フード・インクのレビュー・感想・評価
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食に対する考え方を改めないと
この映画を観るまでは、食に対してそこまで深く考えてはいなかった。食べる事をこれだけまでに人が求めた結末がこの作品に集約されていると感じた。
食品加工、動物虐待、処理剤、農薬、違法就労
様々な問題が浮き彫りになっていた。
誰かの都合によってこれほどまでに色んな現実をねじ曲げられているのかという恐怖を感じた。
最後に出てくるメッセージが身に沁みた。
食に対してちゃんと向き合う事。
フードマイレージを意識して、地産地消に取り組む。
よく言われるものが最も大切な事なのかもしれない。それが出来るのがなかなか難しい。
食品大企業による支配
法律を作る議会やそれを運用する裁判所。そして政府までもが、食品企業の支配下にある。恐ろしい話です。
先日、アメリカのファストフードの危険性についてのドキュメンタリー映画『スーパー・サイズ・ミー』や、アメリカの銃犯罪についてのドキュメンタリー映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』を鑑賞し、すっかりアメリカの社会問題ドキュメンタリー映画にハマってしまった私です。
本作はアメリカの食肉や農作物が、いかに大企業の管理下で「効率化」の名のもとに、安全性を軽視して農家を軽視して、そして消費者の命をも軽視しているかを赤裸々に描いた作品です。家畜の屠殺シーンなどのショッキングな描写も多いので、苦手な方は注意してください。
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一部の大企業によって流通が支配されてしまっているアメリカの食品産業の闇を描いたドキュメンタリー映画。大企業が効率のために農家の処遇や食品の安全性を軽んじており、それによって多くの人命すら喪われていることを赤裸々に描く。
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こういうドキュメンタリー映画を観る際に気を付けないといけないことは、「これはあくまでも映画製作者の一方的な主義主張である」と言う点。劇中に登場した企業の主張は「インタビューを拒否された」として描かれておらず、本作に登場する人たちは漏れなく現在のアメリカの食品流通について疑義を唱える方々ばかりです。そこをきっちり理解した上で自分の意見を持つべきだと思います。
本作を観ていて、私は二年前に鑑賞した『ビッグ・リトル・ファーム』という映画を思い出しました。都会で生活していた夫婦が郊外に移住して、広大な土地を開墾して農業を始めて、その土地だけで生態系が循環するという「循環型農業」を始めるというドキュメンタリー映画です。本作に登場する食品企業とは真逆のスタンスで農業に従事する夫婦の生き様に甚く感動した私としては、『フード・インク』に登場する大企業に管理された効率的農業が、酷く歪なものに見えます。
こういう食品関係の不祥事って、日本だって他人事じゃないんですよね。外国の安価な農作物や畜産物は普通に日本でも販売されていますし、食中毒などによって死者が出た事件も少なくありません。
今から10年ほど前に、輸出入に伴う関税を廃止しようとする環太平洋パートナーシップ(TPP)の是非がネット上で話題になっていたのを覚えています。論点となっていたのはアメリカから安価な農作物や食肉、医薬品などが大量に入ってくることによって日本の産業にダメージがあるのではないかと言う点でしたが、食品や医薬品の危険性についても問題視している方が多かった気がします。当時の私はあまりその話題に興味がなく傍から観ていただけでしたが、本作を鑑賞した後に今考えると確かに危険ですね。
色々と学びのある、良いドキュメンタリー映画でした。オススメです。
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