「白鳥が孕んだ黒鳥」ブラック・スワン ミアさんの映画レビュー(感想・評価)
白鳥が孕んだ黒鳥
ラストのどんでん返しは、昔からよくあるパターンだ。
心理スリラーとしては、ほぼ完璧な映画だろう。
(敵役のミラ・クニスの踊りはバレリーナに見えないが・・)
生真面目な人間ほど、プレッシャーに弱く、壊れやすい。
少女漫画にも、この映画に似た心理劇は何度も描かれていて、
映画を見終わって、山岸凉子の「天人唐草」を思い出した。
人格が、少しづつ壊れていく様の凄まじさを
山岸凉子は手を変え品を変えて描き出している。
バレエのテクニックを楽しむ映画ではない事はわかっていたが
母と子の繋がりが「ターニング・ポイント」(邦題は「愛と喝采の日々」)
のシャーリー・マクレーンとレスリー・ブラウンを思わせる。
「ターニング・ポイント」はミハイル・バリシニコフの「海賊」を見る
だけで一見の価値があったなあと、また見たくなった。
清楚な白鳥のようなニナの中に、醜い欲望の権化である黒鳥はいつ
住みついてしまったのか
母親との確執が発端なのか、彼女の脆い心が強い自分への変身を
無意識に望んだのか
そのあたりを掘り下げてくれていたら、ニナの苦しさがずっと重く
心に残ったのだろうが・・
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