太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男のレビュー・感想・評価
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具体的描写が欠ける
総合:65点
ストーリー: 55
キャスト: 65
演出: 65
ビジュアル: 70
音楽: 65
長いこと戦っていた割に、淡々と話が進んでしまう。どのような作戦をたてどのような戦いをしたのか、どうやって兵士だけでなく民間人までまとめていったのか、食料とか生活をどうやったのか、そのようなことが具体的に書かれていない。アメリカ軍にフォックスと名付けられ、憎まれ敬意を得るほどのものを、是非劇中で見せてほしかった。ところどころでそういうのが出てくるだけでは、彼らの餓えとアメリカ軍との遭遇に怯えながら生き残る厳しさがあまり伝わってこなかった。本隊が壊滅しても彼らだけはどうにか山奥にこもって戦い続けましたよ、それだけで終わってしまって物語の本筋が見えていない気がする。当時の日本軍の、敵に降伏せず死ぬまで戦い続けるという教育を受けた指揮官が、それをこれほどに長く全うしたのは優秀であるからというのはわかるが、途中には厳しいことも残酷なこともたくさんあっただろう。それも描いてこそ現実感があるのだろうが、医療品がなくて兵士が死ぬのもあっさりと描かれていて、見ているこちらもあまり感情が揺さぶられることもなくあっさりと見終わってしまった。
必見の価値ありです
やはり戦争がテーマだけに重い内容でした(≧□≦;)
誰の為に死ぬのか?何の為に死ぬのか?はたまた誰の為に生きるのか?何の為に生きるのか?それぞれの立場や考え方、そして迫りくる敵、追い込まれてなお貫く意志!本当に日本兵とは相手にしてみれば脅威だと思う。今はそんな貫く意志を持った日本人がいるのだろうか?時代が違うとはいえ、何かを貫く意志は見習うべきかとも思う。逆にいえば柔軟性が現代人の特徴かもしれない!古人の生きる哲学、ぶれない考え方を見習いたい。
それにしても、井上真央の演技力に脱帽です。自分の中では助演女優賞を差し上げたいほど惹き付けられました。
子供と観たい。
今週のおはシアは~
“太平洋の奇跡ーフォックスと呼ばれた男”ーをご紹介しました。
戦争映画。実はとても苦手なジャンルなのですが・・・。
調べてみたら、実在した人物、主人公の大場栄大尉は戦死しなかった。
と書いてあったので観に行くことにしたのです。
(とにかくハッピーエンドが大好き人間なもので~。)
太平洋戦争末期、日本兵すべてが玉砕したと伝えられていたサイパン島。
実は生き残って山にこもり、アメリカ軍に抵抗し続ける兵士たちがいました。
率いていたのは大場栄大尉。
アメリカ兵の捜索を頭脳作戦でかわし、彼らからフォックスと呼ばれた男。
終戦後も山にこもり続けるも、投降を決意します。
名誉の自決が賞賛されていた時代、アメリカ側に
「軍隊は上官からの命令が絶対」と伝え
司令官からの「山を降りよ。」との命令を促した彼。
部下を前に言った
「君たちは本当に立派に戦った。恥じることはない。生きて日本に帰ろう。」
の言葉には涙がこぼれました。
この映画はアメリカ兵からの視点で描かれています。
平和であることが当たり前の私たちに
当時の日本兵、民間人の気持ちを理解することは難しいですよね。
日本人に脈々と伝えられてきた精神や考え方。
それらを2年間日本に留学した経験のあるアメリカ軍大尉が
将棋の駒を使うなどしながら、解り易く説明しているんです。
この映画、私の子供たち世代の人達にも是非観てほしいと思います。
生まれた場所によって、また、同じ日本人として生まれながらも
生きた時代によって、こんなにも大きく環境が変わってしまうということ。
当たり前のことですが、改めて感じさせてくれる映画です。
私がもし、今日死んでしまったら。
きっと家族がキチンと葬儀の準備をしてくれて
綺麗に白装束を身にまとい、旅立つことが出来るでしょう。
でも戦場では、バタバタと銃弾に倒れ、埃にまみれてその場に放置される。
映画の中でも観ているのがとても辛い場面です。
最後の総攻撃の時の「突撃ーっ」の声で私は一気に涙があふれました。
大場大尉役の竹野内豊さん、大場大尉の持つ繊細さも上手に演じています。
私は作品の中に1人は目力のある役者さんを!と常々思っていますが
今回は部下役の山田孝之さんが頑張っていますよ。
