あしたのジョーのレビュー・感想・評価
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オリジナルの漫画やアニメがなかったら名作
昭和40年代の日本。町中に工場の煙突が立ち並んでいた時代。そんな背景の描写に、当時やっと普及しはじめたカラーフィルム、黒いパトローネのフジカラーN100でも使ったかのような、やや赤みを抜いた色調がぴったり合う。
古い街並みの再現もよく、ジョーや力石の風貌がよく溶け込んでいる。漫画本から飛び出てきたような香川の丹下段平や、財閥の存在も違和感がない。
よく鍛え上げた山下と伊勢谷によるトレーニングや試合のシーンは迫力があり、スコープサイズを無駄なく使ったカメラが上手い、素晴らしい。
またVFXもよくできている。打たれたときの顔の歪みが、一瞬、漫画のジョーや力石が打たれたときの顔に近づく。役者本人の顔とのミキシングが絶妙。
ボクシングを通して丹下がジョーに教えたのは、今日という日を一生懸命生きることが“あした”を迎える準備になるということ。作品は、諦めずに鍛錬すれば自分のステップアップに繋がることを教えてくれる。
テーマもしっかりしており、オリジナルの漫画やアニメがなかったなら間違いなく名作。
ただラストはやや引っ張り気味だ。飛んできた紙飛行機に女の子が気付いたところで切っていいだろうと思う。
どうしてもというなら、エンドロールを被せればいい。
戯言…
白木財閥令嬢・白木葉子さまへ
力石が減量のために何台もの石油ストーブを焚いておりましたが、財閥なんだから大っきなサウナぐらい作ってやれよ!!
『左の脇をえぐるように、打つべし、打つべし、打つべし!』
冒頭から昭和40年代のころのダークな昭和の町並み、風景.....40年前は、こんな感じだったのか....同じ東京が美しく復興していく姿を描く ALWAYS 三丁目の夕日とは違った感じ.....
そして、あの懐かしいテーマが流れ、タイトルがデーンと現れた時ゾクゾク・・・・・、実写版ヤマトと同じく涙もの.....。
残念なのは、あの尾藤イサオの歌声が聴かなかった....。
この作品も原作に沿ってストーリが流れ、無理な詰め込み感もなく、アニメ版を知る私としては嬉しかった。
わざとだと思うが......要所要所の大切なシーンがカット・つなぎ合わせ編集さていた.....例えば、丹下段平からの手紙を破くシーンやパズルのように組み合わせるシーンが抜けていた....原作アニメ版を知らないと気がつかない......こんなシーンがジョーの楽天家ぶりを描写になるのだが.....もう少し楽天家に描かれていると良かったと思う.....でも....こんなもんか?
香川さんがあそこまでメイクして丹下段平を引き受けているが、どこまで原作に迫れるか楽しみだった。冒頭では、かなり意識して丹下段平の声を演じていたと思うが、真面目になり酒を断った辺りから普通になってしまったのは、残念!....恐らく、入れ歯が邪魔で潰した声で叫ぶのが難しかったかな?
香里奈が演ずる白木葉子もばっちり嵌っており....可愛かった。
津川雅彦も違和感なく、いい感じだった.....さすが大御所....。
賠償美津子......えっ!....こんなチョイ役???
なんといっても、伊勢谷さんが演ずる力石徹.....かなりの減量と体作りをしたそうで役者魂を見ました.....軽量シーン.....ガウンを脱いだ時のあの体には驚愕!!!....CGなのか???
そして、思ったよりも打ち合いのシーンが多く、人間の顔って殴られるとあんなに歪み変形するんだと驚いた....間違いなくCGね!
終始、ハラハラドキドキでストーリが流れるので休む暇なく一気に見れた感じであった。
エンディングで、もう少し盛り上がりは見せられなかったのかとも思うが、主人公が感動的に勝利できない原作なのだから....仕方ないところかな?
正直.....あまり、泣けなかった......
続編への期待も持たせつつ・・・・
矢吹丈 VS 力石徹のシーン最高!!
