「性の孕まぬエロス」ハンナ ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
性の孕まぬエロス
ふ~。シアーシャ・ローナンちゃん、堪能いたしました。
溌剌としたエロス(色気?)とでもいうと御幣があるでしょうかね。
何でしょう。イチイチどれもが格好良い画作りなんだけど、それ全部タイトルロール演ずる彼女の魅力を際限なく引き出す為だけ、そこのみに労力費やしてる風に感じました。ストーリーも含めて。
彼女のPV的なノリとでも云えば分かり易いかな。
アイドルDVDのイメージが膨らんで、本格的な物語を付けて映画にしてみました!みたいな。
若さ弾ける彼女の躍動する生命力を観よ!という感じの。
脇の豪華俳優陣、エリック・バナやケイト・ブランシェットやら、彼らも全部、彼女に華を添える為だけの布陣というか。
色調乏しいザラついた画。
唐突に打ち鳴らされるダンスビート。
音と共鳴するかの様にプロフェッナルな殺戮をこなす彼女。
純真無垢、イノセントな表情をアップで眺めてみたり、突如キリングマシーンへと豹変する彼女の近接戦闘を眺めてみたり…映画自身が彼女に向ける視線。
何故に物語は、対象は、主役は少女であらねばならないのか?自らに問い、自ら答えてるかの様な、そんな印象も受けたりして。
そして、彼女のそれと対比したカタチで相対するケイト・ブランシェット。
純真さゼロ。執念の塊、執拗に少女を追跡する大人の女性。
この子どもと大人、敵対する二人が醸す雰囲気が、全く性描写を描かないのに、何故かワタクシ、エロスを感じてしまいまして。
シアーシャの女友達への友情キスや、ケイトの無心で血が出るまで歯を磨くシークエンス。これがなんかエロい。
性の介在しないエロスに、監督の意図しなかったであろう変な興奮を覚え、劇場を後にしました。
是非、続編を。
コメントする