冷たい熱帯魚のレビュー・感想・評価
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絶望の中に一本だけ光を残す終わり方で小気味がいい。
小さな熱帯魚店を営む社本。
娘は再婚した若妻との折り合いが悪く、非行に走っている。
疲れ果てた妻は家事も育児も放棄し、食卓に並ぶのは冷凍食品とバックのご飯ばかり。
しかし社本はそれぞれの問題から目をそらし続けていた。
冷え切った家族と、加速度的に居心地が悪なっていく我が家。
そんな中、社本は娘の万引きで呼び出されたスーパーで村田という同業者の男と出会う。
人当たりが良く、よく笑う豪快な村田に懐く妻と娘。
久しく見ていなかった娘と妻の笑顔を見て心が動く社本に、村田は、娘を更生させるため自分の店で住み込みで働かせないかと持ちかけてくる。
村田は妻と一緒に、問題を抱えた女の子たちの面倒を見ているという。
娘の希望もあって、それを了承する社本。
すると今度は高級熱帯魚の投資話を持ちかけてくる。
あまりにも急激に親しくなることに一抹の不安を感じつつ、絶対に儲かると聞いた妻からの説得もあり、社本は話し合いの場に赴く。
しかし、それが地獄の始まりだったーーー。
うげげげげ、、、、、
スプラッター映画、最近になってなんとか見られるようになってきたんだけど、目をそらしてしまう瞬間がたくさんあった。
風呂場の解体シーン、、、最初は厳しかったけどどんどん慣れていって普通に見られるようになっていくのが我ながら不気味だった。
社本もそんな感じで少しずついつの間にかズブズブ行っちゃったんだろうなぁ、、、
終わり方は最高だった。
変にセンチメンタルになったり無理やりハッピーエンディングにするんじゃなく、圧倒的に救いようのない結末なんだけど、なんとか娘だけが救われる、というか、死なずに済む。別に救われちゃいないよね。
しかしこの娘も結構なクズだから、死ななくて良かった〜とか別に思わなかったけど、まぁ親に振り回され続けたという意味で、大量のクズの中で一番マシなクズだったということかなぁ。
ってか刑事二人して何やってんだよって話。あまりの惨状に立ちすくんでたのかな?
人がガンガン死んでいく様は「アウトレイジ」とか、最近見た「悪の経典」を少し彷彿とさせたけど、この映画は登場人物の全員が見事にクズだから助かって欲しいと思うキャラクターがいなくて、それが見終わったときの爽快感に繋がったんだと思う。
園子温の作品はいつも「何を伝えたいんだろう」「この作品の意図は」とか余計なことを考える隙を与えずに疾走する。
頭の中真っ白、いや、真っ赤になって気持ちいいぜ。
ヤラレタ。
これはかなりグロいところまで、やっちゃった映画だなーっと園子温監督。
でも、ドキドキしながら、うわーどうなるのだ?という気持ちで、最後まで見てしまった。結果、娘は生かされるのだが、その娘も死んだ親父を見て笑い飛ばす始末。最後まで、ヤラレタ。
後味の悪い、でんでんと黒沢あすかの映画
冷たい熱帯魚というか悲しい熱帯魚。
わたし、基本的にハッピーエンドの映画が好きなのです。
どんなに途中悲しいことがあっても、最後せめてわずかに救われるような。
嘘くさくてもうまくいきすぎでもハッピーエンドが好きなんです。
現実世界も悲しいことばかり、うまくいかない事ばかりなのに映画の中でくらい幸せに居させて欲しい。
なのでハッピーエンドが好きです。
こんなにも救いようのない映画を見たのは久々でした。
後味の悪さ500%
映画って、ラストシーンが大切だと思うんです。
フルコースのおデザートみたいに。
でもちょっとこのラストシーンはあまりにもあまりで。。
というか今回「鬼才」という意味について非常に考えさせられました。
人間のおかしな部分とかバイオレンスな部分、狂気を描けば鬼才なのだろうか。
今回、素敵な人が一人も出てこなかった。。
わたしが平凡すぎるだけなのかもしれないけれど狂気がすごすぎて正直分からなかった。
むしろ平凡な主人公がラストで豹変してしまうところで誰しもがそういった狂気をうちに秘めているということをテーマにしているのか。うむ。。
とりあえず、どんな映画レビューにもあるように、でんでんの演技が秀逸。
映画の内容は本当にショッキングというか2時間半、人が殺されてるか血まみれになってるかそんなシーンばかりですが、この方の演技をみるというだけでも意味があるほど素晴らしい。
村田という狂気に包まれた存在をあくまでも「自然」に表現している。
俳優陣は本当に素晴らしいです。個人的には黒沢あすかもすごくよかった!そこらへんに本当にいそうな、なんつーか愛人っぽい色気がいいんだな~。本当に失礼な言い方ですが美人過ぎない感じがいい。芸能人というより本当に近所の奥さんとして存在したらエロいなぁって感じの人。
でんでんと黒沢あすかが死体をバラバラにするシーンとかまじでホントの犯罪現場を見ているような恐ろしさ。そしてそれを悪と思っていないであろうあっけらかんとした空気。こわい。。
ということで俳優陣の演技はそらもう素晴らしい。そして個人的にこの監督作品のカメラワークが好きです。テンポもいいし。
ただ、ラスト20分くらいかな、どーしても、どーしても、ううううううんんん。。。。
