モールスのレビュー・感想・評価
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狙いがわからん
当方オリジナル版は見てません。
観客に何を見せたいのか分からなかったです。
怖がらせたいのか、切ない気持ちにさせたいのか。
アビィの正体は劇中あっさりとバラされるんですが、
何でオーウェンより先に観客に示す必要があるのかわからない。
もっと引っぱって、オーウェンと同じタイミングで知らせてもよかったはず。
(その方が後半オーウェンが”乗り越える”ときも共感できたと思う)
で、アビィの正体、他の方指摘どうり、CG粗悪です。
グロいですが怖くない。チャチさが先に目につきます。
私が一番感情移入できたのは、アビィのダディ。
ダディ、アビィのためにものすごいがんばる。
がんばってる姿も結構丹念に描かれてるし、
がんばった後の末路もちゃんと見せる。
なので、この映画の一番いいシーンは、病院の窓でのアビィとダディのシーン。
単純に愛に殉じる以上の、重苦しい2人の歴史、
2人の関係は潰れるしかないという図式が見ていて辛かった。
この2人の描き方に星3つ。
オーウェンとアビィの関係は、輪郭がはっきりしない。
オーウェンがアビィに惹かれるのはいいとして、何で”乗り越えられた”のか?
人知を超えた暴力に魅入られた?
生きるためには生け贄が。
とにかくホラーものが苦手で、ほとんど観たことがない^^;
が…なんだかこれは無性に観たくなって、独りで観に行った(初)
原作「モールス」も、スウェーデン映画「ぼくのエリ 200歳の少女」も
まったく知らなかったが、これはホラーが苦手でも多分大丈夫。
酷い…シーンは数あれど^^;そこには致し方ない事情があるわけだ。
しかし原版を知らなかった分、ほかの映画がやけにチラついた。
例の大ヒットしたヴァンパイア映画「トワイライト」シリーズ…しかし
今作を観ちゃったら更に、アレは何だったの?という感じになった^^;
やっぱりヴァンパイア(吸血鬼)ってのは、血を吸いますもんねぇ普通。
私世代が小さい頃観た吸血鬼っていったらもう、御大C・リーのアレ、
森の中を逃げまどう美女を押さえつけーの、抱きかかえーの、真白い
首筋に牙が…!ギャー!!そして月明かり…。美女の首筋には小さな
二つの牙の跡が。。っていう、とっても古風なモノクロの映像でした。
怖くて眠れなかったですからね~ニンニクぶら下げ^^;十字架下げて^^;
あぁしかし今や…あの動き!!CG丸分かりだけど、もう獣なんですね。
今作はそういった二面性、怖い!おぞましい!ホラー的要素と、
いじめられっ子の色白の少年(これがまたキレイなんだわな、顔が)と
禁断の恋に落ちる謎の少女…っていう初恋の要素と、深々と積もる雪、
という情景も相まって、サイレントで不思議な世界観を醸し出している。
とはいえ、いじめは陰湿だし、親はしつこいし、ネットリした展開も多く、
救われるのは80年代のポップスとルービックキューブ(懐かしい!)など
当時の文化が並べ立てられているところ。閉鎖的な世界で(立場は違えど)
生きてゆかねばならない二人、という設定は相手が子供ということもあり、
観ているこちら側の胸を締め付ける切なさがある。明るい一族とは違うねぇ。
で、更にヴァンパイアは相手に招かれないと家に入れない(原題)だとか、
知識として役立つ情報も満載。寒さを感じないからと裸足でいた少女が、
人目を気にしてブーツを履いて少年と逢うところや、彼を救いたいから
襲わずに逃げ帰るところなど、生きてゆくために仕方ない狩り(だよね)を
諦める決断が潔い。だけど考えたら(原版でも200歳)共に歳をとるのはムリ。
この少年の行く末が、彼女を連れてきた父(ではない)となることが残酷だ。
すぐに「噛んでぇ」なんて言わない^^;し、そうならないのが今作最大の救い。
あ、今思い出したけど、少年を部屋に招いた際、あの父は妬いてたのね…
原作にはモールス信号を使ったシーンがもっと多かったんだろうか。
せっかくの邦題、しかしあんまり活きてなかった気がする。ラスト以外は。
それにしてもあのいじめっ子、兄弟そろって性格悪かったけど(汗)、
あそこまで色白少年をいじめまくる理由は何?思うに、案外ヤツも少年が
好きだったんじゃないの~!?なんて邪推な考えが浮かんでしまった^^;
で、そうなると「トワイライト」みたいな三角関係が…(オイ!)失礼しました。
(しかしクロエちゃん、微妙な色気がありますね。少女なんて言わせない?)
