ネコを探して

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ネコを探して

解説

フランスの女性ドキュメンタリー作家ミリアム・トネロットが行方不明のまなネコを探す旅を通し、世界中のネコと人間の関係性を描くドキュメンタリー。和歌山県のローカル線で人気を集める駅長ネコ・たま、米ミネソタ州で宿泊客をもてなすネコ・ジンジャー、米ロードアイランド州で認知症患者の最期をみとる介添えネコ・オスカーなど、ユニークなネコたちの姿を映し出す。

2009年製作/89分/フランス
原題または英題:La Voie du Chat
配給:ツイン
劇場公開日:2010年8月14日

スタッフ・キャスト

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(C) La bascule and Ana films

映画レビュー

3.0サビの効いたネコメンタリー

2020年11月8日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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odeonza

3.5☆☆☆★★★ ※ 鑑賞直後のメモから 良質ドキュメンタリー。 人と...

2018年1月6日
iPhoneアプリから投稿

☆☆☆★★★

※ 鑑賞直後のメモから

良質ドキュメンタリー。
人とネコとの関わり合い方を通し、現在の日本で起こっているペットフードに対する消費社会の垂れ流し。人間側の自己満足に対して、やがて欧米諸国で起こりゆく可能性を示唆し、警告を発する。
それら批判的なところが面白い。

2010年8月22日 シアターイメージフォーラム/シアター2

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松井の天井直撃ホームラン

4.0時空を越えて語られる『ネコなるものとは?』。人間とネコとの絆に必要なことを、本作は淡々と語りかけてきてくれま

2010年9月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 本作はユニークなドキュメンタリー作品です。
 アニメと実写で構成されていて、アニメ部分で登場する主人公の女性ドキュメンタリー作家が愛猫のクロを探して、鏡の中の時空を越えた世界を彷徨うという形式で、ストーリーが進行していきます。
 この不思議な設定がフランス映画ならではの不思議な浮遊感を感じさせてくれて、歌川広重をインスパアさせられる美しい色使いもあいまって、心地よさを感じさせてくれました。

 しかし、ここで描かれるネコたちは、単なるかわいいだけの猫ではありません。むしろ「猫なるもの」とは何か?その時々の歴史で人間たちが勝手に決めつけてきた猫のイメージを手探りに、消費生活に溺れる現代人をチクリと風刺する文明批評を、猫のように忍ばせていたのです。
 さらに猫と人とがどう関わるべきか、その関係の描写から、人がどう生きるべきか考えさせられる作品でもありました。
 それでも、猫好きな女流作家が演出しているだけに、鏡のようなつぶらな瞳を持った猫がひっそり佇む表情の描写には、限りなく猫への愛情が感じられます。きっと猫好きな人には、必見の作品でしょう。

 さてクロを追って最初に舞い込むのが、19世紀のパブでした。多くの芸術家が集まり、何と猫談義をしていました。
 当時のパリやモンマルトルの芸術家コミュニティでは、猫ブームが起こり、猫をモチーフとした作品が次々発表されるようになっていったのです。なかでも、キャバレー黒猫(ル・シャ・ノワール)に集っていた芸術家の集まりに招かれたスタンランの『黒猫(ルドルフ・サリの黒猫の巡業)』(1896年)は有名で、本作ではこの黒猫がクロの過去世とされています。

フォト
タンラン『黒猫(ルドルフ・サリの黒猫の巡業)』(1896年)

 芸術家たちは語ります。猫が好まれるようになったのは、フランス革命後の自由と個人主権の象徴として猫の気高さが支持されたからというのです。その分、従順な犬は、封建的と急速に人気をなくしていったのでした。

 面白いのは、フランスの芸術家に猫ブームがおこったベースにあるのは、広重が描いたの浮世絵の猫の影響が大きかったと紹介されてびっくり。フランスでも広重と漱石は、すでに当時から有名だったのですね。

フォト
歌川広重『猫の化粧』

 舞台は、戦後の日本の水俣へ。人的被害よりも先に、沢山の猫が被害に遭うばかりか、環境調査の実験材料としても、万単位の猫が殺されたことが明らかにされます。ここから作品は、高度に発達した消費者社会への批判に移り、上野のホームレスに拾われる猫の描写から、保健所でガス殺を待つ子猫たちの哀しげな表情を捉えていきます。
 本来、人間から独立した存在であった、猫たちが人間の勝手な都合で商品として扱われるようになり、飽きたら遺棄される現状を告発していきます。
 なかでも、急成長したペット産業は、猫の自由を束縛する衣服や靴を履かせて、人間に従属させようとする由々しき存在として描かれていきました。
 作品は、広重や漱石が描いた幕末や明治の頃の、気高い猫の気性はどこに消えてしまったのかと嘆いて見せます。

