のぼうの城のレビュー・感想・評価
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萬斎が満載!
<野村萬斎>による、<野村萬斎>のための映画です…
彼じゃないと成り立たないんですけど、原作には非常に忠実。
時代劇一般は、あの「間」というか「余韻」というか、非常に好きですが、この作品はそうゆうぬぼ~っとしたところがないです。上映時間は長いんですけどね。
演出も大袈裟すぎて、あれじゃ「水攻め」じゃなくって「津波攻め」じゃん…
<佐藤浩市>が演じる<正木丹波守>はカッコええよ。
11/14に見ました
公開から間もないためか、平日夜にもかかわらず100人以上のお客さんがいた。
あきのこない、良い映画と思う。役者さん、ストーリーとも良かった。
個人的に今年みた映画の中でNo1と思う。
確かに津波を連想させるイメージはある。しかし、水攻めでは濁流で家屋を壊すような強い流れは生じないのではないかと思った。
のぼうの城の原作となった実際の歴史についても調べてみたくなった。
想像してたよりは迫力にかける
久しぶりに日本映画を劇場で見たいと思った作品でしたが
期待してたよりも戦のシーンは迫力不足でした。
それでも個々の役者さんたちのキャラが立っていてそれだけでお腹いっぱいw
訳あって地震のあったあの年に放映出来なかったのも納得のシーンあり。
ベテラン俳優さん達はもちろんですが、若い俳優さんたちの迫力のある演技には
驚かされました。まじめな時代劇というよりちょっと現代劇風な場面もあるので
時代劇だからと犬猿している方にもお勧めです。
野村萬斎ファンなら
その魅力に取り付かれる事間違いないです、
愛すべき男達!
観る前は、こんなに長い映画途中で飽きないかなぁ…って心配だったけど、飽きるなんてとんでもない。
ハラハラ、ドキドキ、食い入るように観てました。
野村萬斎さんて不思議な方ですね。
最初はまったくと言ってよいほど存在感なかったんですが、気がつけば、みんな彼のとりこ!映画のストーリーのまま、魅せられてましたね。
槍や鉄砲を持つわけでもないし、馬にも荷物のようにつまれて情けない彼を、本当にみんな愛してるんだなと伝わってきました。
そしてなんと言っても、佐藤浩市さん、山口智充さん、上地雄輔さんの存在感が印象的でした。これぞ男!です!!
時間を忘れて楽しめる、入り込めなきゃ映画じゃない!と思ってる私としては、久々、人に勧めたいと思う日本映画に出会いました。
狐か狸か、鷹か萬斉か。
映画館へ足を運ぶか、否か、迷っていたのだけれど、結局見に行った。
作品の雰囲気がとても良かった。
まず、野村萬斉さん、この人以外にうってつけの人はいないんじゃないかと思うくらい、「のぼう様」にぴったりだった。
今までに培ってこられた狂言が、とても活きていたと思う。
姿勢が良い。
滑稽さをわかっておられる。
ご自分で考えられたという「田楽踊り」も最高。
飄々とした風情もたっぷりに、領民に溶け込み、仲良く話しているうちに、いつの間にか領民の心を掴んでいたのだ。
「のぼう様じゃ、しょうがないか」と思わせる巧みさ、というか、優しさ。
それが良い。
負けるとわかっているのに、とんでもないことを言い放つ長親に、うろたえる正木丹波守たち。
「そんなこと言うて、どうするねん!!」
「何か、策はあるんか??」
のぼう様のムチャぶりに、右往左往する家来たち。
この構図が、とてもおもしろい。
もちろん、のぼう様は、城代としての教育を、幼い頃から受けてきたことでしょう。
だからといって、いざ!となった時に、それを発揮できるかといえば、確かではない。
きっと、のぼう様自身も周りの者たちも、のぼう様が持つ器量を知らなかったのだ。
でも、のぼう様を周りが引き立てて、盛り上げていくうちに、また、家来たちが獅子奮迅の戦いをしている様子を聞くにつけ、眠れる獅子が目を覚ました。
萬斉さんの言葉をお借りすれば、カスのジョーカーではなく、最強のジョーカーだったのだ。
周りの者を惹きつける魅力を持つ人柄だったのでしょう。
