マネーボールのレビュー・感想・評価
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だが、本当は選手でなく「勝利」を買うべきだ。
映画「マネーボール」(ベネット・ミラー監督)から。
野球好きにはたまらない台詞が多かった気がする。
その中でも一番印象に残っているのは、このフレーズ。
「野球で何を把握すべきか、誤解している人が多すぎる。
メジャーリーグを運営する人たちが、選手やチームを理解していない。
球団の人々は、金で選手を買おうと思っている」と現状を語った後、
「だが、本当は選手でなく『勝利』を買うべきだ」と力説するシーン。
「勝利」のために「打率」ではなく「出塁率」の高い選手を集める、
その簡潔な説明に、なるほど・・と唸ってしまった。
打者にとって名誉なタイトルはどうしても「首位打者」となるが、
実際の試合では、この作品の中でも交わされる
「四球か、ヒットか、関係あるか?」という問い掛けのように、
「どんなことをしても、塁に出ろ」と言われることが多い。
それは「デッドボール」でも「振り逃げ」でも構わないから、
「出塁しろ」という命令であり、ヒットを打てという指示ではない。
日本でも、アメリカでも、財力にモノを言わせて選手を集めるチームが、
なかなか優勝できない、と騒がれるが、この理論を当てはめれば、
「勝利」を買わずに「選手」を買っている間は、優勝出来ないことになる。
私の中で、意外と曖昧な位置づけであった、
球団における「GM」(ゼネラルマネージャー)という役割も理解できたし、
「最初に何かを成す者は叩かれる、常にだ。」の台詞に勇気づけられた。
しかしながら、どんなに素晴らしい成績(歴史に残る20連勝)しても、
「最後に勝たなければ、何の意味もない」ことを教えてくれた。
やっぱり「野球の奥の深さには、常に驚かされる。」がテーマだろうか。
ものすごく上品で格好いい(^O^)/
ビリー・ビーンの立ち振る舞いがとてもかっこいいΣd(゚∀゚d)イカス!
「この選手はなぜいいかというと・・・」
「この選手のいいところは・・・」
のジェスチャーが非常に様になってて(・∀・)イイ!!
その上でマグネットのネームプレートをホワイトボードに投げてばちーんって貼り付けるあたりの仕草もすごくカリスマ感があっていいなあ~。
ジョナ・ヒルも普段のコメディー映画でのコミカルな演技とまた違って、非常に繊細でシリアスな演技をしててオォォー!!w(゚ロ゚)w
メジャーリーグの選手の評価で、付き合ってる彼女が不細工だから駄目とかいう愚にもつかない理由で点数を低くすることがまかり通ってたのが何とも以外。
そこで年俸は安くても、徹底的に選手の成績データのみにこだわって選手を獲得するという、至極真っ当な方法で弱小球団を強豪にのし上げていくという実話は、考えてみれば相当なもんだと思う。
そういう数字やデータを徹底的に信頼する合理主義者であるにもかかわらず、自分が試合を見るとチームが負けるというジンクスを信じてて、あえて試合を見ないというキャラクターも、人間の不条理さを見事に描いてると思う。
そしてクライマックスでチームが優勝するけど、そこでもあえてお涙頂戴的な展開に持っていかず、徹底的に冷静に描くのもすごく上品(゚∀゚)
選手を容赦なく首にする場面とかプロの厳しさもしっかり見せてるのも好感が持てる。
飛行機で「GMは何で選手と一緒に移動しないんだ?首にする時に後ろめたいからか?」と会話してるところで、安全ベルトを取ってもOKのサインの音が鳴る演出とか、ところどころ挟む笑えるところも良かった
必要以上に感動を喚起させるシーンを作らず、至って冷静で全体的に静かなトーンで大感動させる秀逸な映画です(^_^)
無駄のない脚本
