わが母の記のレビュー・感想・評価
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まるで、ルキノ・ヴィスコンティのイタリア貴族一族の物語の日本版のような映画です
わが母の記
2012年公開、松竹
同名の井上靖の小説の映画化
原作は老いた母の80歳ぐらいから、亡くなるまでの10年程を描いた私小説です
その映画化ですから、本作も作家の主人公と認知症を患っていく母との交流がメインの物語となります
しかし、映画としての本作は、それを描くと同時に、違うものを描こうとしています
それは戦後日本の上流階級の家族の風景です
まるで、ルキノ・ヴィスコンティのイタリア貴族一族の物語の日本版のような映画です
伊豆の屋敷、川奈のホテルなどの当時の庶民とは大きく格差のある生活ぶりが、美術セット、衣裳など克明に再現して映像化されています
名優達が結集されていて、若い娘役を除けば皆昭和な空気感を出せる俳優ばかりです
昭和の空気感が破れて、21世紀の空気が流れ込んでしまい夢が覚めることは一瞬もありません
それにカメラが抜群に上手いです
カメラは芦澤明子さん
柔らかな暗めの光源で肉眼に近い見え方で、その俳優達を捉えていくのです
しかもその構図の取り方にも味わいがあります
家屋の中、外、どこを撮っていても気付くと直線の透視線と消失点を感じる瞬間があるのです
小津安二郎作品のような縦横の直線の拘りが画に美の快感を感じるように、そのような感覚を覚えました
また
「七つの大罪」、「処女の泉」
イングマール・ベルイマン監督の代表作名が突然登場人物から飛び出します
けれども、それは、監督の好みということだけで、本作の根幹には関係のないことのようです
樹木希林さん
さすがの名優ぶりでした
本作では杉村春子さん的な味わいがありました
このような上手い老け役女優は昔は何人かいたものでしたが現代では思い当たらないのは悲しいことです
良い話だが残酷な物語
家族の愛
お母さん、と渡る海峡
若いからその死は辛いが、
年がだいぶいった人なら
もう十分生きたのだから大往生だ。
昔なら赤飯炊き、祝い箸配るとか、らしい。
とんでもない‼️
いくら年を重ねようと、
だんだんと自分や周りのことがわからなくなり、
突然、キレたり強情張ったり、
しても、
自分を産んでくれた母なんだよ。
捨てられた、と思い、
土蔵のばあちゃの作ってくれた
ご飯しか食べなかった。
いくら
本家の祖父ちゃん祖母ちゃん母さんが引き止めて
食べるよう何度も勧めても、だ。
私をアメリカ🇺🇸さんと、叔父さんと間違えて、
まだ違う人と間違えて、
たまたま言ってくれたこと。
私の息子を盗ったあの女、いなくなって良かった。
お父さんの転勤で台湾に行く時、
子供達をバラバラに分けて船に乗せ、
一人でも生きていけるたくましい子を
実家にひとり残していかないと、
ご先祖様に申し訳ない。 って。
母さん、
知らなかったよ、
あれ、僕の目から何か出て来た。
顔洗って来よう。
付け足し:
作中に『東京物語』についての長女の志賀子の
言葉がありますが、やはり、あの長男長女は薄情だと言ってられました。
母の愛情は強い
訳あって子供の頃に母親に置き去りされたと心を痛める息子。父親が亡く...
樹木希林がうまいなあ
井上靖の自伝的小説が原作。かなりセレブでムカつく(笑)樹木希林はじ...