と思っていろいろ調べてたら監督のこんなインタビュー見つけたが『もし再編集することが可能なら、でんでん演じる男が吹越満演じる男に刺殺され、黒沢あすかが笑っているくだりでエンドロール、という形にしたい』と言っていたらしい情報をみつけた。
でそのくだりで終わるところを想像してみた。
最高!確かにそこで終わって欲しかった。それがよかった~。
ほんと映画監督って大変ですね。
最終的に、正直どの人も魅力的に見えなかった。唯一素敵だったのは、渡辺哲演じる筒井高康という弁護士の付き人の男の子。唯一すてきだったよ。
でもその男の子もあっけらかんと、ほんとうにあっけらかんと殺されてしまう。
でもあの男の子いなかったら多分わたしこの映画好きになれなかった。
何の希望もない。
何の光もない。人生はいたい。
死にたいわけじゃない。生きたい。
だけど何の希望もない。
そんな映画。
期待しすぎたかな
周りの評価があまりに高いから気になっていたのですが、「すごくグロくてしばらく肉食べれないよ」という声もあったので中々見る勇気が持てませんでした。
そのため、今回すごく気合を入れて、期待を込めて鑑賞してしまったので、自分の中のハードルを上げ過ぎてしまった気がします。
予備知識ゼロで見ればよかった。
うーん、実話を元にしたと思えばとても怖い話だとおもいました。
それくらいしか感想が出てこない。
一番印象に残ったシーンはでんでんが「いい人」から「悪い人」に切り替わるシーン。
あれは3回繰り返して見てしまった。
人間は怖いですよ。
主役から脇役まで上手い人ばっかりなのでマジで怖いです。
気弱な主人公が、怖い熱帯魚屋に犯罪にどんどん引き込まれていく姿は
最初は唐突で強引な感じがしましたが、芝居の迫力で
観ているほうもどんどん引き込まれちゃいましたね。
また、エロもグロもふんだんに盛り込まれているので
非常に刺激的であっという間に観終えますね。
ラストは賛否両論かな。
「痛い」ってメッセージも重要なんだとは思うけど、
それより後の父を蹴る娘の姿のほうが現実なんだと理解しました。
痛さとメッセージよりも、その場の感情で死体を蹴る。
もともとの殺人もその程度のもので、今の世の中にある
命の軽さって感じでしょうかね。
日本映画界復権の狼煙
1993年に実際に起きた埼玉愛犬家連続殺人事件をベースに作られた本作。この事件は映画と同様に主に3名が関与しており、主犯のX、Xの妻Y子、Xの経営する店の従業員Zの3名。この3名で5人を透明にして完全犯罪を目論み、警察の司法取引に応じたZが証言して事件の全容が明らかになった日本の犯罪史上最も残忍な連続殺人事件です。実はZは出所後に小説家としてデビューしており、「共犯者」というノンフィクション小説でこの事件の詳細を綴っており詳しく知る事が出来ます。レア本なので難しいかもですが・・
ちなみに私はこの本を読んでから映画を観ました。ノンフィクション小説なので読まれた方は観る前にこの映画に対して少なからず思う点が生じます。それは、この映画がどこまで実際の事件に忠実なのかという点です。そしてその杞憂は見事に払拭されます。設定がドッグショップから熱帯魚店へ変更になっている点以外は、後半で吹越満演じる社本が壊れてしまうまではほぼ実際の事件通りです。劇中のセリフ「ボディを透明にする」や「子供は元気か?元気が一番」は本当にXが好んで使っていた脅し文句をそのまま引用しています。勿論、過激過ぎて隠さなければならない部分はあまり映らない様な描写にしてあったりもしますが、これは日本という土壌を考えると凄い事です。
特にこの作品で異彩を放っているのが悪役の村田幸雄を演じるでんでん。
過去に名悪役だとされるのは「ダークナイト」のジョーカーや「ノーカントリー」のアントン・シガーなどがよく挙げられますがそれに並ぶ、いやそれ以上の存在感を出しています!でんでんは元々滑舌の良くない俳優で、しかも村田は詐欺師の側面も持つキャラクターなので演じる上で欠点とも言えそうなのですがそれがかえって妙なリアル感を醸し出し、一見人の良さそうな風貌からの二面性などで「隣にいそうな殺人鬼」という今までにいなかった新しい恐怖の象徴を作り上げています。
村田に人生を狂わされる社本役の吹越満も終盤までは狂言回し的な要素が強いがガラリと変わる瞬間からの演技はこの映画のもう一つの見所です。社本は特殊な人間ではなくどこにでもいる平凡な中年のおっさんですが、平凡が故に観ている側が「やり返せよ!」と思っている通り、いやそれ以上の事をやってしまうので溜まりに溜まったストレスを一気に吹き飛ばす爽快感があります。
女性陣も黒沢あすかと神楽坂恵は中途半端な美人ですが隣に住んでいそうな感がありすごく良いです!しかもエロさが下手なピンク映画よりも十分にあるので惹きつけられますし、ある種の危うさが画面一杯に広がっていて緊張感も常に持続させる効果も生んでいます。
事実に基づいた日本映画がよく陥りがちな地味な雰囲気と演出が一切なく、一般的に観れば地味なキャストですが初めからラストまで観る者をグイグイ引き込む、いや道連れを強いる力を持つ映画です。テーマは重く残虐で賛否両論ある作品だと思いますが、R-18ならではの無類のエンターテイメントであると断言出来ます!
