戦火の馬のレビュー・感想・評価
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スピルバーグはもう楽しめないのか・・・
迷い々々ながら、今度こそはを願いの鑑賞。
賞取を意識しだした、プライベートライアンあたりから
スピルバーグのつまらない作品が増えてきたが
さいきんは顕著、寄る年なのか・・悲しい。
馬は何も言わないけれど
馬とともに視点が変わる。
馬を通して戦争を描いた作品。
人間の身勝手さが心苦しかったです。
ストーリーはわかりやすく明瞭。
でも、テーマが重たいので観るのに労力が必要かな。
展開は早くもう少し一つ一つの場面に時間をとってもよかったかも。
まぁ映画だからこのくらいにまとまっちゃうよね…。
馬が好きなら・・・
馬が好きなので観に行きました。
途中から終わりごろまでは嗚咽がするほど泣きました。
悲しみと感動と両方の気持ちでしたが観て良かったです。
CGを使ってないのに馬のジョーイの演技は凄いとしか言い様がないし、本当に賢くて逞しくて良い馬でした。
主人公とジョーイの深い絆を感じました。
ジョーイが行く先々で様々な人間や運命に出会い、残酷な戦争の中をひた走るジョーイに圧巻でした。
ジョーイが様々な人に渡されていくなか改めて戦争の愚かさや残酷さ、悲しみを思い知らされました。
完璧な理想映画を求めて行くとすれば納得できないシーンも多々ありますが、主人公とジョーイの絆は深い所で感じ取る事も出来たし最後は安心出来たので全体的に良かったと思います。
最近のスピルバーグらしいご都合主義に万歳!
映画とはわかっていても、サラブレッドを農耕馬として使ったり、
鉄条網に絡まっても深刻なケガを負わなかったりと、ツッコミどころが満載です。
最初は主人公にしか、なつかなかった馬は、物語が進むうちに、誰にでもなついてしまいます。
なんというか、この馬の立ち位置ってどう観たらいいのでしょう?
その割りにこの馬に関わった人達は、主人公以外、みんな不幸になるんですよ。
ある意味呪われた馬ですよね。
結局、無理矢理のハッピーエンドで大団円。
ほんとおめでたい作品だと感じました。
共感しっぱなしでした
当方学生時代馬術部でしたが、ジョーイを可愛がる主人公のアルバートに共感できてとても楽しめました。
子馬のときに一目ぼれした気持ち
親父がつれて帰ってきて、世話を申し出た際の責任感
徐々に自分に懐いてくれる嬉しさ、可愛さ
家族を守るため親父に売られたときの悲しさ、悔しさ、やるせなさ
諦めていただろう時に戦地で再開した驚きと喜び
他にもどんな時にもいた馬達を可愛がる人達に一々共感してました。
私が世話してとても可愛がってた馬は走ることが出来なくなり、よそに移りましたが
ジョーイは帰ってきて本当に良かった!!譲ったおじいちゃんステキ!!!辛かっただろうけどね!
ご都合主義バンザーイ!
警戒してるときにも耳ピン立ちといった不自然な馬の様子も気にならないくらい
良かったです。
物語の原点。
本国ではあの「タンタン」と同日公開だったんだとか…^^;
すごーい!
今作と其作。対極にある作品をドンと蔵出しスピルバーグ。
日本の観客は多分、タンタンを鑑賞後に今作を観ているので
うわ、ゼンゼン違う(爆)雰囲気にビックリさせられる。
でもどちらにもスピルバーグ魂は健在だということに気付く。
私的に最近では彼の映画に勢いがなくなった…という気が
してならないのだが(それは仕方ないか)完成度の高い作品を
未だに私達に提供してくれることに感謝したい。さすが巨匠。
馬が大好きな私は、ほとんどの馬映画を観ている。
しかし今回は素晴らしい、なんて美しい馬たちを(何頭だ?)
おそらく駆使して撮りあげたのだろうが、まぁこの馬たちが
見事な演技を披露する。モノ云わぬ馬同士が視線を絡ませ、
俺に任せろ!と云わんばかりに歩み出るところなんか号涙!!
