「まごうことなき名作。『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』からファーストを知った未鑑賞の方にぜひとも観て欲しいですね。」機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙(そら)編 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0まごうことなき名作。『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』からファーストを知った未鑑賞の方にぜひとも観て欲しいですね。

2025年4月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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新作アニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』の先行上映および地上波開始で再評価される「機動戦士ガンダム」の劇場版三部作が4月27日(日)新文芸坐さんにて一挙上映、40数年ぶりのスクリーン鑑賞。

『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』(1982/141分)
第1作公開からちょうど1年後の82年3月に公開。
大ブームの『ガンプラ』人気も最高潮。モビルスーツは1/144サイズは全種発売、少し大きな1/100サイズやガンダム以外の『太陽の牙ダグラム』『戦闘メカ ザブングル』など後続のリアルロボットアニメも放送開始、こちらもプラモデルを続々発売開始され、日々プラモ作りに没頭していましたね。

作品としてはTV版第31話後半から最終話第43話までの再編集ですが、75%以上が新規撮影で明らかに作画のクオリティがTV版と比べて飛躍的に上がって仰天。
ストーリーも人類の革新「ニュータイプ」に覚醒、「赤い彗星」シャアさえも凌駕するレベルに達したアムロ、彼と意識を共鳴するララァ・スン、そしてララァの死後にようやくニュータイプに覚醒するシャアとの三角関係を軸に、ザビ家の内紛、シャアのザビ家への復讐などのサイドストーリーも盛り上がりをみせ、「ソロモン」攻略、最終決戦「ア・バオア・クー」まで一気に畳み掛けます。

自動制御でジオング頭部を仕留めた有名なガンダムのラストシューティングは最後まで徹底的に兵器として描き切っており何度観ても痺れます。

そして、父と母に理解されずに生き別れ、戦う事由を見失ったアムロが最後にホワイトベースの仲間たちのために「ニュータイプ」の力を使い、また最後は仲間たちに導かれるラストシーンはアニメ史上最高のラストではないでしょうか。

大人になって見返してみると幼少期には意識が向かない点が気になりますね。
今回はホワイトベースの操艦ミライ・ヤシマ。
館長のブライト・ノアの単なる恋人という認識でしたが、中立コロニーサイド6検査官で許嫁の優男カムラン・ブルームやスレッガー・ロウ中尉との大人の複雑な四角関係、しかもニュータイプ的予知能力はアムロよりも早期に覚醒していたなど、意外に重要な人物でしたね。
スレッガー・ロウ中尉もいかにも職業軍人らしい豪胆なキャラで、成熟するホワイトベースクルーのなかでの貴重なムードメーカー、最後まで生き残って欲しかったです。

主題歌も前作『哀・戦士編』に続き井上大輔氏が作曲、歌唱を務めた「めぐりあい」「ビギニング」。壮大な宇宙のなかにぴたりと合う名曲です。
公開当時はこれ以上のラストはない、話も完結したと思っていましたが、45年近く経って、毎年関連作品が製作されたり、実物大立像の稼働や大阪・関西万博で展示されたりなど当時は夢にも思いませんでした。
『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』からファーストを知った未鑑賞の方にぜひとも観て欲しいですね。

矢萩久登