エンター・ザ・ボイドのレビュー・感想・評価
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75点ぐらい。新宿とドラッグとストリッパーと死者の書
開始そうそう、気持ち悪い形した光の触手っぽいモノが蠢いていたり、チカチカ光の点滅が続いたり、キツイ人にはキツイかも…
たぶん、ドラッグをキメると見えるモノを描いていて、トリップ状態を表現し、疑似トリップを体験させてるんだと思います。
ドラッグ経験者なら分かるのでは(笑)
僕は、ドラッグどころかタバコも吸わなくなったし、風邪薬も頭痛薬も飲まず、お酒をたしなむ程度なんで分かりません(笑)
舞台は東京の新宿で、主人公は歌舞伎町のマンションに住んでる設定らしい。
日本が舞台でも、キャストは9割が外国人。
上から俯瞰してるアングルが多いです。
エロくて胸クソ系だけど、最後は真面目に考えさせられました。
トリップとトリップが融合した世界
ギャスパー・ノエ監督作を観るのは「アレックス」に続いて2作目だ。その「アレックス」もかなり前に観たので何も覚えていない。
しかしこの作品を観るだけでギャスパー・ノエ監督が鬼才だとか異色の才能だとか言われる理由だけは分かった。
オープニングから激しく明滅するクレジット。
ドラッグによって見える不思議な映像と、死者の視点による不思議な映像の融合。
カメラは主人公オスカーの視点でずっと進み、繋げているとはいえ、その多くが途切れることのないロングカット。
舞い上がる視点。壁をすり抜ける視点。回転、寄り、引き。
気持ち悪くなるような映像の連続は、映画を割と映像表現で観ている自分としては、これだけで面白かったといえる。
言いたいことは映像表現のことだけなので終わりでもいいが、一応、内容についても書こうと思う。
チベット死者の書の輪廻転生を題材にした物語で、死してしまった主人公オスカーの魂はどうなってしまうのかを焦点に過去と現在を行き来するものだ。
どうしてこのような物語を紡ごうと思ったのかを考えたとき、なんとなく想像できるのが、転生は良いことではないというところかと思う。
転生は苦である。生は苦なのだ。つまり生まれ変わらないほうが良いのだ(仏教的にはもっとちゃんとした意味があるが)。この考え方が面白いと思ったのかもしれない。
他の宗教観でも死後は天国や楽園へ行き(あるいは地獄)そこで生きる。
現世での生は苦であるという考え方は共通しているように見えるが、前世の記憶などはなくとも生き返れるのに、それは「苦」であるというところに興味を惹かれたように思える。
不老不死とはもちろん違うが、輪廻転生も魂の永遠の生という意味においては同じだろう。
不老不死の捉え方は個人や国民性によって違う。例えば日本だと永遠の生は苦しみと捉えるのが多数かと思う。
しかし場所が違えば(あるいは個人)もちろん捉え方は変わる。永遠に生きたいと願う人々にとっては、生まれ変わる苦行という概念に興味を持つのも分かる。
オノデンが懐かしい
採点3.6
東京を舞台にSEXとDRUGと輪廻転生を描いた作品。
実にギャスパー・ノエらしい作りで、カメラも凝ってます。
作品全体がLSDによる幻覚を思わせ、その映像世界はとても面白い。
日本の街も、ちょっとやりすぎですが中々良い雰囲気。あと オノデンが懐かしい。
会話にも遊びがあって「友達って?」「ギャスパーだ」には笑いました。
ただ尺が長い(実際よりすごい長く感じる)のと、やはり合う合わないがハッキリしている作風なので、この映像に身を委ねられれば楽しめると思います。
"チベット死者の書"
観る側を刺激させるギャスパー・ノエお馴染みのエンディングを兼ねたオープニングロールからテンポ良く、かと思いきや物語は至って単純で淡々と進む話に退屈感は否めなく、トリップ映像から成仏しない死後の感覚的映像に命の神秘的映像からのフラッシュバック、混沌とした世界観は非現実的ながら現実として描かれるネオンサインの看板が印象的な東京は歌舞伎町。
ギリギリに一線は超えない兄と妹の関係性が異常にもアレックスから渡された「チベット死者の書」からの"輪廻転生"はオスカーにとって強い影響下のもとにリンダから生まれ変われる願望としてオスカーの都合が良い変態性がより強く炸裂したマザコンでシスコンなジャンキーが現実を彷徨う死後の世界!?
