劇場公開日 2011年5月28日

プリンセス トヨトミのレビュー・感想・評価

全84件中、81~84件目を表示

4.0父と接する“時”を逃した男の物語

2011年6月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

万城目学が原作の映画を観るのは「鴨川ホルモー」に続き2本目。「鴨川ホルモー」もそうだったが、登場人物の名前が歴史上の人物名とダブっていて面白い。財団法人「OJO(大阪城趾整備機構)」がある建物も“長浜ビル”という念の入れようだ。
原作は読んでいないので分からないが、豊臣家の末裔を亡き者にしようとする組織でも現れるのかと思って観ていたが、話はそんなアクションなど巻き起こさずに進んでいく。
それでも、大阪府民が守り続ける秘密のからくりが解き明かされていく展開には、下手なアクションより釘付けだ。
なんといっても大阪という設定が効いている。何百万人もの住民がこぞって秘密を守り続け、よその国民に気取られないよう日常を送るなんて、ほかの都市では考えられない。だが、あり得ないパラレルワールドも、大阪だったら「あるんちゃう」と思ってしまう。大阪には不思議なパワーを感じる。
ヘタをするとギャグになりそうな大阪国という発想を現実感あるものにし、観る者を納得させるのが地下の長い長い廊下の存在だ。
父から息子に託される“大阪の男”としての戒律。父が子に託す時期、その条件の最後を聞いたときは思わず涙が出る。
この映画のテーマは「父と息子」だ。おそらく原作のいろいろな部分をカットし、設定も変更が加えられているのだろうが、「父と息子」というテーマに重点を置き、色気を出さなかったのがいい。
キャッチコピーの『その日大阪が全停止した。』が作品の核ではない。
この作品は、父と接する“時”を持ち損なった男の物語である。

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マスター@だんだん

3.0面白味に欠ける

2011年5月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

2008年の名作ドラマ「鹿男あをによし」の
スタッフということで期待したんやけど,
いまいち楽しめなかった・・・。

壮大な人情を描いているのに,それが伝わらない。

笑えないし,盛り上がりも少ない。

監督に大阪愛が足りない気がした・・・

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AKIRA

4.0鈴木雅之監督が作り上げた壮大な現代のおとぎ話

2011年5月30日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

江戸時代の大阪は幕府の直轄地で江戸から派遣された大阪城代(城主はもちろん徳川将軍)が殿様のように振る舞っていたという。田沼意次のときには、城代のあまりの横暴ぶりに大阪の商人たちが命がけで直訴する騒ぎもあった。江戸からきた幕臣に面従腹背で耐えてきた長年の恨みで、大阪人は徳川の世において陰で親豊臣への思いを持ち続けていた。明治維新のときには、大阪を首都(首府か)にすることも検討されていたというから、あながちありえない話でもない!?
大阪が実は独立国だったという大ぼら話を、東京からやって来た会計検査院の調査官の視点で描いた今作。話の展開には細かい部分で疑問に思うところもある。プリンセスの絡め方も物足りなかった。
しかし、「王様のレストラン」や「ショムニ」「古畑」などを演出した鈴木雅之監督が作り上げた壮大な現代のおとぎ話は、生活感あふれた小道具を配した美術とレトロ調の建物を舞台にコミカルでテンポある演出と役者たちの熱演で最後まで楽しめた。
同じ原作者のつながりで「鹿男」の玉木宏さんも出てたがあれだけ!?

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aotokage

4.0実は、父親の役割がテーマ?

2011年5月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

万城目学原作の長編小説の映画化。『その日大阪が全停止した。』がキャッチコピー。3.11以降の実際の日本で、いま大阪が全停止されると非常に困ってしまうわけですが、そういう意味でも興味を引かれてしまったのと、中井貴一が真田幸一を演じるに際して、大阪府知事の橋下徹をイメージしたと言っていた事に興味を引かれたので、観に行ってみました。

現実の世界に触れながら、ファンタジーの世界を描くというと、ストーリーが破綻して、グダグダになってしまいがちですが、意外にしっかりとした話になっています。また、下敷きとしている話も、戦国時代に有りがちな「実は、子孫が残っていた」と言うテーマなので、完全に空想の荒唐無稽な話でも無いので、物語を作りやすいと言う事もあるのかも知れません。

原作は読んでいないんですが、原作では男性だった鳥居が女性になり、女性だった旭が男性になっていますが、綾瀬はるかの天然さも含め、この変更は、映画としては成功だったと思います。あの雰囲気のミラクルさを演じられる男性俳優って、日本に居ないですよね?

堤真一演じる松平は、会計検査院きってのキレ者と言う事の様ですが、堤真一の演技では、何故か目から力が抜けています。何故?

何故といえば、旭が大阪国の秘密を暴きたい理由が不明なままです。あと、松平が鳥居と組んでいる理由も、旭が何度か尋ねているものの、不明なまま。このあたりは、原作に書いてあるんですかね? 原作を読まなくては。

ところで、会計検査院側が松平・鳥居と徳川に繋がる姓で、大阪側が真田・長宗我部と豊臣に繋がる姓にしたのは、そう言う狙いなんでしょうね。もっと言うと、茶子の橋場は羽柴の変形で、茶子は茶々に繋がるのをイメージしたのでしょうか? ただ、旭だけが不明です。

制作がフジテレビと言うことも有るのかも知れませんが、冒頭の映像で、堤真一が国会議事堂に居るシーンは、これは、同じフジテレビ制作の『SP』へのオマージュ? そう言う意味では、万城目学原作の『鹿男あをによし』に綾瀬はるかが出ていた縁で、そのTVドラマ化時に主演した玉木宏も出ています。

映画化に際して、原作を簡略化したんだろうなぁと思われるところは幾つかありましたが、全般的に中々面白いと思います。東京だと、こう言う面白い話は作れないですよねぇ。

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勝手な評論家