「津波は上方向に逃げよう。」ヒア アフター asicaさんの映画レビュー(感想・評価)
津波は上方向に逃げよう。
ロンドンの地下鉄。
字幕にチャリングクロス駅と出るまでもなく見覚えのある場所だった。
2018年から2019年にかけて一年に4度も渡英した。
イギリスは、日本で言えば国丸ごと京都と言うか
歴史的な見るべき場所が点在しており、それを辿ろうとすると巡回観光バスか地下鉄に頼る事になる。
長いエスカレーターの両側の広告
狭い通路とホームと屋根の丸い車両そして混んでる車内。
どれもその空気感を肌で感じたことがあり、ディケンズの展示を巡る彼の吸う空気の温度もリアルに思い出す。
だから彼をずっと窓の下で待った少年の凍える寒さが身に染みる。
津波の映像は、日本人にとっては 悲しくも見慣れた光景となってしまっているが、このような角度での映像はもちろんテレビでお目にかかる事はない。
陸地が突然海となり、鉄骨や車 およそ人の頭に当たると即刻致命傷を与えそうな物がガンガン流れて来る。
ここでは表されていなかったが 津波は ひき が怖いと言う。
大の大人の男性でも 例えその手が自分の身に代えても守りたい幼い命であろうとも 引きちぎってしまう威力をもつらしい。
そしてその離した手を一生悔やみながら生きていくしかない獰猛で残酷な力だという。
そう言う傷を負って生きている人が少なからずいる国 日本。
ロンドンの貧困層は、主に移民で構成されているとも聞くし、彼らの姿はやけにリアルであり
彼らの家を訪問する福祉関連の職員の姿もまさに、である。
渡英の一度は長女の出産だったが
退院(たった二日程で出されて来るもちろん無料だし)後に、ハウスワイフという人達が、赤ん坊の生活環境の確認もかねている(たぶん)のだろう、生育状況や育児ノイローゼになってないかなどの相談も含め やって来た。
移民たちもイギリスで無料で出産するため
このようなアフターケアが必要なのだという。
日本の基本的な考えは
子どもは親のものである というのがあるが、
先進国のいくつかでは もう子どもは社会で守るという意識が高い。
と言ったような事を 思いながら鑑賞した。
マッドデイモンの良さは
もう語る事もない程で、彼はデビューがセンセーショナルではあったものの しっかり地に足着いた演技で安定感を感じる。
死後の世界が あるのか ないのか
死者との交信
そんな事実についてはもはや 問題ではない
そう感じるほどの 良い映画だった。
チャリングクロス駅ですか・・
旅行、行けないですねー。
映画で空想の旅をするしかないコロナの時代がホント憎いです。
うちは父がだいぶ老化してきたので会いに行きたいのですが。
父のかかりつけの病院の医師からは「来るな」といわれてます。
asica さんもご自愛くださいね!