劇場公開日 2011年1月29日

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「これぞ狂気を描かせたら世界で指折りの園監督の真骨頂」冷たい熱帯魚 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5これぞ狂気を描かせたら世界で指折りの園監督の真骨頂

2011年1月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 せっかくの宣伝会社からのご提供とはいえ、あまりにシュールな作品でした。開始25分ほどたって、村田夫妻の狂気じみた悪事が明かにされる件で、ちょっと気分が悪くなりました。だけどこれが園ワールドの狙いどうりなのでしょう。席を立とうとしましたが、それでは園監督の思うつぼだなぁと思い我慢しながら鑑賞しました。あぁ~されども、見終えたあとまず思ったのが、「席を立ってれば良かった!」ということでした。

 これぞ狂気を描かせたら世界で指折りの園監督の真骨頂。まして、でんでんの水を得たような悪役ぶりはおぞましいのひと言です。やっている本人は、快感を感じながら演じているなんて信じられません。木訥とした「いい人」ばかり演じさせられてきた、でんでんにとって本作の村田役は、これまでの善人役と比べて別人格を演じる、演じがいが段違いにあるのだというのです。

 そんなでんでんに宿る狂気を引っ張りだし、妻・愛子を演じる黒沢あすかなど、それほどの美貌とは言えない女優を怪しくも綺麗に見せてしまう園監督のマジックには脱帽モノです。映画の表現テクニックとしては、凄いポテンシャルを感じます。ううっ(悶絶)(^_^;)…

 …それにしても、ここまで人を不快にさせる園監督の演出力とグロな思考力は、すごいなぁ~とは思います。単なるグロでなく、人間の持つ業を、これほどまでに人間臭く、悪臭を漂わせながら描ける監督は、日本の中で園監督しかいないのではないでしょうか。人が生き抜くための裏面を知り尽くしていないと、ここまでの描写は無理でしょう。頭で考えただけでは、どこか逃げ道を作り、美談にしたり、救いを作ってしまいがちになってしまいます。

 そして衝撃的な結末。皆さんは血しぶき舞い踊る本作にどこまで耐えきれるのでありましょうか!早く次の新作は…う~ご勘弁くださいぃぃぃ。

 シュールな作品がお好きな方には、たまらないくらい過激な刺激に満足されることでしょうね。

流山の小地蔵