いざとなりゃ、責任は自分が取る。
そんな気概を持ったのぼう様は、理想の上司かもしれない。
佐藤浩一さんの正木丹波守も、良かった。
お子様のごときお方のお守役のはずが、いつの間にか、尊敬できる城代に成長するのぼう様を見る目が良い。
石田三成役の、上地雄輔さん。
私には、上地さんは小早川のイメージがあったので、最初はしっくりこなかったけれど、見ているうちに、意外と(失礼)しっかり役をこなされているのに驚いた。
時折挟まる現代語的セリフも功を奏していた。
軽妙で場を和ませるのに、ぴったり。
野村萬斎ありきの作品 けれど佐藤浩市もいい
もとは昨年の9月17日に公開されるはずが、大掛かりな水攻めのシーンがあることから公開が延期になった作品だ。
その水攻めのシーンだが、VFXのデキはあまり高くない。画質も粗い。
VFX好きとしては残念だが、特殊効果が映画の全てではないので、この作品の面白さを大きく損なったとは思わない。
この作品の面白さは、領主・氏長が小田原へ出兵したため僅かに残された兵とともに城を預かることになった長親の挙動にある。
剣も槍もさっぱりの“でくのぼう”だが、農民たちからは“のぼう様”と慕われている。この長親と農民との触れ合いがよく描かれており、これが中盤以降の展開への伏線となる。
この映画はなんといっても野村萬斎ありきの作品だ。武将としてどうしようもない顔がスッと素になったときの表情に知的さと不敵さが出せる。狂言師としての見せ場もたっぷりだ。言い方は悪いが、日ごろ農民たちを手懐けていざというとき利用し、武ではなく“おどけ”をもって敵を制す、この長親の役にこれほどぴったりの役者はほかにいない。
長親を取り巻く武将や農民のキャスティングもいい。新旧交えた顔ぶれで、それぞれの役によくハマっている。とくに佐藤浩市が、長親の幼なじみでもあり武門でも名を馳せた筆頭家老・正木丹波守利英を活き活きと演じている。硬派の武将が長親に振り回され弱り果てる様は佐藤浩市ならではだ。「皆、好いておるのだ、あの馬鹿を!!」の台詞がキマる。
エレファントカシマシによるEDは作品の雰囲気にまるで合わない。
圧倒的水攻めのシーンは必見
石田三成による忍城水攻めの史実を元にした映画。
2011年9月17日公開予定であったのですが、同年3月11日の東日本大震災をうけ、その水攻めのシーンが津波を思い起こさせるということから一転公開延期となった後、満を持しての公開です。いや、確かに水のシーンは、津波を思い起こしますねぇ。ちょっと特撮っぽさが抜けていませんが、家屋を破壊していくなど結構な迫力です。なお、公開に際しては、人が水に飲まれるシーンなどについては修正が行われたそうです。
豊臣秀吉を市村正親が演じています。この秀吉が、これまで数々の時代劇などで演じられてきたイメージとは異なる秀吉。これまでの秀吉は、恰幅がよいオッサンと言うイメージですが、市村正親の秀吉は、スリムで、派手な秀吉。派手という所は、実際の秀吉と共通ではありますが、秀吉のイメージ一新です。
のぼうは野村萬斎なんですが、なるほどね。こののぼうは、野村萬斎しか出来ないかもしれませんね。田楽踊りなど、野村萬斎自ら振り付けをしているようですし。声、踊り、これは、元々これらをやっている人ならではでした。
意外や意外に良かったのが、上地雄輔。最初石田三成が上地雄輔と聞いた時は、「えっ?マヂ!」と思ったんですが、世間一般のイメージとは異なり、きちんと石田三成を演じています。これは儲けものだったなぁ。
逆に、敢えてバッシングを覚悟で言うと、芦田愛菜は不要。確かに原作にもちどりは出てくるんですが、あまり重要な役割ではなかったし、「この役は映画で必要?」と感じました。人気者だけに、必要以上に目立ってしまったしね。
あと山口智充も空回り。彼は芸達者なので期待していたんですが、それが災いして空回りした感があります。だってねぇ。あの目を見開いた表情は・・・、ネタ以外の何物でもないように見えてしまいました。