脚本がソーシャル・ネットワークでアカデミー賞をとったアーロン・ソーキンだと鑑賞後に知って、ああやっぱりなと思った。
ソーシャル・ネットワークと共通する点が多いのである。
まず、無駄なセリフがないのである。それによって集中を最後まで切らさずに観ることができる。脇役のキャラ作りができているのも同様。ソーシャル・ネットワークでは、悪役・エドゥアルド兄弟の存在が大きかったが、今回はピーター・ブラントに注目したい。ピーターは映画化に伴って作られた架空人物だというが、本作に非常に大きな役割を果たしている。
最後のオチも含めて、うまくまとまっているという印象を受けた。
オレ流の算盤で球を弾く舞台裏
ジオンビーetc.スター選手を他球団に次々と引き抜かれ、絶えず選手層が薄い深刻なチーム事情を抱えながらも、皮肉たっぷりに叱咤激励するブラピGMの反骨精神は落合博満を凌ぐオレ流を貫いていて興味深い。
選手出身で球団を冷静に分析するGMってぇっと、西武・ダイエーの根本睦夫やロッテの広岡達郎をダブらせる一方で、口が悪く喧嘩っ早い性格は日ハムフロント時代の大沢親分的なニュアンスも匂わす。
選手や上層部、他球団etc.誰彼かまわず「喝!」を入れる鼻っ柱の強さ、そして、意外と情にもろいのも親分っぽくて、映画を観ているのに、プロ野球オタクの血が騒いで仕方なかった。
トレード期限最終日に他チームにトレードを持ちかけ、交渉する傍らで、構想外の選手にリストラを告げる対人術に、GMの人生観が集約している。
相手に遠慮せずに意見を述べ、繊細にチームワークを維持していく姿勢の大切さと難しさを実感した。
しかし、今作の致命的な欠陥は、トラブル続きの貧乏球団がなぜ20連勝を成す強豪チームに躍進できたのか過程が把握できない点である。
開幕前から提唱していた出塁率重視主義の理論を全く証明していない。
大リーグの歴史に疎いと交渉戦術が理解し辛いし、第一、当初の補強がほとんど補強になっていない。
選手とのコミュニケーションはしない主義で、監督の方針なぞ聞く耳を持たず、傲慢で場当たり的すら思える。
でも、憎めない不思議なキャラなのは実際のGMがああいう性格なのか?
それともブラピが演じたからだろうか?
不明瞭のままだが、たとえ、つまづいても最後まで持論を諦めない、あのリーダーシップを学んで、自分の職場に活かせたらエエなぁ〜…
っと、未だに頼りない副主任の了見で最後に短歌を一首
『塁を読み Vの駆け引き 統計す 底を打つべし タマを揃えて』
by全竜
ブラピはマネーボーイ。
野球にはぜんぜん興味がない…(というよりスポーツ全般^^;)
なのでこのマネーボール理論も初めて聞いたし、アスレチックスの
名を知っていたくらいで、そんな逸話があったとは知らなんだ~(汗)
しかし俄然観たい!と思った理由はあの「ソーシャルネットワーク」
の感動を味わえるかもと思ったから。この事実は作り話より面白い。
製作も兼ねたブラピが主演とあって華がありすぎ(顔面的にも)だが
ご本人もそう悪くない顔をしている(あ、失礼^^;)
ただこのビリー・ビーンという男、本当に短気で直情的なヒトらしい。
私は劇中で試合を観ない彼に対して、何かジンクスでもあって?と
思っていたが、ただ単に腹を立ててモノをぶっ壊すから!だそうだ。
妻(ロビン)との離婚原因もソレなんだそうだ。あ~そういうことか…。
しかし一人娘、可愛いなぁ。っていうか歌上手すぎ!歌手か?(爆)
日本でもどこぞやの有名球団がコーチの人事でモメにモメていたが、
ああいう話を聞くと、スポーツに対する爽やかさが吹っ飛んでしまう。
どうしてもその軍に入りたいと一浪までしてドラフトに懸ける選手も
いる一方で…しかしそれって、知名度あるチームだからだよねぇ?と
思ったりもする。今作で描かれる貧乏球団には、欲しい選手を迎える
資金がない。トレードまたトレードでホント選手なんて小道具か商品?
