メン・イン・ブラック3 : 映画評論・批評
2012年5月22日更新
2012年5月25日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー
バディ・ムービーとして2人のドラマを描いたシリーズ第3作
あえて最新型を目指さない。マーケティング的には冒険に違いないこの姿勢を、このシリーズは貫いてみせる。実に10年振りの第3作にして、昨今流行のリブートではない、正攻法の続編。なぜそれが可能なのか。
その理由をこの第3作は明らかにしてくれた。このシリーズは、一見、楽しいガジェット満載のSFアクションコメディに見える。が、実はその本質はバディ・ムービーなのだ。エージェントJ(ウィル・スミス)とK(トミー・リー・ジョーンズ)がいればそれが「MIB」なのだから、2人のドラマを描けばよいというのが今回のコンセプト。これが嬉しいかどうかは意見の別れるところかもしれないが、さらに「こう来たか」と思わせるお楽しみも用意するあたり、さすがバリー・ソネンフェルド監督、抜かりない。
もちろん基本は同じ。“メン・イン・ブラック”の元ネタはアメリカの都市伝説、エイリアン関係の事件があるとどこからともなく出現する、「X-ファイル」でも大活躍した“黒服の男たち”。彼らがエイリアン存在の隠蔽のために都市伝説を語るので可笑しさ倍増。エイリアンには「在留外国人」という意味もあることを踏まえての移民局。ギャグの裏にはヒネリありなのだ。あの人が実はエイリアンだったというシリーズお馴染みのお遊びネタや有名人カメオなど、これまでのお約束はすべて登場。特殊メイクもいつものリック・ベイカー。楽しいものはいつも楽しい――それがこのシリーズの信念に違いない。
(平沢薫)