全篇、英語の字幕スーパーがつく。なんか妙な感じだが、日本で西洋の人たちはいつもこんな感じで母国の映画を観てるんだなーなんて思いながら観てしまった。んで、ついこの字幕を見ちゃうのだ。英語だったら、いったいなんて言うんだろうと・・・ついつい字幕に目がいく。もしこのままDVDが出たら、いい英語教材になるかもしれない。
東京で働く1日を追ったような切り絵風のタイトルバックも面白い。エンドロールは、千代田の皇居からはじまる東京の地形が、やはり切り絵風の画像で彩られる。
さて本篇だが、実際にベテランの脇役として名を馳せる益岡徹が主役を努める。さらに、津川雅彦、松坂慶子、柄本明といった濃い面々が脇を固める。脇役がいかに大事か、脇役による脇役のための作品に仕上がっているのは言うまでもない。
唐突に始まる恋はよしとして、ヒロシがアヤとの恋に四苦八苦するまでのステップが端折られてるのが気になるが、脇役に焦点をあてた視点とコミカルな展開は楽しめる。
原案・脚本・製作・監督の緒方篤は今作が長編初監督デビューだそうだが、導入部にヒロシの父・松崎健太の作品が並ぶ書棚を据えるあたり、奇をてらわないスタンダードな巧さを感じる。
脇役は主役を盛り上げ、物語に深みを持たせるとはよく言われる。
だが、この映画を観てよーく分かった。
脇役が主役を産み、脇役こそが物語を作り上げるのだ。
益岡徹さん、この映画の撮影中はディレクターズチェアに座れたんだろうか。はにかみながら座ってるところを見たかった。