なんなのよもう、この子達ったら…(T_T)アカデミー賞あげるわ。
もちろん主役のジョ―イ、そしてライバルの黒馬も見事だった。
そして今作、牧歌的風景から戦場へ送られ、様々な人と出逢い
ながら、戦火を潜り抜けて生き抜く馬の力強さに圧倒される。
どう考えても生き残れるような現場ではないのに、まさかと
思う活力でこのジョ―イは生きて、更に帰ろうとするのである。
それを圧倒的なスケールで見せる監督の映像表現も見事だが、
所々に笑いも取り入れ、名作へのオマージュまで表現している。
思えば先に観た「ヒューゴ~」でスコセッシが描いていた世界を
スピルバーグはこういう形で(馬を使って)表現したのかなと思う。
古臭い、ありふれた、単純で、地味で、オーソドックスな物語を
これが「原点だよ」とわざと観客に見せているような気がするのだ。
なんだこれ、古くせぇ。つまらねぇじゃん。と思う観客がいるのは、
映画がそれだけ進化して(してしまって)方向性を変えたのである。
人間同士の心の触れ合いや家族の絆など、そういう要素はあまり
変わっていない気がする。奇想天外な話の中にもちゃんとそんな
要素のある作品がヒットしているのは、どんなに時代が変わっても、
物語の原点は常にここにあるからだ、というのを言いたくて仕方ない
巨匠たちの「想いに浸った」作品が公開される所以と繋がるだろうか。
さらに今作は原作が児童文学ときてるから^^;敷居も低い。
おそらく子供が観ても、このお馬さんはどうして走り続けてるの?
えーと、それはねぇ…と説明ができるいい話だ。
馬を人間と同様に戦場へ駆り出させた愚かさと、大金を積んでも
ひと(馬)の心は買えやしない、という現実が最後まで胸に染み渡る。
よくぞ生きて、よくぞ帰ってきた!と
終戦後、我が子に声をかけることができた親はどれだけいただろう。
(これを舞台でやったというんだから凄いですね。観たかったなぁー)
スピルバーグ魂ここにあり!復活出来るか彼の映像作家としての力量はいかに?
やっぱりさすがスピルバーグやね!これぞ映画の醍醐味ってものを展開してくれる!
あなたは、映画を観る楽しみをどんな点に求めているのだろうか?
私は、スピルバーグの「激突」や「ジョーズ」は「スターウォーズ」と同様に絶対に大画面で観る楽しみを第一の目的として制作されている作品群だと考えているのだ。
昔でいうところの70ミリ・シネスコ映画という、デカイスクリーンで、そのド迫力のある画面を楽しむエンターテイメント性を重視した作品が、映画の楽しさの要素として重大だと思うし、そこに原点を置きながら作品作りがされているのが、そもそもハリウッド映画と言うものではないだろうか?それと比較するとヨーロッパの映画はヒューマニズム+リアリズムを追求した映像的な画面で見せるスケールのある美しさとか迫力の有る映像美や、その為の視覚的効果そのもので観客を楽しませる視覚表現よりもより「映画の中で語られる人間のキャラクター」の面白さとか、物語が持つドラマとしての内容の深さであるとか、
描かれる人物像の心理的葛藤などの側面に重視して制作されている作品がヨーロッパ映画の中には多い特長の様に思うのだが、その視点でこの「戦火の馬」を観ると、いかにもスピルバーグらしい、ドラマチックな映像美の優れた作品なのだ。
主役である、その子馬は、広大な緑の何処までも続くその美しい大草原の中で誕生し、やがて月日が経ち、その子馬は戦争に駆り出されてゆく、すると緑の大草原が一転して戦場の暗く重い生き辛い環境に変化する事で、観る者達に戦争の恐ろしさや、人間の醜さ残忍性などを瞬時に悟らせるのだ。これこそが映像が成せる力であり、映像と言う視覚表現手段を用いた芸術表現と言えるのだと思う。
そしてもう1つこの作品の面白さは、様々な形で登場する人間とこの馬との繋がりだ。
ここに人間が生きて、死に逝くまでの人生に起こる出会いのドラマ、人や動物たちがその生涯に経験する運命のサイクルとしての、縁というものが織り成す神秘性を描いている点にこそ、この映画の面白さがあるのだと思う。
人の生涯には幾多の足かせが有り、その思うにまま成らない理不尽な世界にあっても、一途に生きる事で、必ず道が開かれていく、生きる事そのものが持ち続ける力の素晴らしさこそは、やがて希望へとその力を変化させ、希望を失わずに人が生きていく事が出来るなら、その希望こそは、あらゆる困難をも退けてしまう力を備えていると言うスピルバーグの哲学が根底に有る様に思うのだ。
そのジョーイと言う馬を愛して、決して再開を諦めない一途なアルバート青年を演じた新人のジェレミー・アーヴァインの存在もこの映画の魅力の大きな点の1つだと思う。これからの彼の活躍に大いに期待したい!