クドくて,クサい演出によるドラマが,
人物の内面描写と,
背景の世界感を薄味にしていて残念。
イライラが募るものの,
見事な存在感で画面を引き締める
伊勢谷友介が演じる力石徹と,
クールに佇む矢吹丈を演じた山下智久。
役に合っていた二人と,
躍動感と臨場感と迫力に満ちた
ボクシングシーンが素晴らしくて,
画面に引き込まれる。
興奮が醒めてしまう長いエピローグはちょっと蛇足気味。
試合のシーンに興奮☆
原作を読んでから出かけたが、山下のジョー、伊勢谷の力石、香川の丹下段平が違和感なくはまっていた。
特に試合のシーンはそれぞれのキャラが立って興奮☆
この映画は力石徹の物語ともいえる。
山下智久さんは赤いベレー帽をかぶって前髪をたらし、香川照之さんは眼帯に出っ歯の特殊メイクをして役になりきろうとがんばっていたが、伊勢谷友介さんはそのままで力石徹だった。
ボクシングシーンのためにプロのトレーナー梅津正彦氏が本格的に指導したという。
伊勢谷さんは体つきといい、身のこなしといいすぐにでもプロデビューできるのではないか。しかも力石の一番の見所の減量も実際に行い周囲を驚かせたいう。
原作でもジョーより力石の方が人気があったりして、この映画も力石徹の物語ともいえる。
昭和40年代の街並みなど、原作にかなり忠実に映像化されていた。よくいえばテンポよく、長い原作をまとめるので駆け足でストーリーを追ってる。
今回はボクシングシーンがメインとはいえ、力石と出会うまでのジョーの半端じゃない、ひねくれた悪童ぶりが描き足りず、少年院のところを端折りすぎた感あり。
ジョーと力石との男同士の確執と因縁(原作では葉子が絡むのですが)が初見の人にはうまく伝わらないと思う。
対立と決着、前後編としたら、もっとよかった。
のりちゃんの明るさを見られなかったところも残念。
狂人たちの謝肉祭
高森朝雄、ちばてつや原作、連載当時、空前の人気を博したボクシング漫画を、「ピンポン」の曽利文彦が実写映画化。
肉体の躍動から生まれる一瞬の美学、心を激しく揺さぶられるボクシングというスポーツの持つ衝動、輝きを純粋に、丁寧に描き出す。この一点を目指し、本作のもとに狂人たちが集められた。
自分の事務所に属するイケメンジャニーズタレントに擦り傷、切り傷、果てはゴムの如く、顔をぐにょんぐにょんに変形させることを厭わない、狂人がいた。
前作「ICHI」の興行的失敗に敢えて目をつむり、スポーツをいかに描けば観客を興奮させられるか、喜ばせることが出来るかを、「ピンポン」をもって証明した曽利監督に、この全国公開規模の作品を任せた、狂人がいた。
そして、自分の顔の良さを十分に理解しながらも、あの手この手で汚され、潰され、その自分の大事な要素を封印することを許した、山下、伊勢谷という狂人が、いた。
ボクシングという手段を通して、思う存分人間の美しさ、可能性を表現できる肉体に感謝、挑戦していくことに映画制作の全てを注ぎ込んでしまったために、人間ドラマの場面では一部、コスプレショーの様相を見せてしまったことは否めない。だが、私はこれでいいと思う。エンドロールに映しこまれる二人のボクサーが見せる輝く肉体が、この物語の目指す方向性を示している。狂人たちが目指す世界には、手が届いたはずだ。肉体が、芸術になった。
「ヤマト同様、大失敗作だろう」と思いきや・・・
暮れも差し迫った昨年12月11日、東宝からスニークプレビューの招待を受け、ノコノコと日比谷の東宝本社を訪問、一足早く観て来ました。題名は分からなかったので東宝のHPの予告を事前にチェック、時期的に見ておそらく「ジョー」か「フォックス」だろう、と予測、案の定、当日の上映は「あしたのジョー」でした。正月映画で「ヤマト」を観ましたが、出来栄えは最悪、従来のヤマトファンの期待を裏切るとんでもない駄作だったので、ジョーも「マンガの映画化はろくなものが無い」「ヤマピーがジョー???ヤマトのキムタクもそうだが、東宝もとりあえずジャニーズ頼みとは情けない」「実写版1970よりも酷い出来だろうな・・・」と、着席時には全く期待せず、というよりも、「どのくらい酷い出来だろうか」との気持ちしかありませんでした。
しか~し・・・全くの想定外、これは素晴らしい!!昨年度の実写邦画の中で1、2を争うよくできた映画でした。先ずは怪優・香川照之、彼は何をやらせても上手い、本当にいい俳優ですが、彼の丹下が笑っちゃうくらいによく似ている!最初はとんねるずの木梨の丹下のパロディにしか見えなかったのですが、次第にそれを忘れ、正にマンガから抜け出したが如き丹下を、香川は見事に演じています。彼を見るだけでもこの映画は一見の価値があります。日本アカデミー助演男優賞は既に確定、間違いないでしょう。
次に力石を演じた伊勢谷、彼の力石もいい!!実写で力石を演じられる俳優などいるのだろうか、と以前は思っていましたが、画面の中で伊勢谷は力石の生き写し・・・マンガファンの期待を裏切らない、見事な力石を演じ切っています。あの減量中の体はCGは全くなしでしょうか?そう思うくらい、あの過酷な力石の減量体型を完璧に作り上げています。以前から上手い俳優だと思っていましたが、本作は伊勢谷にとって間違いなく生涯の代表作になると思います。
最後にヤマP、誰が見てもジョーに見えません。誰が彼をジョーに推薦したのか?作品全部を山P一人でぶっ潰しました・・・と、思いきや、これがなんと、私の予想を大幅に裏切り、山Pがこれまた素晴らしい、本当にいいんですよ、未だに不思議なんですが、最初は違和感、先入観があった山Pのジョーが、映画が始まるとすぐに、なんと山Pがジョーに見えてくるんですよ・・・本当に不思議です。山Pの演技を始めて見ましたが、ジャニーズだからどうせダメだろう、とタカを括っていましたが、いい俳優ですね、彼は。ジョーの役作りに時間をかけたことは観客には十分に伝わりました。
内容ですが、映画版ジョー1とほぼ一緒、マンガを観た方も知らない層も十分に満足できるものです。ヤマトのようなごちゃ混ぜのパロディーのような酷さはありません。脚本、編集もよく出来ています。2時間を超える作品でありながら、最後まで観客を飽きさせません。
東宝の皆さん、ぜひ、PART2を製作して下さい。それの最大の課題はホセとカルロスの俳優を如何に見つけるか・・・それにかかっています。彼らにマンガのように日本語を話させるかどうか、それも大きな課題でしょう。この2つの問題をクリアし、本作同様のエネルギーを注ぎ込めば、おそらくPART2もいい作品になるものと確信します。かなり気が早いですが、今から期待しています・・・。
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