何故か鑑賞後に自分の老後が心配になった
初めての鑑賞
自分は母親に捨てられたと思い込んでいる主人公
実は船が沈没し一家の血筋が途絶えることを恐れて、長男を残したことを知らなかった
母はそのことをずっと後悔していた・・・・
良い映画を見た
樹木希林の演技はすごい
演技と分かっていてもイライラした
何故か自分が認知症になったらどうしようかと心配になった
山葵が足りない。現代のお伽噺。
祖母を思い出してしまった…。
良い人だらけの映画。
粗筋読めば、もう少し心がささくれ立つところがあると思うんだけどな。
原作未読。原作がそうなのか。演技がそうなのか。演出がそうなのか。
とにかく、樹木希林さんの演技は圧巻。
息子を思う母、嫌味なばあちゃん、幼児化した様。
息子を巡る取りあい。しかも息子は相手方を良くいい、自分のことは恨んでるらしい。やりきれないよね。息子の心を取り返す為に鬼気迫る形相にもなる。
そして幽霊のような進出奇抜さ。
そして、眼の焦点すら合わない表情。これが演技で演じられるものなのか。
ばあちゃんを見ながら、ハラハラドキドキ。
認知症になった後に亡くなった自分の祖母が画面にいるかのようでした。
周りの出演陣も好投していたんだけど…。
親子の確執ってあんなもん?ばあちゃんと洪作の確執。洪作と三女・琴子の確執。
時間が流れているのはわかるけど、
諍いしている時の葛藤があまり際立っていないから、
ちょっとした喧嘩で、あっという間に仲直りできたように見えます。
役所氏の本来の人の良さが、葛藤中の演技にも出てしまって、肩透かし。師匠の仲代さんだったらもう少し凄味が出たんじゃないかなあと思う。他の役者なら、もっとやりきれなさとか複雑な想いとか、神経質なところとかが出たのではと思ってしまう…。
例えば、「僕は母に捨てられた」とよく言うけど、映画の出だしから母への眼差しが温かい。成人男子だったら、表面的には「母への恩・敬愛」を示しながらも、実は密かに母に向ける眼差しが冷たいとなるんではないだろうか?「捨てられた」という言葉に含まれる、恨み・嫉み、悔しさ、情けなさ、それでも断ち切れずに求めてしまい、どこか「愛されていた」という確証を探したい気持ち等々が見えるときもあるけれど、見えてこない時の方が多い。というか、見えるように見えるときも”演じている”のが、わかってしまうから、今一つ伝わってこない。のれない。親と確執ある身には「そんなもんじゃないぞ」と言いたくなる。
家長としての存在も、ただ大きな声で怒鳴っているだけで凄味は感じられない。底の浅さは見えるけれど…。
もう一つ、セレブな生活も、セレブに最近なった人のセレブ生活ー慣れなくて、無理している感じ、ちょっとおどおどしている感じ。役所氏も相当なセレブなはずなのに、なぜなんだろう。
あおいさんもひょうひょうとした雰囲気が災いして、思春期の反発の影が薄い。介護のストレスにしたって…。たんなる仲の良い親子のじゃれあいにしか見えない。
洪作の妻の扱いも不満。お手伝いさんにしか見えないよ。洪作の妹達の奔放さに比べると。
でも実は、家族の根っこを握っていたのは…。というシーンもさりげなさすぎるほど、さりげなく描かれている。のだが、地味な妻なので、見過ごしてしまう。
そんな中でも、三國さんはすごい。寝ていて、息子へ手を伸ばして、手を握り、離す。たった、それだけなのに、この方の元気なころの性格、息子との関わり方が見えてくる。
鑑賞後の感想ではこんな感じでしたが、
インタビュー記事や、他の方のレビューを拝見して、愕然。
小津作品を勉強してこの作品を作った?え?どこが?
確かに、それらしい場面はあるけれど…。
映画全体の腰の座り方が違う。構えが違う。
画面の構図の問題だけでなく、テーマに対する切り込み方。小津作品は舞台を観ているかのように、あまり動かない。この映画は視点が変動しまくる。
テーマへの切り込みも小津作品は鋭いが、この映画は「何をテーマにしたかったんだ?家族を描きたかったのはわかるけど、家族の何を描きたかったの?」と詰め込み過ぎて散漫、切り込みが甘い。
また、小津監督なら、登場人物の心情を台詞で言わせない。この映画は、上記の「母は僕を捨てた」と洪作が思っていることも、洪作の作品に描かれていると言う以外に台詞で”説明”しちゃっている。他にも多々”説明”台詞が出てくる。小津監督なら登場人物のやりとり、関係性、演技で見せる。心情が台詞で出てきたとしても、”説明”ではない。
人と人とのぶつかり合い、心のささくれも、小津監督は描きぬく(とても冷徹なシニカルさがありつつも温かい)けど、この映画は、そういう葛藤はほとんど描き込まずに、心温まる交流場面にしてしまっておとぎ話になっている。この映画の演出なのか、演技なのかシニカルさはない。
小津監督は、本当に日常の些細な出来事の積み重ねを描く。一見些細な出来事なんだけど、どこにも無駄のない研ぎ澄まされた場面の積み重ねで見せてくれる。反対に、この映画は無駄が多いし、説明不足も多い。
そんな違いから、この映画は小津作品を表面的に真似てみただけの作品にしか見えず、小津作品とこの映画を並べられると不愉快で☆3つ。
とはいえ、希林さんの演技に浸りたいから、何度も視聴すると思います。なので☆ちょっとUP。 (完全に主観・好みの評価)
息子だとわからず「どこかのどなたか」という認識しかできないけれど、息子に背負われて安心しきって眠るばあちゃん。あんな風に全存在を預けられる存在がいるっていいですね。
必要なのは謝罪か愛情か?