 けれども、人間と猫との関係は、一方的に隷属を強いる関係だけではありませんでした。映像は、和歌山の和歌山電気鉄道で人気を集めるたま駅長をレポートします。駅長の格好をされられて、大勢のギャラリーに頭をなでられるたま駅長の表情は、決していやがらず粛々と「業務」をこなしています。
 たま駅長ひとりの存在で、乗降客増やグッズの売れ行きアップにより、鉄道自体が黒字になったとのこと。作品では、『招き猫』の招き猫にも触れて、たま駅長は、まさに招き猫であり、人間のために繁栄をもたらす猫の存在を浮き彫りにしていました。

 次なるシーンは、イギリスの『キャットハウス』という不特定の男女が一晩を過ごす、怪しい「売春宿」。でもご安心。ここに勤務するのは、ネコちゃんたち。
 宿泊客はご指名のネコちゃんたちと一夜を共にするためだけに、ここを目指してくるのです。
 ここで注目すべき点は、登場するネコちゃんはどれも大人しく、一期一会の客でもまるで永年の飼い主に接するように優しく身体を預けるのですね。そんなネコちゃんの振る舞いに、宿泊客はとても癒されていくのです。
 本来一見の人間には、警戒するばかりで、愛嬌をサービスするなど考えられなかった猫ではありますが、ここのネコちゃんは、みんな一生懸命宿泊客に尽くそうとしているのです。これは猫界のニュートレンドでしょうか?

 いえいえ、『キャットハウス』のネコちゃんばかりではありませんでした。米ロードアイランド州プロビデンスにある介護施設で2匹のセラピーキャットの活躍が触れられます。そのうちの一匹が人の死期を正確に予測する猫として世界的に有名になったオスカー。オスカーは死が数時間後に迫っている人以外にはめったに近寄りません。たとえほとんど意識がなく、脳の認知機能がほとんど失われていてもです。しかし、誰かの死期が近付くとも旅立つときまで患者のそばで丸くなり、のどを鳴らしながら鼻をすり寄せて、その時を待つのだそうなのです。

 けれども本作では、オスカーのそんな特殊な能力は、さらりと紹介。むしろ同僚の猫と共に日常の介護の現場で活躍する姿を紹介しています。植物人間となったような人でも、オスカーたちが寄り添うと反応を示すし、なかには機能回復する人までいるようなのです。二匹のセラピーキャットが病院内をのしのしと闊歩する姿は、自信に満ちあふれ、経験を積み上げたドクターにも見えてきました。

 人には懐きにくく、自由気ままに過ごすのが普通の猫の姿でしたが、最後のセラピーキャットの活躍を見せられると、どうして猫からの与えられる愛情を感じずにいられなくなります。以前『オーラの泉』という番組で、江原さんがゲストとペットの猫の関係をリーリングされたことがありました。猫の世界には、飼い主に愛された代償して、命をかけて飼い主を守ろうとする殊勝な猫がいるそうなのです。ゲストの死んだ猫の場合も、ゲストを襲ってきた病気の邪気を、全身で受け止めた結果なくなってしまったようなのです。それでも、飼い主のゲストのために役に立ったことを、ずっと歓びで受け止めてきたのだそうで、何とも立派なネコちゃんですよね。きっと皆さんのネコちゃんにも、こんな思い出、飼い主を見続けていることでしょう。

 個人的に猫と暮らすということには、こんなにもたくさんのことを知っておかなくてはいけないのかも知れません。
 その上で、人間と動物に本当の絆が生まれることを、本作は淡々と語りかけてきてくれました。

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流山の小地蔵

4.0ネコ好きにとっては、楽しい映画です。

2010年8月17日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

幸せ

ベルギー生まれイタリア国籍、現在フランス在住の女性監督の手による世界中のネコをめぐるドキュメンタリー映画。

愛猫クロが行方不明。
部屋の鏡の中にその姿を見つけて、彼女も時空を超えた旅にでる。
最初はアニメ(ネコや彼女の姿も)。それもイラストを動かしただけの素朴なものでほのぼのする。

ヨーロッパでは魔女狩りの頃から、ネコは忌み嫌われる存在だった。
ネコの魅力に気がついたのは、19世紀のフランス。
当時の革命の風潮が、自由気ままなネコと重ね合わされたという。
パリのサロンの芸術家たちがネコを賛美し、作品に登場させたりした。
また、ネコを描いた安藤広重の浮世絵の影響もあるという。

イギリス留学中の夏目漱石と出会った彼女は、再びクロの後を追って、現在の日本にやってきた。

日本では、ネコにも人間にも悲しい出来事のあった水俣をはじめ、和歌山、東京と各地のネコたちを追う。
さらに、イギリスやアメリカへ飛び、カメラねこやおくりねこを紹介。

世界を巡って、さまざまなネコたちと出会った彼女は、愛猫クロを見つけることができたのか…。

ネコ好きにとっては、楽しい映画です。

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