「【第二次世界大戦中に多大なる過ちを犯した国と、その国の命により戦地に赴いたある男への強烈すぎる因果応報を描いた映画。】」キャタピラー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【第二次世界大戦中に多大なる過ちを犯した国と、その国の命により戦地に赴いたある男への強烈すぎる因果応報を描いた映画。】
ー 故、若松監督は今作を製作するにあたり、どの様なメッセージを伝えようと思ったのだろうか。反戦映画のようにも見えるし、その要素もあったかはと思うが、私は人間の根源的な欲求の奥深さと愚かさを描いた作品ではないかと思った。ー
◆感想
<今作の着想の一つに、江戸川乱歩の”芋虫”がある事を知っている上で記す。>
・村の期待を担って戦地に赴いた黒川久蔵(大西信満:若松組の常連とは言え、良くこの役を受けたものだと思う。)は、中国に赴き、彼の地の女性に非道なる行為をするシーンが冒頭に描かれる。
そして、その因果応報により、四肢と言葉を失い、顔にはケロイドを負った人間とは思えない姿で久蔵は村に戻る。”軍神様”という称号と、”3つの勲章”を持って・・。
ー 妻のシゲ子(寺島しのぶ)の最初の驚愕の反応。
だが、徐々に何もできない久蔵に対し、サディスティックと言っても良い接し方に移行して行く姿を演じる、寺島しのぶさんの冷徹な目と振る舞いが怖すぎる。
且つては、自分を虐げていた夫に対して、ジワリジワリと主導権を握って行く姿。ー
・シゲ子が、夫の根源的な欲求に、積極的に”ご褒美”と言いながら応える姿と、四肢を失った夫に軍服を着せ、見世物のようにリヤカーに乗せて村内を連れまわす姿。
ー 強烈すぎる、シゲ子の夫に対する復讐である。
”3つの勲章”を、割烹着につけて。
そして、昭和天皇、皇后の写真と軍神の記事と、勲章のアップが度々映し出される。ー
・敗戦を迎え、喜ぶ知能の足りないクマ(篠原勝之)と、シゲ子たち。
一方、久蔵は芋虫の様に這いながら、池に向かい水面に映ったケロイド状の自分の顔を見て・・。
<ラスト、敗戦一直線の旧日本帝國が壊滅していくシーンと、玉音放送。
戦犯たちが処刑されるシーン。
そして、流れる元ちとせの『死んだ女の子』
この曲は、広島の原爆で亡くなった子供達に捧げた坂本龍一プロデュースの苛烈な曲である。
この映画は反戦映画なのであろうか・・。
嫌、違うな。
この作品は愚かしき国と、その命に盲目的に従い、敵地の女性達に非道なる行為を行った男達に対しての、強烈すぎる因果応報を描いた映画である。
そして、その報いを受けてしまった無辜なる女性や子供達への鎮魂歌なのである。>
NOBUさん、あけましておめでとうございます。🎍🎍🐯🐯
昔?観たのだけど、なるほど!レビューのラスト8行に納得です。👏👏
巡り巡って、こちらにたどり着きました。
↑
「悪なき殺人」みたいに。
本年もどうぞよろしくお願いします。🙇♀️🙇♀️
こんにちは。昔 見ました。
寺島しのぶの目が怖かったです、同時に軍人様として崇めなくてはいけない状況もおそろしく異様でした。そんな意味で
「因果応報、女、子ども達への鎮魂歌」まさしくそうですね。色々考えさせられた映画でした。