鬨の声とか、忍城内部の様子とか、意外にちゃんと考証しているような感じでした。ですが、ちょっと微妙に思ったのが、セリフがところどころ現代語だったところ。原作でもそうだったかもしれませんが、本で読むのと、言葉(音)で聞くのとでは印象が違いますね。原作の時はあまり何とも思わなかったんですが、映像から出てくる音で聞くと、ちょっと違和感を覚えました。
エンドロールが、今の忍城周辺の映像になっています。お城の門の名前のついた地名がまだ残っているんですね。
いや、良かったです。
野村萬斎の魅力は十分味わえる作品
豪華なセット、迫力の水攻めシーン、個性あるキャラクターたち、そしてなにより野村萬斎の魅力。どの要素もそれなりに楽しめる全世代向けのエンターテインメント作品。
しかし期待が高すぎたのか、中途半端な後味が残ってしまう。水攻めシーンの演出にしても合成された水しぶきと逃げ惑う人々がちぐはぐでインパクトが弱い。またこういう戦を中心とした映画は武将の超人的バトルシーンを入れないと気が済まないのだろうか。男性には受けるのかもしれないが、今回は劣性を覆す奇策やのぼう様の人柄に焦点を当てている作品なので無駄に感じる。レッドクリフの劣化版にしか見えなかった…
そして一番の見せ場であるはずの野村萬斎の決死の舞の後、百姓や家臣たちの心情の変化をなぜもっと丁寧に描かなかったのか。堤決壊のキーマンである中尾演じる百姓の扱いもいい加減すぎていまいち感情移入できない。
役者さんたちの演技は素晴らしかっただけに残念でした。
戦の影に
公開前から気になっていました。
初っぱなから水攻めというシーンでびっくり、市村さん演じる秀吉と、それに圧巻される家臣達の構図がなんともいえません。
勝つという事に対して、男が戦に対するエネルギーと欲は、どこまでいくのか。
その影で苦しむ人だって大勢いるのにと思うと正直、複雑に感じます。
のぼう様と呼ばれる野村さんの存在がおおうつけか天才なのか、そこに焦点が当てられつつも、農民達の生活も書かれていて興味深く見れました。
農民達から愛されても家臣や侍達からは虚け、馬鹿者と呼ばれる彼の存在が戦の中で、どんな風に感じられて、見られているのか。
攻められる側も仕掛ける側、互いに必死になっています。
ここが観ていて、正直、辛かったです。
正義とか悪とか関係なく、侍という者の本質を観たような気がします。
自分に才はないと知り、それを認めた男の笑顔。
戦には勝ったけど大事なものは失ってしまった男の笑顔。
互いに笑っているのに、どこか哀しくて滑稽だと思えてしまいます。
ひょろろん ヒョロロン
豊臣軍が忍城を落とせなかったのは、自分が認めるように石田三成の軍略の欠如が決定的要因だ。しかし、それでは物語がつまらない。成田長親の「正直な心」が軍略を超越したという方がだんぜん盛り上がる。田植えや合戦シーンは「七人の侍」をベースにしていると思われる。CGもうまく使えば「七人の侍」に及ばなくても、そこそこいけてる。水攻めをすると合戦による手柄がなくなるため武将の士気が下がり、三成は部下からソッポをむかれる。長親はおのれの命をかけて百姓の心をつかむ。みんな命をかけて戦っているのだから、これは大きな差になる。最後に各自の後日談が語られるが、城主のものはなった。分からないと知りたくなるのが人情。お城のトップはどうなったんでしょう。
60周年記念映画?!→でも、まあ面白かったよ!
TBS60周年記念映画ということを知らず、最初にロゴが出たときは「やっちまったか?」と思いましたが(すみません)、細かい文句はあるものの面白いシーンと登場キャラの良さでトータル良い印象。
でも映画代考えるとな〜…。
カップルで行って「おもしろかったね~(^^)」「ね~(^^)」というのが良い感じ。
以下、ネタバレです。
◎キャラクターや個々のシーンは楽しかった
・のぼうが一転、戦いを決断するところはやっぱりアガる。
・野村萬斎、佐藤浩市はやっぱり見てて楽しい。
・大谷吉継の山田孝之の「ヤレヤレ」「勝手にしろ」と言いながら上地を見捨てない感じもホッコリしていい。
・上池雄介の石田三成はこの映画内のキャラなら全然アリ!!
