「オレ流の算盤で球を弾く舞台裏」マネーボール 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
オレ流の算盤で球を弾く舞台裏
ジオンビーetc.スター選手を他球団に次々と引き抜かれ、絶えず選手層が薄い深刻なチーム事情を抱えながらも、皮肉たっぷりに叱咤激励するブラピGMの反骨精神は落合博満を凌ぐオレ流を貫いていて興味深い。
選手出身で球団を冷静に分析するGMってぇっと、西武・ダイエーの根本睦夫やロッテの広岡達郎をダブらせる一方で、口が悪く喧嘩っ早い性格は日ハムフロント時代の大沢親分的なニュアンスも匂わす。
選手や上層部、他球団etc.誰彼かまわず「喝!」を入れる鼻っ柱の強さ、そして、意外と情にもろいのも親分っぽくて、映画を観ているのに、プロ野球オタクの血が騒いで仕方なかった。
トレード期限最終日に他チームにトレードを持ちかけ、交渉する傍らで、構想外の選手にリストラを告げる対人術に、GMの人生観が集約している。
相手に遠慮せずに意見を述べ、繊細にチームワークを維持していく姿勢の大切さと難しさを実感した。
しかし、今作の致命的な欠陥は、トラブル続きの貧乏球団がなぜ20連勝を成す強豪チームに躍進できたのか過程が把握できない点である。
開幕前から提唱していた出塁率重視主義の理論を全く証明していない。
大リーグの歴史に疎いと交渉戦術が理解し辛いし、第一、当初の補強がほとんど補強になっていない。
選手とのコミュニケーションはしない主義で、監督の方針なぞ聞く耳を持たず、傲慢で場当たり的すら思える。
でも、憎めない不思議なキャラなのは実際のGMがああいう性格なのか?
それともブラピが演じたからだろうか?
不明瞭のままだが、たとえ、つまづいても最後まで持論を諦めない、あのリーダーシップを学んで、自分の職場に活かせたらエエなぁ〜…
っと、未だに頼りない副主任の了見で最後に短歌を一首
『塁を読み Vの駆け引き 統計す 底を打つべし タマを揃えて』
by全竜