「芋虫ごろごろ~軍神さまごろごろ~♪」キャタピラー kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
芋虫ごろごろ~軍神さまごろごろ~♪
新聞の一面にもでかでかと“生ける軍神”として掲載され、村人からも軍神として崇められ、軍神の妻としてお国に奉公するのだという義務感。食べて寝て、そして性欲処理のためにシゲ子は身を削る。田んぼを耕し、織物をし、食事、下のの世話の辛い日々が続くのだ。時には大八車に軍神さまを乗せて村を歩く。召集令状がきても狂喜する人々。死んで灰になって戻ってきた家はまだまし。生きた屍を戻された人はどうすればいいんだ?
口も聞けない、耳も聞こえない芋虫。最初は殺して自分も後を追って死のうと考えたシゲ子だったが、色んな思いがあったのだろう。せっせと世話をして、世話をすることで自分を見出そうとしたのだろうか。村人は軍神さまのためにと米や食料を分けてくれるし、外に出たら皆合掌し拝んでくれるのだ。
若松孝二ならではの反戦映画。しかも障害を受けたことへの悲しみだけではないのだ。久蔵(大西)は中国の戦地で女性をレイプしたことへの罪悪感が次第に膨らみ、毎日のようにシゲ子の体を求めていたのに勃起しなくなってゆく。冒頭でのそのレイプシーンが強烈な芋虫映像のために忘れてしまいそうだったが、フラッシュバック効果によって、その彼の罪も思い出させる趣向だったのだ。軍神?敵国の女をレイプすることが崇められるのか?夫婦生活の性欲を表現するとともに、そんな戦争の非情さをも描くのだ。
物語途中、戦争のドキュメントフィルムとともに皇軍が連勝し続けているというニューステロップが流れるのだが、映像は真逆の東京大空襲や米軍が沖縄上陸するというものを流す。当時の大本営による情報操作、マインドコントロールがいかにいい加減なものだったかと強烈な皮肉をもって表現しているのだ。
もうひとつ、暗いままの映像にするのではなく、赤い着物を着た知恵遅れのおっさん(篠原勝之)を入れることで色彩面で退屈しないようにしている。これがまた面白い。
りかさん、コメントありがとうございます。
ほんと衝撃的な作品でしたよね。
もう一度観たいなどという気持ちも起こらず、断片的な記憶だけでも悪夢を見てしまいそうです。
まぁ似たような映画で『ジョニーは戦場へ行った』という作品もあったため、斬新さは若干薄れてしまいましたが・・・
こんばんは♪以前に観て細かな部分は忘れていますが、
キョーレツ過ぎて何もかもキョーレツ過ぎてショックを受けた作品でした。実際、あのような身体で帰って来られた方はいらっしゃったのかと?レビューに書いていただいている内容全般に頭がついていかず、あの軍神様と寺島しのぶさんがキョーレツ❣️でした。
もちろんレビュー無しです。