唐沢寿明さんの肉体改造してまでして臨んだ演技。
ファンの方にはたまらないと思います。
アメリカ軍が日本人を投降させるために
日本を懐かしく感じるさせる歌をスピーカーを使い
山に向かって流すんですね。
“やしの実”を耳にした日本人たちが、皆手を止め
聞き入るシーン。グッときます。
音楽の持っている力ってすごいんだなぁ~。と実感します。
“太平洋の奇跡ーフォックスと呼ばれた男ー”
子供たちともう1度観たいと思っています。
星は~4つです。
先日、日本テレビのZEROという番組で
この映画に関連した特集を放映していました。
実際にバンザイクリフから飛び降りたものの、奇跡的に助かった姉弟が
サイパンを訪れてお話をされていたんです。
当時14歳だったお姉さんは助けられた時
弟さんに自分の着ていたランニングをかけてくれたアメリカ兵を見て
自分たちは間違ったことを教えられていたのでは・・と思ったと言っていました。
そして教育というのは本当に怖いもので、日本のTOPの人達には
しっかりしてもらいたい。とも言っていました。
戦争について、日本が何をされたか。だけでなく
何をしたのか。についても正しく伝えていかなければならないし
その上で私は、戦争はするべきではないんだよ。と
子供たちに教えたいと思っています。
軍人の見栄
軍人のプライドというより見栄を感じる作品。
軍幹部の自死を見栄というのは失礼かもしれないが、
やはりプライドよりも見栄を感じる。
切腹の形をとってはいるが、腹を切るのは苦しいから銃で即死を選ぶ。
歴史上は切腹として残ったのだろうか。
腹を切るのが苦しいなら死ななくていいから、みんなで生きようヨ。
大場大尉の投降も自ら降伏はできないが、上官の指示であれば従うという見栄だ。
背中に入れ墨を背負う一等兵と家族を殺された看護婦は、
憎しみだけでアメリカ兵に対峙する。心情的には軍人の見栄より理解できる。
職業軍人は見栄、プライド、過信で日本をまちがった方向へ誘導した。
しかし、戦争責任を軍人だけに押し付けてはいけない。
それを許した国民にも大きな責任があることを認識するべきだ。
唐沢の●●●が・・・
結局、大場大尉の決断は1テンポ遅く多くの人命を失ったのでは?収容所の日本人捕虜に対する対応を早くから知っていたのに
一番印象に残ったシーンは、マシンガンをブッ放す唐沢のホッペがブルンブルン揺れてたとこかな・・・
語り継ぐということ
さきの戦争については
未来永劫きちんと語り継がなければいけない
実際にはもっと残酷でもっと厳しい現実だったかもしれないけれど。。。
本作では戦時中、只まっすぐにお国のため、天皇陛下のためと死んでいった若者や様々なことに疑問を感じつつも、日本を守るため一生懸命
職務をまっとうしようとした人間の姿が描かれていた。
大げさな演出もなく限りなく事実に忠実に描かれていたのではないだろうか。
あの戦争を体験した人々にとって
簡単に語れることでもなければ、その後に生まれた僕らが意見できることでもないことは分かっているけど
お国のため、家族のため年半ばで散っていた若者たちの思いや魂は
とても尊くて清くて輝いて、僕には見えます。
パシフィクでもフォックスでもなく
いやま、
この映画中でもそうですが、
圧倒的なブルジョア生活をしている米兵と
ホームレス以下の極限で戦う帝國軍人
そりゃ、こんな戦争勝てるわけありません。
そもそも、戦争自体無駄なこと
それをすると判断したこところは、
地球の敵です。
適当な米兵とストイックなだけの軍人
軍人はかわいそうですね。
負け戦なのは周知ですので
まったくどんでん返しがあるわけではなく淡々と進むだけです
役者がステキでした!
サイパンに10月に行き、そのときにサイパンで激戦があったことを知りました。戦争は決して繰り返してはいけない最も恐ろしい出来事、だからこそとても感銘を受けるし、興味を深く抱きます。
今回はサイパンにいったメンバーで観に行きました。
ドキュメンタリーはよく見るのですが、戦争映画となると重くなるため、あまり観たことがありません(´・_・`)だからあまり比較できないのですが、まぁこんなものかと。。結局何が言いたかったのか…がわたしにはあまり伝わってきませんでしたが、胸にどっしりくる感じです。
映像はすごくリアルで、殺戮シーンはやはり怖いです。迫力があります。
泥くささもリアルです。
あと、配役がすごい適材適所という感じで、より話に入り込めました。
竹野内豊、井上真央、唐沢寿明はとくによかったと思います!