・成宮寛貴も「青い坊や」役がハマってた
・榮倉奈々が可愛い。(強そうには見えなかったけど)(映画の尺の長さを考えたら、この役すっぱり無くしてもいい気もするけど)
△エンドロール
・エンドロールの埼玉県行田市でした〜というオチ?は近所だし個人的には面白かったけど、地味過ぎて関東人以外興味ないんじゃないかな?(でも「坂東武者の武勇が…」とかだからいいのか)
△のぼうがあそこまで好かれる根拠が弱い。
・農民と戯れる描写はあるが、佐藤浩市が前言を覆して「敗北必至の戦に参加し城内に入るか、村から退去か」という命に関わる選択を村長に迫る時に「のぼうが言うならしょうがない」とまで言わせるほどの説得力は感じなかった。
・でもひょろろんでそんな受けるかな~?
・あと普通の城代があんなに能をできるもんなのかしら?昔は一般教養だったのか?
・とか言いつつ、結局「野村萬斎力」で納得させられちゃう面もありますが(^^;)
×武将の人格設定に違和感
・センゴクのキャラが先入観で入っちゃってたのが良くなかったのも多分にあるが…(ちょうど備中高松水攻め中だったし)
・石田三成の思考が筋が通ってない
・最初は武功を挙げようと早っていたのに、水攻め(時間がかかる)を選択。それは「備中高松攻めア↑コガレ」によるものとしても、最終的に小田原落城に間に合わない大失態を冒したうえ、何故かそのときには「やられた、ハッハッハ」みたいな懐深いキャラに。堤を切った農民・中尾明慶も逃がすし。「のぼうの魅力は敵も魅せちゃう!」といいたいんだろうが。最初は「正義感があり真っ直ぐ一本気だが、人の気持ちのわからない子供っぽい人」という設定だった(風呂に入らない三成、入る吉継の対比)にもかかわらず、筋が通ってないと感じる。
・大谷吉継の山田孝之が三成に「敵がすでに内通している=降伏してる」ことを明かすタイミング(のぼうを撃つのを思いとどまらせるとき)が逆効果に見えて変だった
×合戦描写がリアリティゼロ
・リアリティがないのはいいけど、敵がバカにしか見えない(敵を引きつけずに射程外で撃って外して、逆に撃ち殺される。何故か強い佐藤浩市に一瞬で首を打たれる。
・ぐっさん1人に勝てない大量の足軽。
・足軽といえば、全体的に人数感が少なく見える撮り方だった。敵2万人いるんじゃねーの?!成宮の作戦とかはあったけど、それで押し返せそうには見えない程度の勝ち方)
×セリフに対する配慮不足
・そもそも最初全員滑舌が悪くてなに言ってるかわからなかった
・言ってる言葉遣いや用語について、日本史に興味ない人は急に言われてもわからないんじゃ?という部分が結構あった気が…(13人の刺客との好対照)
・その割に人物説明とかちょこちょこいれてくる。三成が関ヶ原で負けたとか、上記を理解できる人なら言わなくても当然わかるよ!
・笑ってる秀吉が大声で「ワッハッハッハ」と口に出して笑うのはとても白けた(萬斎だから能オマージュなのか??)
なるほど萬斎
私は原作小説を読んだので、最初「のぼう様が萬斎さん〜???」と違和感がありました…が、観始めたらその感は払拭され、「萬斎さんこそ‼‼」と思いました。
クライマックスシーンは萬斎さんあってこそ。
あの腰のすわりかた、ちょっとやそっとの練習では絶対出来ない‼
さすがです‼
こんな史実があったなんて…いぃなぁ、行田。
俳優さんのキャスティングには賛否ありますが、私としては概ねイメージ通りであります。
以外だったのが上地さん‼
凄ーーく、良かった‼
智に長けた侍だった三成が上地さん⁈…と思ってごめんなさい。
すんごく良かったです‼
忍城の面々もみんな良かった〜
(もちろん、愛菜ちゃんも)
ただ浩市さんはもっともっと迫力出せたはず。
小説を読んでからがおススメかな。
賛ならもちろん、非でも「後悔しない」映画である
内容は大作と銘打っているだけに、賛否両論だと思われます。
映画のキャッチコピーである「奇策」はミスリードです。
これは登場キャラクターたちの織りなす物語が魅力です。
(そして安部清明だけが魅力ではありませんw)
戦映画にありがちな、妙に涙を狙う表現やお堅い表現・暗過ぎる演出はありません。
けれどお気楽映画ではなく、やはり戦争なのだと思い出させる部分が散りばめられております。
随所が口語調であり、見やすい歴史映画です。
戦の始まりにワクワクした映画は初めてでした。
見た後は先述の通り、賛否両論でしょうが、
「見る価値はあった」と思われるでしょう。
原作に忠実に作られた映画としてはいい出来じゃないでしょうか
2012年11月4日に新宿ピカデリーで観賞しました。以下、観賞直後の雑多な感想です。まとまった文章になっていない点、また映画に直接関係のない感想含まれている点、容赦下さい。
・三成に箔をつけさせるためだけに、忍城という、主戦場である小田原から 遠く離れた地に2万もの大軍を差し向けたのだろうか?
