「史実ならではの見応え」のぼうの城 げんさんさんの映画レビュー(感想・評価)
史実ならではの見応え
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味方 500:20000 敵方
という構図は,設定として面白い.
野村萬斎はさすがという感じ.娘が生まれたころに,NHKテレビ小説の「あぐり」を家族で見ていたので,
以来,出演作も少ないとあって,我が家での評価は高い.
佐藤浩市はいささか平板な演技ながら,求められたキャラクターを的確に演じた.最後の門を開けての出陣のシーンは泣けた.
ぐっさんは過剰な表現が笑えた.主役でもないのにあの見栄の切り方は不必要だと思う.
百姓のヨメの ちよ役の尾野真千子が良かった.
随所で,つまらない細かいところに感情移入して
泣いてしまった.
理想の人石田三成を演じた上地雄輔もぴったりであった.この人が出ている映画をまた見たいと思いました.
残念だったのは,
「奇策」と予告編で宣伝しているが,
史実に基づいているためか,実際のところそれほどの奇策ではない.
あの程度の奇策で数の劣勢を跳ね返せるとは正直最後まで思えなかった.
史実であるならば,500人,20000人をリアルに配置してその規模の優劣と軍略の妙をもっと綿密に描けていたはずだ.そうすればもっとよい映画になったと思う.
それができる監督は,黒沢明ぐらいか.
ただ,直前にBSで「乱」をやっていたが,侍の所作や馬上の振る舞いの完成度は非常によくできている.
両者で遜色がない.
いまどき,145分は長いが,時間の長さを感じさせなかった.最後のエンドクレジットでの
「石田堤」など史跡を映すことで映画のリアリティーを後押ししていた.
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