スピルバーグの監督した作品では、「シンドラーのリスト」や「プライベート・ライアン」など戦争を描いた社会派の作品も少なくないが、今回も子馬と少年を軸にして描き出される第一次世界大戦の物語を彼が制作する背景には、やはり彼が若い時にヴェトナム戦争反対の世論の大きな波が彼らの世代を中心に起きていたと言う社会背景の要素が色濃いと思うのだ。ここに「ET」「ジェラシック・パーク」だけでない彼のもう1つの側面がある。
馬がかわいそう
一頭の馬を巡って戦争に翻弄されるさまざまな人々が描かれる。登場人物が薄味で誰もあまり好きになることができず、結末は全く感動しなかった。
戦場を馬が駆け抜けてイギリス軍とドイツ軍にちょっとした友情が芽生える場面はたいへん感動的だった。しかしイギリス軍は規律が大変ゆるく上官の命令を軽く無視していたのは軍としていかがなものかと思った。
あんまり面白くなかったなという印象だったのだが、後から思い返すと馬を完全に本物の馬としか見ていなくて、だとしたらあの演技はCGだとしてもすごいと思った。そして一切、擬人化した表現がないのもとても素晴らしい。しかし、馬自体にあまり興味がないので、心底感動もできないのが残念であった。
馬好きな人にはオススメです!
美しいのだけれども??
沢山のエピソ-ドを詰めるよりも、主人公の少年と馬の巡り会いや、すれ違いにもっと焦点を当てた方が良かったのではないのかな。ひとつひとつはとっても素敵なな話しなのだが,時間的にとても短くて深く描き切れていなかった。結局あの馬を競り落とした老人の孫娘がどうなったのか知りたかった。でも、あの馬があんな状態で助かるとはとても思えない。
英国
2012/03/12
今月は本命映画と大本命映画ばかりで困ります。
2012.3第一弾!!!!
WWⅠ時のイギリス軍が見られると聞いて(ガタッ
なな何がってイギリス大好きだし・・・・
軍服大好きだし・・・
映画の衣装大好きだし・・・・・・・・
ねっヽ(´∀`ヽ)
という訳で観てきましたが、
兵士達がいかに過酷な状況下に置かれていたか・・・ひしひしと感じました。
先日まで近現代の戦争に関する勉強をしていたので増々。
塹壕 塹壕と聞いたり古い映像を見てはいたのですが、今回の映画でイメージがより鮮明になった気がします。頭がおかしくなりそう(´・ω・`)
やはり戦争は言葉では言い表せない程、辛く過酷で悲しいもの・・・・
・・・・・だとは思うんだけど、これでは期末試験で戦争に関することで自分の出した(出してしまった)結論に疑問が残ります。もっと考えるべき事かと思いました。
っと、ところで
1人もーーーーーのすごく軍服の似合う俳優さんがいました。
うわわぁぁぁぁ。名前がわからんっΣ(゚Д゚;)
誰か名前を!!!キャプテン(=大尉)ってことはわかったから・・・・
ニコルズ大尉でいらっしゃいますかーーー(n‘д‘)η゚・*:.