生まれ生きることと"死"
今年17本目
日本が舞台の海外映画のなかでも当時の雰囲気を上手く切り取った作品
メインとなるストリップ劇場の外観等は過剰と言わざるを得ないく、他にもツッコミどころはもちろんだけどあるが
日本の文化をより誇張し煌びやかにした結果、さながらLSDの幻覚を思わせて趣のあるものとなっており、文字通りミニチュアや箱庭のような滑稽さも香り立つ
それ故に閉塞感が漂い、現実に押し潰されそうになりながらも僅かに抵抗し逃避する
異国の2人にはそれがより顕著に見てとれる
監督はテーマと演出が抽象的だが伝えたいことは明確なため苦痛なく観ることができた
幻覚と生命活動のイメージ映像は境界が曖昧になりストーリーとも噛み合って良いものだったが
さすがに最後のホテルの場面は冗長にも感じた
※特に意識せずギャスパーノエ監督作品を観ていたが、監督は『アングスト/不安』(1983年公開)に若き頃影響を受けていたらしい。特にカメラワークを絶賛しているインタビューがあった。監督の不自然だが没入感マシマシのカメラワークのルーツが解って納得した。この作品では"天国"からの視点とも重なりよりマッチしたものとなっている。
まぁまぁ
ギャスパーノエはすごい好きだからこれをレンタルして見た時のことはすごい覚えてる。やっぱり撮り方や序盤の展開は好きだ。しかし、主人公が死んで霊魂になって彷徨う中で、妹の行動や自分の過去の友人の発言行動を見ているだけでこれといったあっと驚く展開がない。最後のシーンのセックスしまくっているホテルのシーンはかなりインパクトが強く覚えている。多分輪廻転生の話で最後死んだ主人公が赤ちゃんとして転生したがトイレに流されたみたいな解釈をしてる。映像は好き
映画が終わった瞬間、軽い放心状態だった。猫背になって首が前のめりに...
映画が終わった瞬間、軽い放心状態だった。猫背になって首が前のめりになってる自分に気づいた。
噂に聞いていた通り、オープニングにはやられた。現実世界のカメラワークとグラフィティーアートの融合によって表された、「ラリ」るという抽象表現には、いかにもギャスパーノエらしく、前衛的な芸術を感じた。
自分には理解できませんでした。
とにかく、冒頭からそうなのですが、一つ一つのシーンで異常な時間をかけています。
また、かなり独特なカメラワークや表現技法が用いられていおり、人によっては話の展開を追うことすら難しい作品。
自分は、中盤から終盤くらいにかけて、抽象的すぎてついていけませんでした。いや、正確には、長いカットに飽きてしまって話を追うことを放棄しました。
ただ、1つだけ確かなのは、この映画を最後まで集中して観られる人は、すごいということです。
私は楽しく見られました。
フランス映画界の鬼才ギャスパー・ノエがニューヨーク、ラスベガスと並び世界で最も美しい3大都市の一つとしてあげるTOKYOを舞台にして撮影された。
TOKYOが選ばれたもう一つの理由は、ここが主人公オスカーが巡るスピリチュアルな心の旅を受け入れることができる進化と精神性が共存する街だから……。
それはどうだかなぁ。
ただ、オスカーが友人から借りた「チベット死者の書」にある仏教的輪廻転生を描いた映画なので、丹波哲郎さんの大霊界を知る日本人には受け入れやすいかな。
主人公オスカーは、狭い路地が入り組み、ネオン輝くTOKYOの繁華街の片隅で麻薬の売人に身を落としてる。
売人になったのは、幼いころ離れ離れになった妹をTOKYOに呼んで一緒に暮らすため…と心根はひ弱なくらい優しい奴なのだ。
オスカーの目を通して描かれるため、オスカーの顔や姿が見られるのは、鏡に写るときだけ。
オスカーがクスリをやってる最中なので、窓の外のネオンと相まって万華鏡のような画面が続き…大丈夫かな、この映画と思ったが、オスカーが射殺されて魂が抜けた後は、オスカーの妹や友人たちの様子が描かれたり、幼いころからの回想シーン(幼い妹と一緒に体験した忌まわしい出来事も)が入るなど、映画らしくはなったが、ちょっと違う?
魂となったオスカーの目線で描かれるので、ビルの屋上を飛ぶように移動し、壁や仕切りをすり抜け天井から眺めるような光景になってる。
ビルの屋上と地上の2台のクレーンを操作した神野彰氏と「アバター」にも参加したフランスの世界的VFX工房BUFの特殊撮影技術による映像。
パス・デ・ラ・ウエルタ演じる妹リンダは、友人のアレックスに言い寄られたり、日本人ヤクザが自分の女にしたりとモテモテだったが、ちょっとふけ顔で美人には見えなかった。
エログロシーンもいっぱいあります。
私は楽しく見られました。
クラブ映画
ギャスパーノエ監督の最新作。
映像の触れ込みはドラッグで飛んだ感じを映像で表現という感じ。
ストーリーは輪廻転生が元、それをTOKYOは歌舞伎町を舞台に描く。
立ち上がりから、音楽と映像でかなり飛ばしてくる。
始まりの30分ぐらいと終わりの30分ぐらいの映像にはかなり惹きつけられるものがある。
3Dかつ、高音質で見てみたい!