これは下手な人がやるとクソつまらない映画。だけど本作は演技や演出等々の技術が最高峰ですごくおもしろい!!こういった本気の底力が感じる映画が大好き。余韻に浸れる最高の映画でした。
主人公は母親に自分だけ親戚の家に8年も預けられ、母親に対してわだかまりを持つ50代の小説家。母が認知症になってからの10年で少しずつ関係が変化し、母親の愛情を感じていくストーリー。
よくある過去のわだかまり解消話とは一線を画すので要注目!過去の出来事(わだかまりそのもの)にフォーカスが当てられていない事。波瀾万丈人生(なのかは分からないけれど)それはどうでもいい扱い。
だからこそ、観客は「自分の方が大変だった」なんて思わずに、主人公の息子として父親としての生き方に考えさせられ共感するんじゃないかと。
親に対しての怒りや悲しみは多かれ少なかれ、誰にでもあって主人公が求めてるのは謝罪なのか愛情なのか、どうしたら救われるのだろうとずっと考えさせられました。
また、70代の樹木希林、10〜20代を演じた宮崎あおい、それぞれ同世代が共感出来るようになっていて幅広い層に楽しめる内容だと思います。
過去に焦点が当たっておらずそのため謎が多く、大衆が好む内容ではないと思ったので✩4に。
私も過去をもう少し知りたかったけど、あえてないところがこの映画の良さなんだろな〜もどかしい…!
樹木希林のアイドル映画
宮崎あおいが宮崎あおいを、樹木希林が樹木希林を演じるアイドル映画。宮崎あおいがカメラ持つと一気にオズマガジンとか「これが私の秋コーデ」みたいな空気の軽さが出てしまう。
キムラ緑子と赤間麻里子の演技に支えられてる。役所広司は映ってるだけで成立してしまうけどそれは作品の力ではない。
褒めたいところはひとつ。赤間演じる妻が「あなたは捨てられたと思って構わないんです。素晴らしい小説書いてくださるんだから」というこのセリフだけが怪しく立っている。
役所広司といえば後年の『すばらしき世界』とテーマがけっこう重なってる。
樹木希林はこの頃すでに生前葬みたいな勢いで似たような役柄で映画でまくっていて金太郎飴に感じる。映画からの価値 提案や緊張感、あるいは問いの発見がない。虹がかかるような予定調和的な筋書きにうっとりというかこっくり眠気に包まれる!
恩讐の彼方に
こどもの頃の記憶って強い。うちの母親も、ずーっと昔の恨みごとを言うし。ボケてくれば、そういうのもだんだん消えていくのだろうか。樹木希林は本当にうまいわー。
伊上のわだかまりもくすぶってる。本当は親にも事情があるし、こと細かに説明しないだけなんだけど、一度もつれると修復できない。もやのかかった母の記憶の中に、浮かび上がる詩。魂が浄化された一瞬だった。
自然の描写が、しっとりと美しい。日本の四季は、ほんとにきれいだ。
蛇足だけど、作家先生の周りは、やはり学のある人が集まるのか、話すことが高尚。娘たちも高い教育を受けて、大事に育てられたお嬢様って感じだし、奥さんも賢くて器の大きな、よくできたお方。あと、秘書さんの切れ者ぶりもすごかった。下働き役の真野恵里菜が、まさか手鼻をかむとは。かわいいだけの女優ではない、根性を見せてもらった。
女優 樹木希林
老いた母親の八重(樹木希林さん)が呟いた言葉に、息子の人気作家伊上(役所広司さん)嗚咽する姿に涙した。
樹木希林さんの実の娘、内田也哉子さんが映るシーンが印象的。
樹木希林さん、役所広司さんお二人の演技が秀逸。
-お母さん…と…渡る海峡。だけど、僕の一番好きなのは、地球の何処にもない小さな海峡。お母さん…と…渡る海峡…。
NHK-BSを録画にて鑑賞
見事な樹木希林の演技
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