とわかったは良かったのだが、わかってすぐに戦死してしまったorz
↑最後まで引きずってしまいましたよ・・・
でもって俳優さんの名前を調べてみると、
トム・ヒドルストンさんですか。ほう。
ってロキーーーーーーお前かぁぁぁぁぁぁぁぁぁ←
なんていうか、気が付かなかった自分にびっくりだけど彼の軍服の似合いっぷりにもびっくりでした。
マイティ・ソー大好きですよ。
アベンジャーズも楽しみにしていますよ。
でもね。軍服着てた方が素敵だと思うよ←
自分がいつからこんなに軍服好きみたいになったのか知らないけど・・・・
(・・・いや、確実に映画ワルキューレを観て以来映画の中の衣装と軍服に興味を持ったのは明らかだけど)
最近ひどいよな(;゚д゚)
帰る勇気!
素直に心打たれましたーー!!
中でもジャムのおじいちゃんの伝書鳩の話は、ジョーイの激走と重なり、胸が熱くなり涙が…
そぅだよね、帰る、って命がけよね。
(…と、3.11の自分の帰りたかった気持ちをうっすら重ねて。)
あまりのも純粋なその姿、人の良心が呼び覚まされるのかな。
その真逆の戦争の残酷さが際立ってました。
離脱した兄弟、大砲を引く馬の命を容赦なく絶つ。
不条理で残酷で何の為に戦っているのか全く分からない…苦々しくしみじみ感じてしまいます。
それゆえコインの場面は反戦をヒステリックに叫ばずとも答えのひとつになっていた。
ジャムおじいちゃんを再登場させたのも良かったし…
小さなエピソードを拾い上げゆく物語の進行が美しく響きました。
何より、何でも分かっている馬達。
素晴らしい演技!!
濡れた黒い瞳が忘れられないです!!
戦火の馬 「・・・・・」
大の馬好きなので 大変に期待していったのですが ハズレでした。
カメラは素晴らしいし ゆったりと古典的に流れる展開もそれなりにいいのですが そもそも 馬に演技をさせるというのが難しいのですね。
CGを使わないで トレーナーによる演技指導で動かしているそうです。
その心意気はたいしたものです。
馬の動きは一応その場にあわせてはあるのですが その状況と表情がちぐはぐです。
本当の馬がそのような状況で見せるであろう表情とはあまりにもかけ離れている場面が多いので その違和感で終始してしまいました。
お話は大変都合よく進んで行くものですから これまた う~ん 子供番組みたいだな~でした。
他の方のコメントにもありましたが 英、仏、独 全員が英語をしゃべるのも なんだかな~でした。
スピルバーグの限界
スピルバーグにはやはり、ディズニーランド的な題材がうってつけなのだろうと思う。例えば、「激突!」、「ジョーズ」、「ジュラシック・パーク」など。これらの映画はまさにスピルバーグでなくては撮れない映画であった。優れた娯楽作であった。しかし、「カラー・パープル」、「アミスタッド」、「シンドラーのリスト」、「プライベート・ライアン」といった人間を描いた映画では様々な破綻が見え隠れする。映画を芸術として捉えた場合、事実をそのまま正確にリアルに描けば、それでいい、という訳ではないのだ。戦闘場面や暴力シーンを殊更、大袈裟に描けばいいという訳ではないのだ。そんなことをしたら、下劣で単純で思考力がゼロの、韓国映画と同じになってしまう。やはり、ある種の様式というのは絶対必要なのだ。