あと、ウェルナーパントンを彷彿とさせられた。
以上が良い点。完全に映像と音響メイン。
ダメな点は、
クラブに行っていれば感じられる程度のトリップ感みたいな映像の部分はあんまり感動しなかった点。
あと、長すぎてストーリーはなかなか良いのに中だるみ感があること。
この人がVJをやっているイベントがあったらぜひ行ってみたい!
salarymanart.blog20.fc2.com/blog-entry-18.html
スタイリッシュというよりコミカル
「アレックス」で物議を醸したギャスパー・ノエ監督が、SEXとDRUGが輪廻転生するサイケデリックCITY東京を、まるで妖精のように自由に旅をする。
カンヌ国際映画祭で、映画史上最長とも言われる暴力的なレイプシーンのため、1500人の観客のうち約200人が途中で退場したという問題作「アレックス」。今回もやはり衝撃映像は満載だけど、ある角度から見ると、スタイリッシュというよりかなりコミカルな映像が多い。細かく書くとネタバレになるのだけど、洗面所のシーンでは「はは~ん」とちょっと感心するような撮影テクニックも見られる。確かに画だけで見せきる力はあるのかも? 信者は多いだろう。
ただ惜しいと思うのは、この突拍子もない映像世界に、非の打ち所のないストーリーが絡んだらどんなに面白いだろうと思った。ラストも少し笑えるのだけど、言ってしまえばプレディクタブルな展開。尺も長過ぎて疲れてくるから、やがて訪れるラストまで緊張感が続かない。
ドラッグをキメながら見てとは言えないけど、作品を通してドラッグをキメた気分になれたら、もうあなたはギャスパー・ノエWORLDの住人。
そういうことじゃない何か。
話の筋は単純。
素朴な輪廻感。
素朴な永劫回帰解釈。
オープニングからして、
トリップ映像はすごかったし、(3Dで観たかった)
ずっと浮遊していたかった。
直接的な表現や多少のアンチモラル(ギャスパー・ノエにては大人しい)もあった。
主観映像の効果もあった。
G線上のアリアも効いていた。
特徴を並べることはかんたんだけど、
でも、それらはそれだけのもの。
それだけじゃない、そういうことじゃない何かが、
全体として、あったように思う。
批評や鑑賞とも異なる、新しい切り口ともいえない、
手応えというより、腹にぐっとくる感じ。
ヴィ※ッジ▼ンガードを思い出した。
良い子には見せられない映画ばかり撮っては、
観客を怒らせたり帰らせたりして、
新作の度に話題となるギャスパー・ノエ監督
の最新作です。早速観てきました。
作品ごとにここまで、観る人を楽しませようと
思ってない監督は個人的には他に、
ラース・フォン・トリアーくらいしか知りません。
観る人の人生の背景や、トラウマ、健康状態を
全く意に介さず、攻撃を仕掛けてきます。
冒頭からピ○チュー光線の様なスタッフ紹介
や、ドラッグでキマッた主人公の見ている
深海の光るクラゲの様な映像、
主観視点でグリグリ動くカメラワークなど、
今回もやる気を感じさせます。
物語的には、と云うか、
ストーリーはあって無い様なもので。
設定的には(と言った方が適当かもしれません)
序盤で、過剰に妹思いの兄が撃たれて
死ぬ訳ですが、
薬でキマッたままだったので、
死ぬ事にピンと来ないのか、
それとも、妹を思っての根性なのか、
兎に角世に未練を残して息を引き取り、
走馬灯の様に蘇る過去の記憶を回想したり、
残された人々のその後を
漂う魂として唸る様な音と共に、
俯瞰で見おろす映像が二時間ぐらい続きます。
映像は奇抜でカッコいいんですけれども、
終盤になるとしんどくなって、
早く終わってくれ。と、思いました。
こうした題材、映像での二時間超は
長く感じました。
観終わって幾分、病み上がりに似た
現実に帰る感があったので、
監督の狙いとしては、成功なのかもしれません。
ギャスパーノエは作品の度に、
近親相姦を夢見る親父や、
結婚間近の婦女子をボコボコに×××
すると言う様な
鬼畜映像を見せてくれますが、
今回もそういった点では、堕胎を包み隠さず
見せてくれます。
これは作り物だ。と、思っていても、
そこらのホラーよりは現実味がある分、
不快感を募らせます。
今回は輪廻転生がテーマと踏みましたが、
個人的には、特にナニ教も信望してませんが、
人生を成就せずに死んだ主人公が行き着く先は、
明確には描かれていないものの、
自分が思う、死後の行く先と合致しており、
それは正しく、HELLだと思いました。
これまでの、フィジカルなテーマから、
精神的な方向に興味を示したとの事で。
同監督のこれまでの作品と比較すると
だいぶ良心的な映画だと思いました。
また、憶測ですが、
「レクイエム・フォー・ドリームス」や、
「ラスベガスをやっつけろ」などを、
自伝の様に思える人なら、
映像、音ともに
楽しめる作品かもしれません。
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