・ぐっさんがバイキングみたいなコスプレで戦国無双を演じてる
・上地三成はキリッとしていればそれらしく見えるのに、喋り出した途端にコレ ジャナイ感が滲み出る
・騎馬鉄砲隊ってあんなんだったの… 鉄砲隊の密集隊形には萌えた
・長束は銭勘定にうるさそうなキャラのくせに莫大な金のかかる水攻めを止 めようとしない
・決壊のシーン。震災直後にこのシーンは放映できないだろう感はポニョの 比ではない
・能楽のシーンはまさに狂言師・野村萬斎の独壇場。この映画自体、野村萬 斎の映画と言っても過言ではない
・最初っから俵敷き詰め作戦をやってりゃよかったのに…
何故長期戦仕様の水攻めなど選択したし
・最初、三成=上地のキャストに首をかしげたが、原作三成がこんな感じ のアホさわやかキャラであるなら、この配役は120%正しい
・エンドロールは行田市、水城公園、石田堤など。地元の人は感激するだろう
惜しいなぁ・・・ もったいないなぁ・・・
せっかく2時間40分の長尺なら、もっと「タメ」のある演出を心掛けてほしかったのと、そもそも映画用脚本の完成度が低い部分があって非常に残念であった。
九州・岩屋城の攻防戦を見るまでもなく、戦気旺盛な城を攻めるのは容易な事ではない。しかし、団結力・戦闘意欲が低下し疑心暗鬼に陥れば、容易に落城してしまう。忍城の攻防戦は「のぼう様」と呼ばれ百姓から慕われるバカ殿様がいかにして、立てこもる3000人を統率するかが見ものであるが、
このあたりの演出が淡泊過ぎた。
脚本上の不味い点、例えば正木丹波が山田帯刀を倒した後の一言「下げたな」、原作を読んでないと何のことか分からない。なぜ、家老とはいえ家来である丹波が「長親!」と呼び捨てにするのか?さっぱり合点がゆかない。
坂巻靭負の戦略・戦闘も原作の方が、大いに面白い。 残念。
特撮は古式蒼然…水しぶきのスローモーションは不要。 残念。
野村萬斎、上地雄輔:好演、佐藤浩市:凡演、グッサン:ミスキャスト。
とは言え、退屈することなく最後まで一気に楽しめる。
やっぱり、惜しいなぁ…
主役が生かされている力作、面白かった
忍城のある行田市に隣接する熊谷の映画館は平日の昼過ぎであるにもかかわらず大変なにぎわいであった。映画館がこんなににぎわったのを見るのは本当に久しぶりのことだ。地元が舞台のためであると想像したが、東京や全国ではヒットしているのか、気になるところだ。映画の内容は、黒澤映画を意識したように感じた。 田植え歌のシーン(七人の侍)や合戦シーンで風にたなびく旗(影武者)、などなどである。映画のできとしては、地元舞台の映画ということでやや甘い点数になってしまうが、戦いのシーンも含め、力作であった。野村萬斎の踊りが見応えあった。よくも揺れる船上で見事に舞うことができるものだと感心した。
のぼう様
天下統一を目指す豊臣秀吉2万の大軍の指揮を任された石田三成は、武蔵国忍城に攻め入る。
無条件降伏するかと思いきや、城代・成田長親の返答は「戦います」。
2万に500で立ち向かう長親の奇策とは…?
和田竜のベストセラー小説の映画化。
映画的醍醐味たっぷりのこの話が、実話なのだから驚き。
本当に、事実は小説より奇なり、だ。
成田長親のキャラクターが非常にユニーク。
もじもじしてて自分の言いたい事も言えず、ましてや戦の総大将の器にはとても見えない。
唯一の長所は“誰にでも好かれる”人柄。(まさかこれに意味があったとは!)