今回の作品でも、ドイツ軍の兵士やフランス人の少女や老人がペラペラと英語を話し、相変わらず、ドイツ人は冷酷に描かれ、破傷風に罹っていた筈の馬はいつの間にか快癒し、そして、予定調和のハッピーエンディング、というご都合主義に貫かれているのだが、私が2.5という評価を与えたのは偏に馬の演技に拠るものである。この映画は1950年代に撮られていたら、それこそ、アカデミー賞を10部門以上、独占していたであろう。何故と言って、セシル・B・デミルの「史上最大のショウ」(1952)といった凡作や、ヴィンセント・ミネリの退屈なミュージカル、「恋の手ほどき」(1958)にアカデミー作品賞が与えられているのだから。この作品の一場面、一場面は1950年代の総天然色の活劇を思い起こさせる。ヒューマンドラマという分野に限って言えばスピルバーグはいまや時代遅れの監督になってしまっている。イーストウッドやウディ・アレンとは住んでいる世界がまるで違う監督なのだ。やはり、スピルバーグは永遠にディズニーランドの住人なのだ。
みんな、家に帰りたいだけだ
まず一番の不満点から語ってしまう事にする。
僕はハリウッド映画で英語圏以外の人間が英語で話すのを
あまり気にする方では無いが、今回は物申す。
この映画は言語を英語で統一するべきではなかった。
ドイツ人は独語で、フランス人は仏語で語るべきだった。
母国も思想も持たない一頭の馬の目を通して見えてくるのは、
家族、友人、そして生命への慈しみの心。
母国も思想も異なる人々にも共通して存在する温かい感情だ。
だからこそ、
国と国・人と人とを分断する上であまりに大きな役割を果たす“言語”という要素に手を加え、
人間の表面的な違いを曖昧にすべきでは無かったと強く思う。
しかしながら、良い映画。
この映画には、音楽・映像共に古典映画のような落ち着きと温かみがある。
まずはお馴染みジョン・ウィリアムズのスコア。
本作の音楽は台詞以上に雄弁に場面を語り、観客の感情をリードしてみせる。
音楽で物語をここまで豊かに語る映画は今や少ない。
そしてヤヌス・カミンスキーの映像だ。
かねては陰影が強くザラリと冷たい質感の映像が持ち味の彼だが、
今回は作品に合わせてそのスタイルを大きく変えた。
人の慕情に訴え掛ける柔らかな光と、冷たく澄んだ空気を感じさせる映像。
農村を照らす朝焼け、清々しい緑の山々、綿舞う黄金色の草原、
戦地の雨の冷たさ、ラストの燃えるように美しい夕焼け……
(しかしながら塹壕での戦闘シーンは、『プライベート・ライアン』
ほど凄惨では無いものの十二分に恐ろしい)
なかでも圧倒的に美しかったのは、
身動きの取れなくなったジョーイを救い出そうと
イギリス兵が無人の戦場を歩くシーンだ。
灰色の朝霧に包まれた戦場は、静謐で、厳粛で、まるで死者の棲む領域のようだった。
ドイツ兵とイギリス兵が協力してジョーイを救出するあの場面は
ここだけで短編映画として成立しそうな出色の出来。
とてもユーモラスで、わずかに物悲しい。
あれは一種の寓話だが、似たような逸話は幾つも聞く。
国の思想や戦争の大義名分はどうあれ、
やはり『怖い、死にたくない』と感じるのがいきものとして当然であって、
一人間どうしで面と向き合った時には、この映画のように
「お前は死ぬなよ」と言い合うのが本当の所なんだと思いたい。
みんなこんな事は望んでないんだ。家族の所に帰りたいだけなんだと思いたい。
古典的にして普遍的な反戦映画。
<2012/3/3鑑賞>
頑固夫婦と頑固息子の話?
