劇場公開日 2011年5月27日

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「NYには、人の運命を変える不思議な力ある?どこまで貴方は自分を信じるだろうか?」アジャストメント Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0NYには、人の運命を変える不思議な力ある?どこまで貴方は自分を信じるだろうか?

2011年7月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

あなたは、運命を信じるだろうか?この映画は、運命が存在するか、しないのか?と言う、この人生の謎に、新たなイメージを作り上げたユニークなラブコメディーと言える。
あなたが、もし運命論者でそれを信じているなら、自分の身の上に起こる事柄の総てには、自分では理解出来なくても何か理由が有ると考え、良い事も、悪い出来事も人生で起きるその総てを運命として比較的容易に受け入れることが可能だろう。しかし、その一方で運命を全く信じない人間には、自分が人生で経験する総ての事柄は、自分の力で、創り上げてきた実力の賜物と感じる事だろう。だが、そう言った事柄の総てが、自分の知らないところで、第三者の手によって作り上げられていたとしたら、人の行動や、感情は、いかに変化して行くのか?その上、他者によって創作された、その出来事自体を、本人の意思で、また変える事が、出来るのか?と何とも、複雑な人の運命を操るのは、本当は、誰なのか?と言う難問を、会う筈の無かった女性に出会い、運命を感じてしまったM・デイモン扮するデヴィットが、彼女との出会いを運命の恋と勘違いし、信じてしまう事で、運命の歯車は、書き変えられる事になると言う奇想天外な話しを、映画にした、M・デイモンには、珍しい、ファンタジーとも言うべき恋愛作品である。彼は操作される運命に逆らい、自らの手で、その彼女との出会いを本当の運命として再び自分の身の上に、引き寄せてしまうまでを、軽快に、NYの街を所狭しと、自在に駆け巡る、最もロマンチックなラブコメのこの映画は、M・デイモンの彼の今迄と違う魅力を展開する優れ物だ。『ボーン』シリーズでは、細身のマッチョが、魅力的だった彼も、『インフォーマント』以降は、ガチマッチョに成りつつある現在では、ラブストーリーは、もうそろそろ卒業か、と言う頃であるけれど、演技派の彼ならでは、まだまだこれからも、この手の作品にも、期待を見出すことが、出来るのかも知れないと期待を見せつけてくれるのだ。結構これからは、H・グラントなみに、ラブコメの新たな魅力にハマるのかも知れない。『ヒヤ・アフター』でも、そう言えば霊能者と言う特殊な青年の恋愛を巧みに演じていた。これから、俳優デイモンの彼の運命は如何に?彼は俳優の運命を書きかえると言う事が出来るのか?この映画を見ていて、
はらはらと、映画それ自体より、気になるのだった。『インビクタス』は、これも全く違う役どころ。いつも、多彩な面を見せてくれる彼の出演する作品に、はずれはないと、私は個人的に、いつでも安心して楽しんでいるのだが、今回も後味の良いラストで、満足出来る作品であった。
映画では、多種多様な人の人生模様がいつも展開する。しかし、その中で描かれる人生の物語が、必ず観客の人生にも、共通する要素を何か描き出し、かつ新たに、観客の人生に今までにない視差と、人間理解を誘う事が出来る作品を、秀作と私は定義している。この作品も人生に対する、ある視点を示してくれていたと思う。映画との出会いも、人生の一つでもある。時に一冊の本や、一本の映画が、その人の運命を大きく変える事すらある。
どの映画を選び、どの作品を見ないかは、自己責任であるはずだが、これも誰か第三者によって創造されていたとしたら、あなたは、自己の人生を何処まで信じて生きてゆくだろう?この映画は自分を信じる力を呼び覚ましてくれる良作の一本であった。

ryuu topiann