でも、傲慢な軍使に楯突いたりと実は男気アリ。
僕も態度のデカい奴は好きじゃないので、このシーンの長親に共感。
嫌なものは嫌、それでイイのだ。
長親の「戦います」が、まるで「七人の侍」の「やるべし!」みたいに聞こえてお気に入り(笑)
人間味たっぷりの長親を演じた野村萬斎はぴったり。
田楽踊りのシーンは野村萬斎の持ち味が存分に活かされた。
大抵時代劇に出ると役者は堅苦しい演技になりがちだが、皆のびのび活き活き演じて好感。
ぐっさん演じるあんなパワフル男居てこそ映画は盛り上がるもの。
石田三成に上地雄輔?…と思ったけど、なかなか良かったんじゃないの?
難しい台詞よく覚えたね、上地クン。
壮大なオープンセットや衣装は贅沢、音響・特撮・CG・合戦シーンの迫力も良し、映画館の大画面に尽きる。
いよいよ戦いが始まったが、長親がなかなか動かない。
どんな戦略・戦術を練っているのかと思ったら、突然田楽踊り。
…アレ?
いえいえ、これが奇策。
長親のユニークな人柄に敵の人心も奪われた。
そして自ら犠牲になる事で、敵の士気は下がり、味方の士気は上がり、民が動く。
そこまで計算ずくだったのか…?
だとしたら、この男、ただ者ではない。
そんな長親に、僕もすっかり心奪われていた。
真のリーダーとは?
リーダーの素質とは?
映画的醍醐味たっぷり、人間味たっぷり、敵ながら天晴れのラストも後味爽やか。
歴史の中に埋もれた物語に胸躍る、痛快時代劇エンターテイメント!
キャストの個性が光る作品。
野村萬斎、佐藤浩市、市村正親、上地雄輔、山口智充
・・といった豪華なキャストが多く、
個性がぶつかり合ってしまうのでは、と危惧していた。
が、それぞれの個性が光り、相乗効果で作品に深みを出していた。
上地雄輔はクイズ番組や歌番組でしか見たことがなかったが、
聡明な石田三成役を見事に演じていた。
俳優としても活躍できるのではないか。
野村萬斎はさすが狂言師ということもあり、
不安定な船上でも見事な舞を披露していた。
のぼうが命を懸けて田楽踊りをするシーンは、
思わず涙してしまった。
自ら行動して周囲を惹き付ける様は、
現代にも通じるところがあり、参考になった。
戦闘や水攻めのシーンは臨場感があり、
公開が1年延期されたのも納得。
劇場に足を運び、スクリーンで迫力を感じるのも一考だ。
史実ならではの見応え
味方 500:20000 敵方
という構図は,設定として面白い.
野村萬斎はさすがという感じ.娘が生まれたころに,NHKテレビ小説の「あぐり」を家族で見ていたので,
以来,出演作も少ないとあって,我が家での評価は高い.
佐藤浩市はいささか平板な演技ながら,求められたキャラクターを的確に演じた.最後の門を開けての出陣のシーンは泣けた.
ぐっさんは過剰な表現が笑えた.主役でもないのにあの見栄の切り方は不必要だと思う.
百姓のヨメの ちよ役の尾野真千子が良かった.
随所で,つまらない細かいところに感情移入して
泣いてしまった.
理想の人石田三成を演じた上地雄輔もぴったりであった.この人が出ている映画をまた見たいと思いました.
残念だったのは,
「奇策」と予告編で宣伝しているが,
史実に基づいているためか,実際のところそれほどの奇策ではない.
あの程度の奇策で数の劣勢を跳ね返せるとは正直最後まで思えなかった.
史実であるならば,500人,20000人をリアルに配置してその規模の優劣と軍略の妙をもっと綿密に描けていたはずだ.そうすればもっとよい映画になったと思う.
それができる監督は,黒沢明ぐらいか.
ただ,直前にBSで「乱」をやっていたが,侍の所作や馬上の振る舞いの完成度は非常によくできている.
両者で遜色がない.
いまどき,145分は長いが,時間の長さを感じさせなかった.最後のエンドクレジットでの
「石田堤」など史跡を映すことで映画のリアリティーを後押ししていた.
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