クロエ嬢の可愛らしさは、血にまみれてナンボ
あいにく元ネタは未見だが、その分、ニュートラルに今作のダークな御伽噺を存分に堪能できた。
『キックアス』での痛快な抹殺ぶりが強烈なインパクトをぶちかまして、まだ間もないクロエ嬢が、今作でもあどけない狂暴さで愛嬌を振り撒いている。
少し成長した身体に帯びた陰の濃さが、大人の女の色気に近づいた印象があり、改めて、
「この娘は危険やなぁ〜〜」と感じた。
彼女の存在感に一切、力負けせず、対等に迎え撃つイジメられっ子の哀愁も大きい。
『キックアス』同様、ガキ共が過激なバイオレンスにドップリ浸る映画は、邪険に扱われる運命だが、こういう作品こそ、キチンと評価しなければいけないと私は思う。
今作の最大の悲劇は、2人が唯一、心のよりどころにした愛は置き去りに、イジメも彼女の狂気も孤独も血しぶきも全て容赦なくエスカレートしていく息苦しい閉塞感であろう。
よって、優しさや愛情がいくら追いかけても、一瞬の慰めにもならず、血に染まる闇の奥へ更に追い詰めていく。
彼の差し出したキャンデーが受け入れられない体質なのに、気遣ってグレープを選ぶ。
選択した色の意味。
そして、彼女に付き添い、世話をする老人の姿が、ピュアな痛々しさを象徴しており、救いのない2人の愛の未来を予期し、自然と涙が流れた。
B級ホラーの老舗・ハマープロ製作だけに、特撮がギクシャクしまくっており、悲壮感漂う物語との落差に戸惑ってしまうのが難点だが、観終えると、あの粗さが世界観を緩和してくれていたような気もする。
帰り道に赤ワインとトマトジュースが無性に飲みたくなったところで、最後に短歌を一首
『舞ふ闇の 裸足で啜る 紅ひ雪 契り密かに 壁際に咬む』
by全竜
怖いと感じるだけかと思っていたら...
イノセントスリラーと書かれていただけあって、
12歳の少年オーウェンとずっと前から変わらず12歳位の
ヴァンパイアの少女アビーの切ないラブストーリーもあり、
最後は何故かホッとして終わったのが良かったです。
この映画の事を気になっている友達に薦めたい映画でした。
殺人事件絡みだとは思っていたけれど・・・
こんな内容の映画だとは知らなかった。
スウェーデン映画のリメイクだったのですね。
オリジナルも見ていないので、初めて見る作品となった。
父と母は離婚協議中で、学校ではいじめられっ子のオーウェン。
そんな孤独な少年の隣に引っ越してきたミステリアスな少女アビー。
彼女も何だか、寂しそうだ。
そんな時に、殺人事件が多発する。
冒頭の救急車内。
患者はひどい火傷を負っているようだが、うまく逸らしたりぼかしたりして見せない。
こういう演出は良い。
オーウェンの孤独と愛。
アビーの秘密と孤独。
クライマックスの事件で、オーウェンは心を決めた。
オーウェンの将来は、父親と同じ運命をたどることになる。
自分自身に起こる本当の危機に直面した時に、救ってくれた相手のためなら、そんな覚悟もできたということか。
二人にとって、お互いが必要な存在になったのだろう。
音楽がとても物悲しく、雪が積もる公園もとても良い。
怖くてシンプルでちょっとだけロスト・イノセントなリメイク版
オリジナル版である映画『ぼくのエリ 200歳の少女』
との比較中心のレビューなので、いつも以上に
つまらんレビューになってますが、悪しからず。
オリジナル版の魅力や物語の解釈についてはですね、
ミアさんのレビューに僕は120%くらい共感しているので、
そちらを読んでいただければと。素敵なレビューですよ。
さて今回のリメイク版。基本的にはオリジナルにかなり忠実な内容だが、
直接的な表現が好まれるアメリカ映画らしいアレンジが加えられている。
まずショック描写がやや強めに。
吸血鬼の恐ろしげな姿、その被害者の傷口の生々しさ。
