日本を代表する有名な監督さんですが、当時(07年当時)はそうではなかったのか、本作品も60分ほどと短いため、映画の趣旨がよくわからず終わってしまうところがあります(少なくともすべての伏線は回収できていない。もちろん、映画の趣旨的に自分で考えてね、というものはありましょうが、60分ほどの作品ではやはり限界が来る)。
ただ、過去にこういった日本のアニメ作品があったこと、そして今でもまだまだ放映されている現在の最新作の有名作品ほかが放映されている同監督さんの初期のころの作品がどうったのか、という点について触れられた点はとても大きかったところです。
採点上、確かに60分ほどでわかりにくいなと思ったところはあったものの、現在ではネットフリックスほかでVODでも(課金すれば)見られるようで、あれもこれも書き始めるとネタバレどころの話ではありませんので、特に何も書かずフルスコア扱いにしています(かつ、法律上も怪しい描写が見当たらない)。
人間交差点
「今振り返れば、その人はきっと振り返ると強く感じていた」
「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」の3編からなる新海誠監督の劇場公開3作目。題意は「桜の花びらが舞い落ちる速度」を意味する。個人的には新海誠作品の中で2番目に好きな作品である。
山崎まさよし「One more time, One more chance」の印象が強い本作だが、全体を俯瞰しても美しい詩篇と言っていい。スマートフォンのない時代、時刻表と路線図を頼りに離れ離れになった幼馴染に会いに行く不便さが物語の美しさを惹き立たせている。
同時に、悔しくもある。この頃の新海監督は坂の上の雲を目指して駆け上がっていた。資金や環境の制約もあったことだろう。しかしその不便さがこれだけの作品を作り上げたし、同時に作りたいものを作れていたから、風景の艶というものが出せたのではないかと思う。
「君の名は」(2016)も良かったがこの辺りからどこか物足りなさを覚えるようになった。登場人物から肌艶が失われ、世間受けを狙っているような描写が多くなってきたように感じる。公開されれば観るには観るが、本作や「言の葉の庭」(2013)で味わった五臓六腑に染み渡る切なさが今ひとつ足りていない。一度観たらそれでいいやとなってしまう自分が悲しい。
僕が東京を好きになったのは新海監督の描写によるところが大きい。またあのみずみずしい東京の風景をスクリーンで見せて欲しい。そんな寂しさを、星が落ちそうな夜だから偽れない。
エピローグをプロローグに
10年以上ぶり、劇場では初鑑賞。
第1話と第2話における初恋の描写は、異常なほどに当時を思い起こさせるものがある。
『桜花抄』での諸々の設定が絶妙。
物理的な距離、金銭的な負担、日常的な行動範囲なとが有機的に繋がり、説明を省いても色々と伝わる。
あの時代は世界が狭く、その中でずっと一緒にいられると勘違いしてしまう。
逆に、そこから外れた瞬間に手が届かないように感じるのもそのためだろう。
『コスモナウト』の花苗は一番好きなキャラ。
純真で、真っすぐで、でも相手を慮ってしまう優しさや年相応の臆病さもあって、率直に眩しい。
飲み物ひとつにも、「どれを選べばかわいいと思ってもらえるか」なんて悩んでるんだろう。
最後の『秒速5センチメートル』は、踏切に本当に明里がいたかも含めて空白が多い。
しかし、最後の表情で貴樹が初恋に区切りをつけられたのかな、と感じさせる演出が上手い。
きっかけなんて、案外大きくもなければ具体的でもなかったりするんですよね。
明里と離れてからの貴樹は、その後の人生を本編を終えたエピローグのように捉えていたように思う。
それをプロローグと捉え直して一歩を踏み出すラストが、切ないながら爽やか。
淡い色彩や明滅する照明、揺れる列車の連結部、雲、鳥、蛇口など、心情の投影は素晴らしいのひと言。
物足りない部分は、清家雪子版のコミカライズが秀逸なので、帰ったら読み返したいと思う。
すでにフォトリアリズム的表現が完成の域に達していることに驚いてしまう一作
2007年公開の本作ですが、ようやく鑑賞の機会を得ました。後年、『君の名は。』(2016)以降の諸作品でその映像美を広く知らしめることになる新海誠監督ですが、すでに本作でその描写力は完成の域に達しているようでした。
事物の物理的な動きや質感を緻密に捉え、様々な光学的な現象を盛り込んだ上で監督が描く世界は、写実的である一方で何らかの感情を喚起しないではいられないような情感がこもっていて、明らかにフォトリアリズム的ではあるんだけど、さらに新たな地平を拓いたかのようです。
作品全体は約70分ほど短く、さらに3つの短編から成り立っているため、映像に目を奪われているとあっという間に観終わってしまいます。それぞれの挿話に登場する、貴樹という主人公の成長物語という側面もあるんですが、一方で作中では彼が同一人物であるとは(確か)明言していなかったため、それぞれを別の物語として観賞する、あるいは平行世界的な世界観と理解して観賞することも可能です。
空や水など、後年の新開作品の代名詞的な要素はすでに本作で重要な鍵として登場しているので、これらの要素をどのように扱っているのかを探る、という現在ならではの視点で作品を鑑賞することも可能です。観終わった後は山崎まさよしの歌声が耳から離れなくなることうけあい!
新海誠監督が一杯詰まっている
初めて観ましたが面白かった。あかりの言葉「ねえ知ってる?」で始まる冒頭のシーンで魅了されてしまった。小説読んでPrime Videoでもう一回観た。2007年の映画だけど、既に後の名作の原型があって、今作では最後に二人は会えなかったけど「君の名は」では会えた。短いけど、細部まで心配りされた映像は、監督の魅了が一杯の映画だった。
卓越した思春期の描写
タイトルなし(ネタバレ)
3話構成。全体で1時間だから一話20分?3話は短く感じたけども。
出てくるのは遠野貴樹と篠原明里、澄田花苗の三人だけ。エンドロールでもわかるようにスタッフが非常に少なくて、低予算で作られてると想像出来るが、その割には、映像は美しくストーリーも良いのでこの映画が高く評価されているのはよく分かる。
公開当時に鑑賞していたら高評価すると思うけど、今頃観た私からすると、やっぱりもう古い映像だと思ったので星3くらい。散っている桜の描き方が不自然に感じたし、全体的にちょっと古い。最新技術でフルリメイクできたらなぁ。
1話 桜花抄
遠野貴樹と篠原明里は同じ小学校に転校してきた。お互いに病弱で図書館で過ごすことも多かった。
やがて篠原明里は小学校卒業とともに、栃木へと引っ越しが決まる。二人は離れ離れになるが、篠原明里が手紙を送るなどして関係性は続いていた。
やがて遠野貴樹も鹿児島へ引っ越しが決まる。更に二人は離れていく。
引っ越し前に遠野貴樹は篠原明里に会うべく電車で栃木へと向かう。しかし、雪の影響でなかなか進まない。
ようやく駅に着くとそこには篠原明里がいて二人は再会する。
2話 コスモナウト
遠野貴樹は鹿児島の種子島にいる。高校時代の話なのかな?
遠野貴樹に片思いの澄田花苗。澄田花苗は告白をしようとするが遠野貴樹に気持ちがないことを悟り告白をせずに諦める。
ロケットが打ち上がる。
3話 秒速5センチメートル
社会人になった遠野貴樹。リモートワークしている。しかし、退職してしまう。街を歩いていると篠原明里に似た女性と踏切ですれ違う。お互いに振り返るが電車が走り抜けていく。電車が通り過ぎたあと、遠野貴樹の視線の先に女性はいなかった。
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