エクスペンダブルズ : 映画評論・批評
2010年10月12日更新
2010年10月16日より丸の内ピカデリーほかにてロードショー
頭脳よりも筋肉頼みなローテク・アクション
素手、ナイフ、拳銃、マシンガン……と登場する武器はさまざまだが、CG全盛の時代におそろしいまでにローテクな仕上がりになっている肉体派アクションだ。主演のシルベスター・スタローン(監督・脚本も)をはじめ、老いたりとはゆえ、80年代以降のアクション映画で主役をはってきた筋肉自慢のスターたちが一堂に会するオールスター映画。全出演者のフィルモグラフィーの淡い映画的記憶が甦る仕組みになっている。実に男臭い活劇だ。
傭兵部隊の「エクスペンダブルズ」(“消耗品”の意)が軍事政権下にある南米の小国に潜入して国家転覆を目論むというプロットは「特攻大作戦」などにありがちなもので、そこから展開されるストーリーはないに等しい。面白いことに、彼ら傭兵部隊には“プラン”がまったくないのだ!
頭脳よりも筋肉頼みであり、筋肉を隆々とポンプアップさせて登場しているマッチョ系アクターにふさわしい“リング(戦場)”になっている。
ただし善玉を集めすぎ、優雅でカラフルな(「ダイ・ハード」のアラン・リックマンのような)悪玉の不在を招いたのが痛い。オールスター映画としても、欲をいえばスタローンに並び立つ“両雄”的存在がほしかった。
(サトウムツオ)