ラビット・ホラー3D : インタビュー
演技派女優として、高い評価を受ける満島。「こつこつとひとつのものを作っていくことが性に合っていて、脚本を渡されてからゆっくり考えたり、想像したり、自分なりの思想や哲学と役や作品を照らし合わせることができるのが、とてもおもしろい。いろんな役柄をやると、いろんなことを学べて、いろんな人と対峙(たいじ)して……瞬間で感じるものや出会いとか、本当にいいなあと思う」と女優業の醍醐味を感じている。
「ただ、撮影が終わって家に帰るとよく、何やっていたんだろうって思うことがあります。役者は自分じゃない人を演じて、疑似家族とか嘘ばっかりなんです。長い昼寝をしていたような感覚。(目覚めて)ああ今日は香川(照之)さんがお父さんだったな、変なの、とか(笑)」と、冷静に俯瞰(ふかん)する視点も持つ。
「たまに『満島は他の仕事できないね』って言われたりしますけど、私は全然そんなことないって思うんです(笑)」と語る、天性の女優の息抜きは意外にも「家事をしているとき」だという。
「とにかく上に行かなきゃ、上に行かなきゃってすごく力が入っていた」と独身時代を振り返り、「家族を持ったことや自分の兄弟が上京して近くに住むようになって、力がすごく抜けてきて。力を抜いたほうが、高く跳べるし、早く走れるし全然違います。柔軟に視野を広げていろいろ考えられるようになってきて、いろんな人を受け入れられるようになってよかったなと思います」と穏やかな笑顔で、自身の変化を明かす。
本作は、“家族の関係性”も恐怖を煽るひとつの要素となっている。弟役で共演した子役の澁谷武尊とは、満島が舞台のワークショップで伝授された瞑想(めいそう)法、ヒトデになりきる“ヒトデごっこ”などをともに行い、役者同士、疑似姉弟として距離の近いリラックスした関係を築けたという。そして、作品に対する思いを語る。
「大切にしたいものを守るために、隠れていた自分自身の心の迷宮にだんだんと入っていく、感覚的で美しい映画です。怖いけど実は、愛にあふれた、ものすごく愛情にあふれた映画なので、頭で考えるよりも、心で見てほしい。自分の感受性や想像力を高めて優しく見ていただければ」
本作に続き、「一命」、「スマグラー おまえの未来を運べ」、NHKBSプレミアム「開拓者たち」など公開作が次々と控える。今後演じたいのは「歌って踊れるミュージカルみたいな、映画でも舞台でもいいから、楽しく歌って、楽しく踊りたい。インド映画みたいなのいいなあって思います。とってもいい喜劇がやりたい」。役柄の硬軟問わず、自然体で演じきる満島。歌って踊るコメディエンヌに化ける日も遠くはなさそうだ。