決して悪くないです。ただ原作が児童文学であることを差し引いても、フランス人とドイツ人も英語を話し、ラストの大団円だけ唐突に西部劇風だったり、どうして?感が否めませんでした。「憎しみは増えても愛は減らない。」頑固者夫婦に★3.5 http://coco.to/4034
スピルバーグが挑戦した馬と人間とを巡るドラマ
馬は美しい。
特に疾走する時の躍動感は、他の美しさを超越している。「静」ではなく「動」の美しさであり、それは、馬が他の家畜にはない美しさ、生き物が生き物たる所以を証明する美しさのひとつでもある。
それとは反対に、かつて馬は他の家畜同様、人間にとってその生活を成り立たせる商品でもあった。ある時は、動力源として人間のために働き、ある時は、彼らに大金をもたらすギャンブルの対象となった。つまり、人間の生活のために、犠牲にならざるを馬の一生がそこにある。
この二つの対極にあるものを、スピルバーグはそれぞれどう描くことができるか、そしてそこに、人間がどう描かれているか、がこの映画の肝。
まずは、馬のもつ「動」の美しさを、スピルバーグがちゃんと描ききれているか。残念ながら。それは否だ。CGを全く使っていないという主人公の馬ジョーイの表情や、ジョン・フォード、デビット・リーン、黒澤明らに影響されたと監督本人が語っている、イギリスやフランスの田園風景の絵作りには感心するけれど、それらは馬の「静」的な美しさを際立たせるものであり、そのことで、馬の持ついのちの力強さ、素晴らしさが客席まで伝わってくるかというと、それはちょっと疑問ではある。手は入れていない、とはいうが、あまりに擬人化されたジョーイの表情は、観客である人間たちに媚を売っているようにもみえる。同様に、背景の田園風景もジョーイの美しさを引き立たせるには、どこか落ち着きがない。かつての名匠がスクリーンの中に切り取った絵画的風景に対して、この映画の中にはどっしりと腰を落ち着けたものがないような気がする。
もっといわせてもらえれば、コーエン兄弟が「トゥルーグリット」(2010)で描いたアメリカ西部の風景は、冷たく荒れてはいたけれどピンと張り詰めて雰囲気を持った絵画的風景だったし、黒澤明に心酔していたかつての同輩、ジョン・ミリアスの「風とライオン」(1975)の駄馬ではあるかもしれないけれど、馬の持つ躍動感を十二分に表現した疾走場面、戦闘場面に比べたら、スピルバーグの監督経験の深さからいっても、この映画の中の表現には物足りなさを感じる。
それはおそらく、スピルバーグが作品全編に渡って今までの演出方法を封印し、全くケレン味のないオーソドックスなやり方に徹しているせいだろう。そのためか、牧歌的でもあり映画的リズムとしてはすこしばかり退屈でもある。そうせざるを得なかったのは、原作が児童文学であり、リアル過ぎると、物語そのものの否定にもなりかねない、といういわば「縛り」あったからだと思われる。物語の第一の舞台である第一次世界大戦の戦闘場面でも、迫力はあるけれど、「プライベート・ライアン」で描いた、血が飛び散るような悲惨極まるリアリスティック描写はない。そこがこの映画を、いわゆる「いいおはなし」で終わらせてしまっている。
一方で人間の生活と馬の一生の描き方はどうだったか。
まず映画の発端が馬のセリで始まり、馬のセリで結末を迎えるというのが、馬の「商品」としての一生を象徴している。その間に人間の生活が描かれているわけだ。富める地主と貧しい小作農、馬を愛する誇り高き上流階級出身の士官、戦争に徴兵された若きドイツ兄弟兵、戦場で家族を失ったフランス人の祖父と孫、兵器が機械化されていく中で殺戮マシーンとなる兵士、それぞれのあいだを「物」としてジョーイは渡りいくわけだ。
