「光と闇」ブンミおじさんの森 Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)
光と闇
森、洞窟、闇は、人間と非人間の境界がほどける空間であり、幾多の怪異の源泉だ。そこは子宮のようであり、まるで前世を思い出させてくれるような場所だ。本来、恐ろしいものではなく、むしろ安心を与えてくれる。
自分の頭の中でたゆたう記憶やイメージは、時間も空間も超えている。
明け方の森で彷徨い、ひとときの自由を味わう牛。宝石を脱ぎ捨てナマズと融合する王女さま。共産主義者への弾圧により森へ逃げ込む若者。それはまるでサルの精霊となったブンソン。
様々なイメージの蓄積が、観る者の想像を掻き立てる。
では、森や洞窟の無い都会で、私たちの魂はどう彷徨えばいいのか。
それはテレビを見る時間である。肉体はテレビの前に置き去りにして、魂は大いに彷徨えばいい。
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