と思えるくらい動かされる。結局はビジネス、爽やかなうえに腹黒い。
(まぁ映画界だってそうですからねぇ。売れなければ億単位の損失。)
元・ドラフト一位指名だったビリーは、その選択を過失の如く抱える。
あんなに期待されて入ったのに何の成績も残せない新人君。
いや、これって野球界だけじゃないでしょう。会社だってそうですよ。
私は彼が選択を云々言うのは間違いだと思う。所詮時期をずらしても
彼には運が向いてなかった。どれだけ過去に大勝利を納めていようが、
ここぞ!で役にたたないヤツは会社では要らないヤツなのだ、仕方ない。
だけど彼がそこで腐らずに(爆)球界に留まった精神力を高く買いたい。
自分の能力なんて結局自分にしか分からない。自分を認めない人間が
他人を評価など出来るはずがないのだ。だからここで登場するピーター
(J・ヒルいいぞ~)含めて、本人だけが根拠ある自信(爆)を持った理論、
それを行使する姿に、いいぞ!やれ~やれぇ!と思った。
スポーツっていうのはそういうもんじゃない(って皆言うよね)と能書きを
垂れるベテラン老人勢に聞いてみたいのは、じゃあどんなもんなのか?
是非細かな過去からの分析データに基づいて説明賜りたいと思うのみだ。
もうダメだ、と思った選手を掬いあげるシーンがある。
感謝に堪えない、という面持ちで選手と涙を流す家族が羨ましく思えた。
好きこそものの…とはいっても、使いモノになるのは(スポーツでなら)
やはり若いうちなんだろうと思う。第一線を退くのは思いのほか早い。
だけどどんな形であれ、自分が好きだと思うものに執念を持てることと、
更にそれを支えてくれる家族がいる幸せ、というのは何物にも代え難い。
ビリーという男は最も輝きたい場所で輝けなかった存在だが、
その何万倍もの功績を認められた価値(金額)にこそ意味があると言った
ピーターの言葉は勲章もんだな、と思った。それで今のビリーがある。
(映画でいえば、ブラピはマネーボーイだよねぇ。俳優やめちゃうの?^^;)
plan-do-check-act!!
実話を基にした映画。
既存の考え、既得権益と戦う。
新しいことにチャレンジして、成功に導く過程が
テンポ良く映像化されている。
ブラッドピットじゃなくても良かったけど、
別に悪くない。
たまたま実話が野球をだから野球の話だが、
他のビジネスに通じる話で勉強にもなる。
PDCA(最近はPDCサイクル)を短期間で繰り返す。
これを実行するのは本当にエネルギーが必要。
特に既得権益が絡んでくると大抵、新しいものは否定され潰される。
その中で孤軍奮闘して成功する話は
観ていて単純に楽しい。
元気をもらえる映画。
よくまとまったいい作品だと思います
最初から最後まで入り込んで見られたし、役者の芝居も素晴らしかったので、星4つでもいいかもしれませんが、いくつか気になる点があったので星3つにしてみました。
私は、既存の常識にとらわれず新しい考え方を導入して成功していく、イノベーション的なストーリーには感動しやすい傾向があります。
でもこの作品では、その新しい考え方についての説明がかなり端折られていて、球団のGM(ジェネラル・マネージャー)がその考え方を導入することを決めてからの、周りとの確執を中心に描いています。
私にとっては、もう少しその理屈を教えてもらわないと共感しづらいと思いました。
この作品の主役は、もちろんブラッド・ピット演じるGMのビリーで、彼が球団改革を推進した当事者なのですが、実際に新しい考え方「マネーボール理論」に基づいた分析を行っていたのはピーターという人物です。
もしこの人を主役としてストーリーを構成していたらだいぶ違うイメージの作品になっていたと思います。私としては、その方が好みの作品になったような気がします。
実在の人物の、現在進行中の取り組みが映画化されるというと、facebookについて描いた「ソーシャル・ネットワーク」があります。映画の最後に、その人物の現在の状況を字幕やナレーションで説明するという処理方法も共通。でも、こういうタイミングで映画化するのが本当にいいことなのか疑問を感じます。数年後に映画を見たら、もしかしたら全然見当違いの話になってしまうかもしれないのに…。
まあともかく、よくまとまったいい作品だと思います。
野球は理論。受け入れ難いこの定義を証明する。
勝つことより負けないことにこだわる、金が嫌いな経営者の話。
民衆の見るテレビ中継とアスレチックスグループが見る生の野球風景を上手く織り交ぜたカメラワークはとても素晴らしい。実話に基づいた話の場合はいかに上手くリアルに撮れるかが鍵である。ミラー監督はビリー・ビーンの引退後を重点的に描いた様に見えた。現役時代のビリー・ビーンは最低限の事しか描かれておらず少し残念だが、他にみせる所はある。まずブラット・ピットの演技だが、ノミネート級の最高の演技で、ビリー・ビーンの外からは見えない心情を見事に演じる。そしてなんといっても20勝目達成試合のサヨナラホームラン。出来過ぎている実話だ。もうすぐ始まるアカデミー授賞式が楽しみである。
B・ピットの映画で最高かも!おじさんになった彼がとっても魅力に溢れています!
