「要約感あるディフォルメ描写が気になり…」英国王のスピーチ KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
要約感あるディフォルメ描写が気になり…
エリザベス女王死去に伴う
緊急放映だったろうが、
過去の鑑賞で印象深くはなかったものの、
作品賞他のアカデミー主要4部門を受賞
しているし、
キネマ旬報第3位ということもあり、
再評価を期待して再観賞した。
このジョージ6世の兄の退位がなければ
エリザベス女王の誕生も
今般の国葬もなかったろうと思うと
歴史の綾というものを感じさせられる。
映画の印象としては、
各エピソードの要約感があり、
それに伴い、
現実は違ったのだろうと思わせる
ディフォルメ性の高い描写が気になって
再評価まではいかなかった。
主演男優賞は納得だったが、
アカデミーの作品賞・監督賞・脚本賞や
キネマ旬報第3位には
今一つ納得出来ないままとなった。
この映画から離れてしまう話で恐縮ながら、
第2次世界大戦を契機に多大な債務を抱え
覇権を米国に譲った英国ではあるが、
戦禍に明け暮れた英国も含むヨーロッパと
いう地域には不思議さも感じる。
ナポレオン戦争も、
第1次世界大戦も
ヒトラーのドイツ軍による世界大戦も、
プーチンロシアのウクライナ侵攻も、
枚挙にいとまが無い位の
侵略や戦争の歴史が思い浮かぶ。
しかし、いがみ合いながらも
世界をリードしつつ
繁栄してきたヨーロッパには
どんなパワーが潜んでいるのだろうか。
そんな戦争に明け暮れたからこそ
繁栄してきたかの如くの
ヨーロッパを見ていると、
日本にも座右の銘を
「戦争は人間の霊魂進化にとって
最高の宗教的行事」とする政治家が
いることを思い出してしまうが、
国粋主義信条の政治家などの国家指導者
の陰で苦労してきたのは庶民・国民だった
との観点からは、
武力行使からは一線を画す政治信条で
繁栄を描く政治家に導かれる日本であって
欲しいと願わないではいられない。
コメントする