こういうことがあったのだと、歴史・戦争映画は知的・興味のきっかけになるので、観て損はないと思います。
ラストシーンがいらない
作品自体は悪くは無いが
ラストシーンが取ってつけたようで
あからさまに安っぽいし
見る側の作品の評価も下げているのではないかと思う
イメージとしては
ラストを投降武装解除にしておいたほうが
印象深くなったかなぁ
唐沢寿明の戦闘シーンは「コンバット」程度で
いただけない
硫黄島からの手紙よりはかなり良いですかね
日本側のはちょっとね
今まで見た戦争映画では
「キスカ」
「203高地」
「八甲田山」
「The Longest Day」
「戦場にかける橋」
「The eagle has landed」
が良かった
「日本の」戦争映画の良作
邦画の戦争映画の中では、かなりよく出来てると思いました。
邦画の戦争映画らしく、人情的なシーンも多くありましたが、役者さんのリアルなくたびれた感じ(こけた頬など)がよく出ていて、役作りがかなり本格的なのがうかがえましたし、戦闘や策略をめぐらすシーンは殺伐としていて、リアルな戦争の雰囲気は十分出ていました(私は戦争を経験していませんから、あくまで戦争らしさですが)。
日本が下手な戦争映画を作ると、いつでもどこでも人情漂う雰囲気になりがちですが、そういった部分はあまりありません。そういう意味で、日本らしい戦争映画の良作だったと思います。
史実を元にした映画であり、戦闘シーンは少なく全体的に地味な流れですので、ハリウッドを見に行く気持ちだと失敗するかもしれません。
メッセージ性の強い物語、極限状態での民間人の描写(民間人を多く描くのは相変わらず邦画らしい。不自然な描写も人によっては無くは無いかも)、命を賭して戦った兵隊の勇気と誇りを見に行く映画だと思います。
ラストシーンは感動とともに、誇らしくなりました。こんな人々の子孫なんだな、と。
付け加えですが、邦画なのにアメリカ側の視点が多いのはちょっと違和感がありました。しかし、原作者がアメリカ人ですし、実際の戦いも密林での奇襲、罠が中心のゲリラ戦ですから、日本側の視点も踏まえて全容を描くのはそもそも無理だったとも思います。
まあ、日本人のみで製作したリアルな戦争映画と言うのは、なかなか難しいかもしれませんが。
尊大ですが、こんな感じで評価させていただきました。
戦った人々を誇りに思いたい
人物設定など、事実に手を加えたところはあるだろうが、“玉砕”を潔しとしなかった大場という人物は、その場の空気に流されない強い信念の持ち主と考えられる。現代でもはっきり「ノー」と言える日本人は少ない。
食べるものもなく、仲間は日々減少し、山での陰湿な環境での暮らし。そんななかで隊を統率した大場という人物には頭が下がる。
劣悪な環境描写には欠けるが、やや明るいタッチは、祖国のために<死ぬ>ことが本望という国家情勢の中、<生きる>ことを目的に戦うというテーマに合っている。
人物の配置もいい。
軍隊という縦社会が崩壊し一匹狼となった堀内一等兵と、目の前で家族を殺されアメリカ人を憎む青野が大場大尉とは一線を画し、大尉の立場が必ずしも絶対的なものではないと話に幅を持たせた。阿部サダヲをはじめとした民間人も、それぞれの考えを示し、それはそのまま大場大尉の揺れ動く胸の内でもある。
戦って生き抜いた47人の隊員が、身だしなみを整え、日の丸を先頭に整列し、軍歌を歌いながら米軍の前に姿を現すラストには感動する。
あの戦争は愚行だったとか恥ずべきことだと唱える人がいるが、前線の兵隊が望んでそうなったわけではない。当時、なるべくしてなったことでもあり、それを教訓に平和な国家作りをしていかなければ、それこそ亡くなった方々が報われない。非難ばかりしていては先に進まない。祖国や家族を護ろうと戦った人々にもっと敬意を持つべきである。
原作のような事実がアメリカからの逆輸入によって知らされる。これが悲しい。日本ももっと胸を張って先人を讃えるべきだ。それができないうちは、日本の戦後は終わらない。
終戦から65年、まさか日米が協力してこんな映画を撮ろうとは、大場大尉以下誰も努々思わなかったことだろう。
贅沢な今を考える
映画館で観てきました!凄くよかった。死と隣り合わせの感覚。降伏の無念さ伝わりました。こんな贅沢な世の中で弱音を吐いていてはダメだと思った。
ただのお涙頂戴や大げさなスペクタクル映画を期待している人には向かないと思います。考えさせられる映画です。
主演の竹野内豊さんと唐沢寿明さんがすごくよかったです。
もう少し、精巧に描ければ完璧だった。
事実に基づいた物語。太平洋戦争末期の1944年、サイパン島が玉砕してから、大場大尉の物語は始まる。援軍はもちろん、食料・弾薬はおろか、水も乏しい中、512日にも渡り抵抗を続け、最後は、連隊長からの正式の投降命令を受けて投降した。
大場大尉を演じたのは、竹野内豊。いい俳優さんではありますが、軍人役には微妙。優しさだけが見えて、厳しさが見えないんですよねぇ。ちゃんと、陸軍式の敬礼をしているなど努力は感じられましたが、イマイチに感じてしまいました。
それと、戦争末期でまともな兵士は少なくなってきているとは言え、帝国陸軍で、堀内今朝松の様な刺青のある兵隊って有りうるのかな? 刺青って、軍では禁止なのでは?
