劇場公開日 2011年5月27日

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アジャストメント : 映画評論・批評

2011年5月24日更新

2011年5月27日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー

恋愛を軸に現代の寓話的SFに仕上げられた秀作

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フィリップ・K・ディックの短編小説をそのまま基本設定にし、新たに、若くて誠実な政治家デビッドという魅力的な主人公を立て、現代の寓話的SFに仕上げられた秀作だ。

設定は、人の運命は第三者によって決められ、調整されているという神の存在を連想させるもの。だが、自ら脚本を書いて監督デビューを飾ったジョージ・ノルフィは、宗教色を排除し、調整者を人間ぽく描いた。念力は少し使えるものの、ミスを犯し、神とは思えない。また、彼らが街中のドアを利用した秘密の通路網を整備し、素早く移動するアイデアも実にユニーク。鍵は帽子で水に弱いという制約もサスペンスを楽しく盛り上げている。大掛かりなVFXに頼らず、あり得そうな現実の裏側を見せ、異星人や別の人類など、彼らの正体をあれこれ推理できる仕掛けなのだ。

「運命は変えられるか?」という主題を誰もが身近に考えられるよう、恋愛を軸にした点もうまい。デビッドはエリースにひと目惚れするが、そのまま突っ走るわけではない。3年間会えず、さらに紆余曲折を経て結ばれるが、一度は別れを決意する。それでも彼女を求める心の叫びは消えず、運命に挑むのだ。

調整者はデビッドに、エリースと別れねばならないもっともな理由を話す。が、同様のことは、調整されなくても考えるに違いない。そう、運命は決められているように思えても、本当は自分が決めているのだ。加えて、日常のちょっとした出来事が人生を、さらには社会を変えることにつながっていくことも暗に示し、なんとも味わい深い寓話となった。

(山口直樹)

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