原作および原作を基にした舞台劇では、ジョーイの眼から見た一人称で物語が語られるそうだが、映画ではそういうことも出来ないから、人間が主役となって自身の生活を語っていくことになる。俳優は日本では無名だが、イギリスやヨーロッパの俳優がしっかりした演技を見せてくれるので、安心して観ていられるし、児童文学という「縛り」があるにせよ、主題である戦争の悲惨さ残酷さは、一定水準以上が描かれていると思う。ただし馬の一生という、人と人との間を渡り歩いて行く姿を追ったために、それぞれの人々の逸話の印象というか、深みがすこしばかり弱いし、それぞれの繋がりがバラバラな気もした。逸話に関していえば、ドイツ人なのに英語を喋り、フランス人なのに英語を喋る、ハリウッド映画のお約束だけれども、こういうところはしっかり否定して欲しかった。単に、馬の「静」の美しさを極めるだけではなく、このへんもしっかり現実感をもって描いていればそれぞれの逸話の印象もことなって、繋がりも増して、より心に深く感じることが出来たろう。
ラストの大団円も、古き良きハリウッド映画の影響だろう。前半の風景の描写がスピルバーグにしては珍しかったせいか、このラストはいつもの彼特有の、感動の押し付けが目立って、あざとく鼻についた。
決して悪い物語ではないのだが、スピルバーグはいくら歳を重ねても、その映画において、人間を描く詰めの甘さは隠せない。
美しい映像と音楽に引き込まれる
製作、撮影、編集、音楽はスピルバーグ作品でお馴染みの面々。
息が合ってるというよりも、今の映画界でこれ以上の画(え)を望むべくもない最高のスタッフである。
上空から望む、森から農場へと移るオープニング・ショットを観ただけでやられたという思い。こんなゆったりとした美しい映像と音楽で引き込んでくれる映画は、最近では珍しい。
ひょんなことで飼うことになった馬・ジョーイと少年アルバートとの交流から、戦火の中、次々と持ち主が変わる数奇な運命を辿る物語は、時に叙情的に、時として残酷に語られていく。
とくに戦馬として共に生きることになる黒馬・トップソーンとの二頭による強調と信頼は、人の友情にも勝る心の交流を爪弾き、ジョーイの生きる力と希望が画面にみなぎり、その姿は荘厳でさえある。
視覚効果の使い手スピルバーグが、極力、画像処理を使わずに創り上げた映像は、馬と人、人と人の繋がりを通して、平和の尊さと運命の絆を謳い上げる。
それぞれの逸話がよく、とくに危険を承知でジョーイを助ける勇気ある兵士の行動は、戦争の無意味さを訴える逸話として心温まる。
名作「風と共に去りぬ」ほどの壮大さはないが、それに近い色合いを持った素晴らしい作品に仕上がった。
アルバートの父親テッドが捨て去ろうとした“誇り”も帰ってくるラストシーンに、この作品の本筋を見る。
アルバートの母親ローズを演じたエミリー・ワトソンの存在感も注目だアルバートの母親ローズを演じたエミリー・ワトソンの存在感も注目だ。夫に対して放つ「どんどん憎くなるけど、それ以上に愛してる」は泣けるセリフだ。
思った以上に馬目線
見る前は愛馬が戦場にいってしまった飼い主の少年の「馬を探して三千里」的なものを想像していたんですが、思った以上に馬目線、馬が主人公の映画でしたね。
ジョーイ(馬)の飼い主が転々としていく様子はいいし、その時々の飼い主がそれぞれ戦争によって奪われたものがあり、戦争のおろかさ、悲しさを伝えてる。
それでも馬は生き抜く、走る。
その姿が美しくて、惚れ惚れ(…まあ、かなりCGでいじってる部分もあるんでしょうが)。
終わったあとに浸れるだけの余韻もあり、普段あまり映画を見ない人でも素直に感動できる作品だと思いました。そのへんはさすがのスピルバーグ。
個人的にはフランス、ドイツと舞台が移っていくのに、みんな英語を話しているから、いまどこなのかがちょっとわかりづらかった。
ハリウッド映画だからしょうがないですけど…そこは現地語にこだわってくれればよかったなぁ…と思いました。まあ、アメリカの観客は字幕なんて見ないらしいですからね…。
そういう部分で、ちょっと距離感、移動感といったものが伝わりにくく、それゆえにスケール感がダウンしていた気もしたのでした。
観ました
お馬さんの演技凄い
製作者の丁寧さが伝わります
体制を守るための人間の愚かさをお馬さんのピュアさ醸し出す純真さと比較して浮き彫りにされる。ストーリーは単純ながらかえって思い知らされます。
良い映画です。
全90件中、61~80件目を表示