って言うか、軍人役がイマイチなのは、米軍の方も。あの時代で、しかも最前線のUSMC(アメリカ合衆国海兵隊)の指揮官で、あんなメタボな人って(ポラード大佐)有りうるのかな? それと、こう言っては何だが、一介の大佐がワシントン(政府上層部)から突っつかれるというのも、設定としてはどうかな? 上級司令部から突っつかれるのは判るけど。
それと、米軍側の指揮官が、途中でポラード大佐からウェシンガー大佐に変更になるんですが、あれって、何の説明もなしにあんなシーンを見せられても、判らない人がいたのでは?と思ってしまいます。指揮官交代式って、普通は、全軍揃って行うのでは?とも思いますが、どうなんでしょうか? 戦闘行動中だから、簡略化したんですかね? そういう話に齟齬があると言う意味では、いつの間にか、奥野春子が収容所にいたりと、話のつなぎ目が無いと言うか、話が飛んでいるというか、そういう所が気になりましたね。
そう言うと、ルイス大尉もUSMCの大尉にしては優男過ぎ。それと彼も、ちょっと体が締まってないね。もっと訓練で体を引き締める必要があるのでは?
さて、この映画は、大場大尉が民間人・軍人を統率して、生き延びるということを描こうとした作品です。味方はおらず、援軍も期待できないと言う、まさに周りは敵ばかりという非常に厳しい環境の中、どうして、そして、どうやって大場大尉が生き延びたのかと言う事がもっと判るように描けなかったですかねぇ。また、日本人達の野営地での日本兵同士、あるいは日本兵と民間人(そして多分、民間人同士)の確執が描かれていましたが、あんな甘いものでは無かったのでは?とも思います。
他方、ルイス大尉は大場大尉を尊敬しているという設定ですが、ルイス大尉がどういう経緯で大場大尉を尊敬するようになったのか、そして、米軍全体の中で、大場大尉達はどう位置付けられているのかを、もう少し丁寧に描いてくれた方が分かりやすかったと思います。
とまぁ、否定的な意見ばかりですが、この作品が酷いという訳ではありません。ドキュメンタリー映画ではなく劇映画なのでね。でも、もう少し、その辺りのことを気にしてもらえると、もっといい作品になったと思います。
[2011/02/12追記]
大場大尉を優しい人物に描いたのは、強ち間違いでは無かったかも知れませんね。大場大尉の経歴を調べてみると、士官学校出身のバリバリの現役士官ではなく、甲種幹部候補生出身という事。確かに劇中でも、前職は教師と言っていました。それを意識して演じていたのでは無いと思いますが、結果的には成功だったのかも知れません。
後半スペクタルでなくなったものの、平山監督ならではのヒューマンタッチに感動できました。
冒頭『硫黄島からの手紙』と同規模の大スペクタルシーンが描かれて、日本軍が玉砕していくところが描かれていき、多いに本作への期待感が盛り上がりました。見所は、なんといっても、僅か47名で45,000人もの米軍を翻弄し続けた大場隊のゲリラ戦闘シーンです。これが前半の2シーンしかなく、なぜ大場大尉をフォックスと呼んで、米軍が恐れたのか。ちょっと説得力不足でした。
もっとも平山監督は、ヒューマンドラマの名手ですので、前半のスペクタルな戦闘シーンよりも、後半の葛藤にまみえながらも、民間人を守ってく人間ドラマとしてはグッとくるシーンが満載です。スペクタルもいいのですが、平山監督らしく、じっくり丁寧に、登場人物を描いて行く作品もいいものですね。
本作はこれまでの邦画作品と違って、完全に日米+CG別々に監督を立てた3ユニット体制で製作されています。両軍の立場を完璧に把握しているスタッフによって演出されているのが、いままでなかった取り組みではないでしょうか。その中で、玉砕や万歳攻撃など自殺行為について、日本人とアメリカ人の文化の違いを克明に描き出しています。
両軍の考え方の違いをつなぐ貴重な存在として登場するのが、ハーマン・ルイス大尉の存在。彼は日本に二年間留学して、日本語もしゃべることができました。さらに日本文化に詳しく、敬意すら抱いていたのです。