最後のプールでの惨劇も、プール外の音はくぐもって
殆ど聴こえなかったオリジナルに対し、こちらは悲鳴がよく響いて聴こえる。
全編を覆うおどろおどろしい音楽も含め、恐怖演出が強まった印象だ。
物語に関しても、
吸血鬼に復讐を目論む隣人のエピソード等が消え、
刑事が少女を追い詰めてゆくシンプルな展開に。
また、主人公の父親の登場シーンも丸々削られた。
母親の顔も、スクリーン上に一度もはっきりと映らない。
これらは主役2人により焦点を当てる為、そして主人公の少年の孤立を強調する為の変更か。
だが、静謐なオリジナルの方が少年の孤独感は伝わっていたように思える。
もうひとつ、『少年は少女の新たな“世話係”として選ばれたのでは』という
残酷で哀しい解釈が、より観客に伝わり易い作りになっている点にも注目。
残念ながら物語の深みは多少無くなってしまったかなあ。
リメイク版にはあとひとつ、大きな変化点がある。
オリジナルでは、少女が実は“少女ではない”事を示すシーンがあったが、
今回そのシーンがバッサリ消えた。その為、
「女の子でなくても好きでいてくれる?」という
少女のセリフの意味合いが異なる。
また主人公の少年が異性に対して抱く関心も、より生々しい印象。
で、何が言いたいか?
主人公2人とも男女の区別が曖昧だったオリジナルには
友情とも愛情ともつかない、氷細工のように美しく脆く繊細な感情が流れていた。
だがリメイク版の主人公2人の絆は、性別を越えたイノセントな絆ではなく、
“男女”の絆にややシフトしたように思えるのだ。
つまり、ちょっとだけロスト・イノセント。
どちらが好みかは人次第。
僕は胸を締め付ける切なさがあるオリジナルが好きだが、
このリメイク版も秀逸な出来です。
<2011/8/7鑑賞>
モールス
この映画を観終わった時、実は良く分からなくて、少年と少女であるヴァンパイヤの恋愛物語かなと思ったのです。そうだとすればありふれていておもしろくないなァと思いながら考えていたら、少女は何百年も生きている・・ということはその知識や経験も見かけの12歳ではありえないということに気付きました。人間的な感情など全く関係ない世界を生きているのです。そう思うと背筋が寒くなるような恐怖感を覚えました。そのことを確認したくて思わずその日のうちに2回目を見たのです。そしたらすべての場面がその本当のストーリーにそって展開されていることにびっくりしました。少女は少女などではなく、人間には理解できない怪物だったのです。愛情とか友愛とかの人間的な感情で動くのではなく、自分の為に尽くす下僕をつくる物語だったのです。こんな映画は初めて経験しました。観客をも騙し、本当のストーリーを最後まで明かさないのですから。そこに気付いた観客だけがその恐怖を味わうというわけです。スティーブンキングが絶賛したというのも納得できます。「何歳なの?」「12歳・・くらい(見かけはね)」(級友からいじめられて)「私が助けてあげる」「だって君、女の子でしょう?」「あなたが思っているよりは強いのよ(とんでもなく強いのよ)」という具合に隠されているストーリーを読みとってはじめてこの映画が理解できるのです。いろいろなシーンを思い返してみて初めてその怖さが分かるというのもこの映画の凄さです。プールのシーンはヴァンパイヤが去るふりをして、少年を監視していたことをうかがわせます。去った以後の少女の全体や表情のシーンがないことに気付きましたか?少年は少女の本当の姿を知ったのかもしれません。しかし下僕となって犬のように着いていくことを決めてしまったのでしょう。私にとって脅威の映画でした。素晴らしい監督です。
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