早くも、今年で一番観て楽しかった作品なので、今年のベスト1作品として推薦しちゃいます!
ブラッド・ピットが『ツリーオブライフ』の気難しい親父とは打って変わり、娘にはメチャ優しい父親を演じていて好感度アップ!でも、その彼の仕事はメジャーリーグの中でも最も厳しいGMと言う鬼の様な職務が彼の職業です。
公の仕事に厳しいタフな男と、家族に対する優しさ、一人の人間の中に共存する大きな矛盾と、現実の厳しさを抱える男が、どう生きて行くのか?何のために人間は生きて行くものなのか?そして何を信じて突き進むのか?誰の日常にも多かれ少なかれ関わりのある、何故生きる?何故今の仕事を続けるのか?人生の永遠のテーマとも言える人間の生きる意味や、仕事の意味などなど、大切な気付きを沢山貰える映画です!
今も現役で大活躍する実在のGMのビリー・ビーンの実話だけに、迫力とリアリティーに満ち溢れて、観終わった時の爽快感はたまりませんよ!
かつては、自分も若い時にMJ入りをする時に大金を積まれて将来を見込まれて、入団した彼は選手を止め、自ら選手を金で売り買いするGMと言う職務を選択して生きてゆく。
その理由とは何か?人々は何を求めて、何に希望を見出して生きているのか?
映画を見れば、ビリーの成して来た仕事が、どんな真念で成されていったのか知る事が出来ます!
何に商品価値を見出すか?何を評価し、何に人はお金を支払うのだろうか?次々と疑問が明かされていきます!
ビリーは、野球界が伝統的に行って来た選手達の引き抜きや、選手のトレイドなどの選抜争奪戦に新風を送り込みます。これは一人の男が既成の条件に沿った戦略を取るのではなく、新しく考え練った方法を困難でも実践する事で、世界を塗り替えていくサクセスストーリーとも表現出来ます。
私は野球音痴で詳しい事は解らないのですが、この映画を観ていたら、急に野茂選手の事を思い出しました。
何処まで、自分を心底信じて夢に向かって邁進出来るか?
野球の本場へ異国からやって来た野茂選手が米MLに行き新風を送り込んで野球を面白く蘇らせた日々を思い出しました。
彼がMLに影響を与えた事がジム・キャリー主演の『ライアーライアー』でJ・キャリーが息子とキャッチボールをするシーンで、息子が、「僕は野茂投手になるね」と言ってキャッチボールをしたシーンを思い出します。何事も今迄とは違った価値観を持って前進する事を恐れずに勇気を持ち乗り越えていく人間の可能性への挑戦が素晴らしいし、野茂選手同様にこのビリーの存在がまた、MLに新たな風を巻き起こす、その生き様が実に面白かったですね。そして、選手の能力に値段を付けていくGMがお金では動かされずに仕事を貫く姿も爽やかです。観終わる頃にはホッと気持が落ち着く、楽しくも、余韻を深く味わえる作品でした!
またブラピを囲む、共演者も素晴らしい人ばかりです。ジョナ・ヒルや大好きな『フォレストガンプ』に出ていたロビン・ライトと『脳内ニューヨーク』のフィリップシーモア・
ホフマンと豪華ですが、今回の一番の目玉は、何と言ってもビリー・ビーンの心の支えとなる12歳の愛娘を演じたケリス・ドーシーの存在も大きい。彼女の父に捧げる歌声が可愛くて胸キュンです!人はお互い活かし活かされて生きていると実感する映画でした!
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