「名作『君の名は。』と比べてしまい。」星を追う子ども Takehiroさんの映画レビュー(感想・評価)
名作『君の名は。』と比べてしまい。
日テレで放映された『君の名は。』の余韻がまだ残るような、『秒速5センチメートル』での不必要なキスシーンやニヒリズムよりも、健康的でハッピーエンドな倫理の克服の後で、前作のこの作品も、日テレが放映したものである。録画しておいて、こちらのほうが後の視聴となる。新海誠監督は私生活はどうだか知らないとしても、『君の名は。』までの作品の推移は学習されてより良い方向に
進んできた。だがその先は一体どうなるかはわからない。とにかく、『君の名は。』は推薦できるし、だから大ヒットしたのだろうが、欲を言えば、主人公は当然その道のプロ(笑)ではないため、緊張感を伴いながらもストリートで告白できるのはナンパなのかという問題は残していた。ちょっと違うのは、お互いが運命で結ばれていたところである。出会いの場所はともかく、運命の相手はいるという考え方で観るのが良いのだと思う。しかしどうしても2011年というと、東日本大震災を合わせて思ってしまう。5月からの上映らしかった。超人のイケメン男子が出てきて、「ボクは君にきっと会いに来たんだ」というセリフが出て来る。ここら辺は『君の名は。』のモチーフっぽく思ったが。この作品も死んだ人を生き返らせたいというどうしても不可能だと現実に思われることに挑戦しているようで、『君の名は。』では巫女が噛んで発酵させて作った酒が歴史を作り変える道具になっていたが、この作品ではアガルタとかいう場所に行けばそれができるらしい。主人公の少女の導き手になる先生とは何者なのか。何者かと言っても死んだ妻を生き返らせたいだけでアガルタについて調査したり、それに関連した組織に入ったりしてきたらしい。「だけ」という言葉だが、それが全ての場合もあるだろう。新海作品は他の作品も似ているのだが、それまで比較する能力は私には無い。観た作品を忘れている。この作品のほうがSF色が強く、マニア向けの度合いも強くなるだろう。
『君の名は。』の主人公の男女も、この作品の主人公も、何処かに導かれるという共通項もある。序盤から中盤はアクションものみたいな感じでどうなるのかハラハラさせるが、肝心の最後の意味合いようなところでは良くわからず、結局死者を蘇らせるのは中途半端でしかなく、代償まで受けるということなのか、私の理解力が足りないのか、尻切れトンボのように終わった感じだった。やはり『君の名は。』は最後の感動がうまくいっていたと思い、その違いが出ていたのかな。私の読解不足か。