「別角度の宇宙から描くはやぶさと人間のドラマ」はやぶさ 遥かなる帰還 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
別角度の宇宙から描くはやぶさと人間のドラマ
はやぶさを取材した映画やと去年、堤幸彦版が公開されており、展開に新鮮味は薄まっているが、人間ドラマとしての味わいはまた違う面白さが有った。
堤版では案内スタッフの竹内結子が可愛らしく丁寧に説明してくれるので、解りやすさを強調していたのが大きな特徴。
それをふまえたうえなのか、今作のナビゲーターは、プロジェクト責任者の渡辺謙が務める。
チームのトップが総指揮を取っている姿を追っているため、計画の中身に更に一歩踏み込んだ世界観に仕上がっていた。
より濃密に工程を描写する故、内容面が難解になり、把握しづらくなる恐れが高い。
そんな眠気防止のため、女性記者・夏川結衣の父親であり、部品の製造者でもある下町工場の社長・山崎努にクローズアップしているのが、今作の大きな特徴。
協力者の心中に迫る事で、堤版とは違う深さの人間ドラマを発掘している。
スタッフの江口洋介と吉岡秀隆との熱い衝突もとても見応え有り、危機感を煽り、息を呑む。
神社で山崎努と渡辺謙が帰還の祈願をするツーショットを観た時、
「あれ!?この2人の光景どこかで観たなぁ〜」としばし、考え込んでしまった。
鑑賞後、温か〜いラーメン食って帰りたいなぁ〜と思った際、
「あっ、そうや、タンポポやがな〜!!」
と、ようやく思い出した。
伊丹映画で一番好きな作品だったんだよねぇ〜。
たしか、ガンさんとロクちゃんやったっけ?!
(役名は思い出せない…)
あの時は最強のラーメン屋作りに切磋琢磨していたけど、30年近く経た今じゃ〜最強の宇宙衛星作りやもんねぇ〜〜。
つくづく時代の流れを感ずる。
私は何か変えられたことがあっただろうか?
夜空の星を見上げて、ふと呟く。
まっ、いいや。
ラーメン食って帰ろ〜っと。
その前に短歌を一首
『宇宙(そら)の波 乗り越え掴む 星の砂 のぞみ燃えども 夢を見上げて』
by全竜