園監督は、社本の最後の行動を自分はまともだと思っている人全てに対し、正常と異常は表裏一体できっかけさえあれば善にも悪にも簡単に変貌出来るのが人間だという裏テーマをしっかりと出してくれているなと唸りました。
映画産業が活性化している国の特徴の一つとして事実に基づいたクライムサスペンスが多く生まれている事が挙げられます。一昔前は日本映画もそうでしたが、近年は韓国の勢いが凄く、「殺人の追憶」や「チェイサー」、「母なる証明」など事件性と娯楽性を両立させた作品が多く生まれています。日本映画も有名な作品だと「復讐するは我にあり」や「TATOO<刺青>あり」、「顔」などは実在の事件を扱った映画です。ちなみに園監督は「冷たい熱帯魚」のキャストやスタッフに対してクランクイン前に「復讐するは~」を観て撮影に臨むように指示されたようです。
現在の日本映画界は一見すると様々なジャンルが作られていて元気に見えますが、実際はTV局やお笑い事務所が主体のバカな映画が量産されるシステムが確立されてしまい、質の良い映画が埋もれてしまう状況が続いています。韓国やタイ、スウェーデン等は最近特に良作が多く、世界的に見れば日本は危機的状況です。その状況を打破出来るのが今作の様な猛毒を持ったエンターテイメント作品です。園監督の様な独自性を持った方がもっと頭角を表してくれく事を切に願います!!
という事で、小説「共犯者」を読んでから気の合う仲間(友達も小説を読んでいるとなおベター)と一緒に観た後に飲みながらあーだこーだ感想を述べ合うのがオススメです。但し、知らない人が聞くと危ない話をしている人に見えるのでしみったれた所を推奨しますw
見方を変えれば、「文〇省推薦映画」
「愛のむきだし」で世界的に高い評価を獲得した園子温監督が、吹越満、でんでんという個性満ち満ちる俳優陣を迎えて描く、サスペンス映画。
「嘘は、いけません」「我慢は、してはいけません」通っていた小学校で、年齢不詳の教師が私に教えてくれた。この文句がまだ現代においても通用するのならば、本作は実際のところ、極めて健全な映画なのかもしれない。
冒頭から、嘘や見せかけに寄り掛かる不健全な人間が乱れ出てくる。目の前の曖昧な幸せ、安心のためにどれだけ無理をしているのかが一目で分かる無機質な人間達が、笑顔を振りまいて現れてくる。
本作は、暴走と妄想の赴くままに作られているように思えるが、実は何度も推考に推考を重ねて組み立てられたような、明確なリズムを刻んで描かれている。
自分の行動が嘘で塗り固められていることに気付かないまま、毎日を過ごす人間がつくる比較的穏やかな序盤。その不健全な偽りと憎悪に気付き、怒号と艶やかな歓喜、そして叫びによって猛進していく中盤。そして、全ての仮面が剥がされ、剥き出しになった感情と本能を静かに、ドキュメンタリーの如く見つめる終盤。
そう、終盤にこそ物語の本質がある。中盤の猟奇的殺人のくだりに熱が注がれているように思えるが、その先だ。その先にある自分の本性を理解してしまった主人公、社本の衝動と落ち着きが本作の強烈な気味悪さと痛々しさの源になっている。
「嘘を超えて、我慢を超えて、自分らしく生きたいという貴方・・じゃあ、そうしてごらんよ。こうなるから。」そんな作り手の無邪気な、陰湿な笑顔と主張が観客の心を傲慢に痛めつけてくる。でも、その結末はストレスから開放された健康な人の姿。健やかな安心と、安らぎが見え隠れする。何とも、憎々しい皮肉である。
では、本作は子供に薦めても良いのか。終盤、大人同士のとある行為を非難した子供が、社本にぶん殴られて気絶する場面がある。このシーンが強引に書き殴られたその瞬間から、この映画は成年のための映画となったのだ。恐らく。
久しぶりに、吐き気を覚えた映画である。
これはちょっと怖いです。
これはR-18指定?試写会でみましたが、ホラー映画だと思ってみたほうがよい。この作品はでている人たちの演技力がよくでている。
全49件中、41~49件目を表示