劇場公開日 2011年1月29日

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冷たい熱帯魚 : 映画評論・批評

2011年1月25日更新

2011年1月29日よりテアトル新宿ほかにてロードショー

真理を突き詰めているからこそ、滑稽で恐ろしく、悲しい

園子温の作品には、滑稽さと狂ったエネルギーという2つの熱帯低気圧がある。滑稽さの比重は作品によって様々だが、彼の場合この比重が大きくなるともうひとつの狂ったエネルギーも膨らみ、合体して巨大なサイクロンと化す。狂ったうねりだ。

このサイクロン・パターンの作品では、通常登場人物は駄々っ子のようなキョーレツで計算外の暴れ方をする。そのためうねりが思わぬ方へ進んでいき、きれいにまとまらない。しかし破綻しているけれどそこが面白い、という感じなのだが、今回はテーマに沿ってまっすぐ突き進んでいく。そしてじっくりと、死にたくないから死に物狂いになるという主人公の矛盾した状況から、滑稽さを前面に押し出す。横に逸れる甘さなどない。この映画はブラックジョークだから滑稽なのではなく、真理を突き詰めているからこそ滑稽なのだ。だからおかしくも恐ろしく、悲しい。

どこの国のどんな映画であっても描いているのは人生であるにもかかわらず、滑稽さが出るまで突き詰めているものは多くない。どうやら人生とは滑稽だということを自ら経験した監督にしか、この壁まで近づけないようである。園子温は明らかに経験者であり、だからこそ作品の出来不出来とは別に、滑稽さが存分に出ているほうが彼の持ち味は活かされる。

最後になってしまったが、でんでんの素晴らしい演技は必見。芝居は上手いか下手かだけでなく、魅力を吹き込むことだと改めて思い出させてくれる、日本映画史上に残る悪役の登場だ。

(木村満里子)

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