「待たれぃ!錦戸。」ちょんまげぷりん ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
待たれぃ!錦戸。
時代劇流行の折、何度も観たい作品に出逢ってしまった^^;
とはいえこのタイトル。どこからみてもふざけている…!?
そう思って観ないのは、非常に勿体ないのでござる。(爆)
個人的に中村監督が好きなので、当然観るつもりだったが、
まさかここまでコメディ?、しかもなんてハートフルなんだ♪と、
少々ビックリした^^;今までのテイストとはちょっと違う?ような。
180年前の侍が現代へタイムスリップしてくるだけでも面白く、
あり得ない物語を、更に現代の夫婦問題、マナー、言葉遣い、
忘れかけていた日本の心をこれでもかと錦戸侍が魅せまくる。
どうなの~ジャニーズのアイドルがあのヘアスタイルでお侍?
などという不安は杞憂に終わる。冒頭こそ借りてきた衣装?の
出でたちの彼^^;だが、言葉遣いから立ち居振る舞いまで完璧。
現代青年に衣装を替えても、姿勢の良さから多少柔らかくなる
表情に至るまで、まったくの自然体で嫌味がない。話をきちんと
聞くことにすら欠けている現代人の生活になんていう清涼侍^^;
観客もビックリだが、ジャニーさんもビックリ!したんじゃないか。
さて、彼が居候するのがシングルマザーのひろ子(ともさか)の家。
ひとり息子の世話と仕事に追われる33歳(爆!)の女性なのだが、
どう考えてもこの人は家事が得意ではない(そこがまたリアル~)
つまり、なんの役にも立たない(ゴメン)過去のお侍が家事全般を
かって出てくれて、そこから生活が上手く回り始めるのである。
もちろん世代が違いすぎて^^;様々な意思疎通問題が起こるが、
一応旗本を名乗る武家出身、礼儀正しく勉強熱心、スイスイと
家事に乗り出した彼が料理に目覚めるのも不思議はないことだ。
子供の為に作ったプリンが好評を博し、やがてお菓子コンテストに
出場するまでになる彼だったが…。
後半シーンでは、出演陣もポロポロ泣けて仕方なかったという。
あり得ないと思えた話にリアルが増すのは、江戸時代だろうと
現代だろうと、夫婦が共働きをすれば出てくる問題ばかりだ。
お江戸なら女が家で家事をするのが常識だった。でも今は違う。
どちらかが主婦(夫)となり、家事を担う苦労がひしひし伝わる。
(原作者が実際にこうだったらしい。自己体験だったのね。)
巧くいかないものを何とかするためには、お互いの知恵と協力が
不可欠だが、仕事で疲れ果てれば相手を責める文句しか出ない。
しかも離婚経験のあるひろ子にとっては、また同じ問題という…
昔だろうと今だろうと、こうなればそうなるまで。という、
ものすごく単純で当たり前の家族問題を、子供の目線で見せる
ことに成功した本作は、では、なんのために結婚をするのか?と
素朴に問う。仕事(お役目)があるという幸せ。家族がいる幸せ。
もともと天秤にかけることなどあり得ない問題が表面化するのは、
現代人がものすごく欲張りになったからだ。欲を張るのはいい。
でもそれなら完璧は諦めることだと思う。どっかで成功したら、
どっかで失敗しても目をつむる。子供が可愛いと思うのならば、
自分がその子の立場に立ってみればいいのだ。仕事をバリバリ
して忙しいお母さんと、いつも家にいて口うるさいお母さんと、
どっちがいいんだろうと。あ、まぁどっちもイヤなんだけど…^^;
お侍さんが教えてくれたのは、ごく自然で、当たり前の礼儀、
今からでも気をつけよう!やってみよう!と思える作法ばかり。
まず親を敬い(これ大事ね^^;)仕事に精進し家族を大切にする。
いやホントに、ありがとうございました^^;
錦戸くん、今作で大出世できるんじゃないだろうか。
喫茶店での大説教では涙が出るほど笑って納得してしまった。
単純にゲラゲラと笑えて、学べて、ラストでホロリと泣ける。
ぷりんというだけに、チャップリンを想像するような軽快さである。
(まぁなんて強引な^^;)
(お菓子好きは要注意!!確実に甘いものが食べたくなりますぞ。)