「SF・ラブ・ストーリー」アジャストメント bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
SF・ラブ・ストーリー
『ジェイソン・ボーン』シリーズを初めとして、今や肉体派アクションスターとしての揺るぎない地位を築いた、マット・デイモンが主演の10年程前のラブ・ストーリー。本作ではそうした激しいアクションは一切封印し、議員候補でありながら、トイレで偶然出会った一人の女性を追い求める、一途な男を演じている。
そのマットのお相手は、ダンサー役の若き頃のエミリー・ブラント。こちらも『クワイエット・プレイス』や『ボーダーライン』では、強い女のイメージがすっかり定着してきたが、本作の様に恋する美しい女性を演じるエミリーもとても魅力的で、個人的にも大好きな女優である。
本作では、未来を予知でき、運命を操ることができる謎の組織のエージェント達が2人に関り始め、SF的な要素も深まっていく。その組織は、何故か2人の恋愛を妨害しようと、何度か2人が別れる運命を企てるが、その都度2人は再会し、愛を確かめ合っていく。その妨害理由は、マットが議員候補ということからも、途中からは何となく推測できた。
また、エージェントの帽子を被ると、周りのドアが、美術館やスタジアム、自由の女神のリバティー島に倉庫…等、いろいろな所に繋がる、『どこでもドア』の様なドアが出現する。そのドアを利用して、マットとエミリーが手を取り合ってエージェント達の追撃から逃げるシーンが、本作のクライマックス・シーン。最後に追い詰められた2人の運命は…?
正直、もっと派手なアクションやエージェントとの激しいバトルもあるのかと思った分、やや拍子抜け。しかし、組織によって事前に定められていた運命をも変えてしまう、2人の愛の強さをテーマに、大人の男女のラブ・ストーリーは、何とも微笑ましい作品となっていた。