ルイス大尉は、たびたび日本人に無知な司令官に、日本の文化や気風を説明します。その言葉によって、かえって双方の考え方の違っているところが浮き彫りにされていきました。
日本人をクレイジーに思わないルイス大尉がいたからこそ、いたずらに根絶やしの掃討作戦がとられずに、日本人のプライドを尊重した形の投降勧告作戦がとられた結果、のちの生存者の投降に繋がったものと思われます。
さて本作の大きな魅力の一つに、竹野内豊が演じる大場大尉の人間的な魅力です。戦場でも赤ん坊を助けたり、民間人の救命をまず第1に考えたり、厳しい戦いの中でも、人間味溢れる慈悲の心を捨てなかったことでした。なかでもラストに、敗戦を知らされて自刃しようとした部下が、家族の写真を見て、嗚咽してしているところを、じっと見る眼差しは部下の苦悩をそのまま受け止めているようで、涙がこみ上げてきました。
彼がリーダーだったことが、民間人200名と大場隊47名を玉砕せずに守ることに繋がったのだと思います。
さて、大場大尉が救った赤ん坊は、後半米軍の収容所で再登場します。そこで家族を米軍に殺された、看護婦の青野千恵子は目を疑う情景を見るのです。鬼畜だと思っていたアメリカ人の看護婦が、日本人の赤ん坊を優しく抱きしめているのです。台詞はありません。しかし確実に、青野の驚きと復讐心が薄れていく心理を描き出して、平山監督ならではの素晴らしい演出にこころ打たれました。
民間人保護のシーンも説得力抜群でした。大場大尉活躍に手を焼いたアメリカ軍は、ついに、大場隊が立て籠もるタッポ-チョ山を人海戦術でしらみつぶしに探索する作戦を行ったのでした。ジャングルでは、足元が悪いので、上は見ないだろうとの大場大尉の読みはすばり的中して、巧みに崖の上や大きな木の上に避難した民間人の足元を、アメリカ兵が探し回ります。今にも見つかりそうな至近距離での描写は緊迫感に満ちていました。
ところで、ルイス大尉の焦土と化した本土の現状をPRする作戦は、功を奏し、大場隊にも動揺を与えます。大場隊は、収容所に暮らす住民と常に情報交流を持ち、ルイス大尉配るビラがあながち謀略ではないと感じていたのに、抵抗を続けるのには疑問を感じました。但しラストで、ルイス大尉からの降伏勧告に対して、上官の命令無くば降伏できないと大場大尉が答えるシーンがあり、そうなのかと納得できました。
本作では、大場大尉を演じる竹野内の気迫籠もった演技が、一番印象的でした。ジャングルのなかでの長期の撮影は、忍耐の連続だったそうです。それだけでなく、役作りのため専門家による軍事訓練の指導を受けたためか、所作がきびきびして軍人らしいのです。そしてなりよりも、役に合わせてがりがりに痩せた体作りが、長期のゲリラ戦を戦っているというリアルティを生み出していました。
大場大尉と共に、印象的だったのは、大場隊に随行し「はだか部隊」を指揮していた
堀内今朝松一等兵です。背中一面に般若の刺青が彫られ、凄みがあった彼は、軍隊に入隊しても無頼漢ぶりを発揮していました。米軍を見ると狂犬のように歯をむき出して向っていくことから「サイパンタイガー」と呼ばれて恐れられていたのです。
そんな堀内を唐沢寿明が演じています。ちょっと見では、唐沢と気付かないほどの変身ぶり。主役でもいい位なのに、ホントにこんな無頼漢の役柄を良く受けたものです。でも堀内には、主役以上に男気を示した、カッコイイシーンがあって、唐沢が飛びついてのかも知れません。
また、収容所の住民で唯一英語が話せる元木末吉役に、阿部サダヲが割とシリアスな演技を見せているところも興味深かったです。
本編で示されるルイス大尉の大場大尉への敬意は、同じ日本人としてちょっと誇らしげに思えてきます。戦後教育の影響で、旧日本軍というと残虐なイメージを抱きがちですが、本作を通じて、必ずしもそうではなかったのかもと思えてきました。
全40件中、21~40件目を表示