「前作『野望篇』を越えて、更に面白い!」SP 革命篇 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
前作『野望篇』を越えて、更に面白い!
あの井上が、また今度はどこまで、楽しませてくれるのか?期待を裏切らない新たな展開の面白さが光る!
TVの人気ドラマを見損ねていた私にとっては、やや難解なSP『野望篇』でありましたが、岡田准一の、アクションシーンのテンポと迫力の良さは、邦画のアクションシーンの新たな1ページとなったと評価したのが前作なら、今回の『革命篇』は、人の心に渦巻く闇、人間の表の顔と裏の顔、誰しもが持つ心の二面性に切り込んだ、心理ドラマとしての見せ場が面白い。
表社会と裏社会と言うべきか、我々が日常認識している社会を本当に動かしているものとは何か?果たしてその裏には何かが常に潜んでいるのか?
アクションもさることながら、封鎖された密室で行われる絶対絶命の危機を前に人は、何を信じて、どう自己の道を切り開いて進み行くのかと言う人生における、自己の生き様について直球を投げ掛ける。
これは、政治家や、SP程の特別な要職に就いていなくても、常に自己の良心に従って生きるのか?それとも、別の価値観で進むのかの、人の究極の選択だと言える。
今の日本の政治家先生方も、懸命に働いておられるのだろうが、このフィクション映画の様に、自己の利益優先で、本来の政治家としての役割には程遠いと思える事をする政治家もいそうで、観客の私としては、尾形に感情移入しないでもない。しかし、劇中で革命と言う暴力では、社会は決して変えられないと言う下りは、本当に頼もしい限りだ。決して悪人を、善きヒーローとして祭り上げ放さないところが、見ていて更に気持ち良い。
最近のヒット作を見ていると『告白』『悪人』しかりで、ヒットすれば、面白ければそれで良いのか!!??と疑問を持ちたくなる、時に犯罪者に加担をし兼ねないような作品を平気で制作し、宣伝巧みに、映画の持つ社会性、公共性とその影響力の負の結果を考え無いで、観客の動員だけを図る、日本人の品格の低下とモラルの低下を招くかも知れない作品を実しやかに秀作として、祭り上げる事が多い。
水と安全はただと言われた時代が過ぎ、日本の安全神話も影が薄くなった今だからこそ、
悪い事は悪いとハッキリものを言う映画が大切にされて欲しい。
SPも、政治家もそして一般人の我々も、まず仕事人の前に一人の人間である。
この映画が言うように、私達に今必要なのは、政治批判でも、革命でも無く、本当に一人一人の人間としての良心、モラルの価値の見直しこそが経済不振に悩む今後の日本の立て直しの近道となるのではないだろうか?
日本映画界にも、奇をてらった作品ばかりでは無く、人間の可能性の素晴らしさに気付ける、優しさと愛情を持った、映画の出来る事を期待しています。
この映画から、脇道に話しが逸れましたが、良心の信じる道を歩む事の重さを伝えてくれた本作に感謝したい!