「つながる友は量ではなく質について悩むよね」ソーシャル・ネットワーク harizoさんの映画レビュー(感想・評価)
つながる友は量ではなく質について悩むよね
毎度、社会の皮肉を上手い事切り取るフィンチャー監督。
“デジタル・エイジ・カルチャー”なんて言葉あるんですね。
得体の知れない時代の孤独を鋭くエグった今作、
実話をベースにしてるのもあるから信憑性バツクンw
この「現実ではない仮想世界」がここ数年で
「現実を補完する拡張社会」にまで発展してることが
実はネットしてる人でも気づいてるようで気づかない、
知らず知らずに社会がハックされちゃってる怖さw
冒頭とラストが秀逸。
非コミュの主人公が作った理想のユートピアで
気軽に繋がれる5億人の友達を得ても、
たった一人のガールフレンドの心は得られない。
おまけに少ないリアル友達を失った孤独。
結局、彼にとっての幸せは念願は叶ったのでしょうか?
と観客に委ねた問いかけw。
どんなに世界最年少のビリオネアでも、この一面で
自分は彼よりももしかして幸せかもしれないと、、、
そう思う観客は少なくないかもしれないですね。
マーク・ザッカーバーグって強欲で人でなしな奴!
なんて感じる人も多いみたいだけど、この作品見ると
フィンチャー監督の愛ある演出で一概にそうも言えない。
マーク自身は、ファイナル・クラブへ入れない劣等感を
きっかけに、自分の能力を正当に評価されたい願望と
価値ある物として生み出した“Facebook"を
世間に知らしめたかった部分が彼の本心。
泥沼裁判になったけど嫉妬にまみれた金欲や悪意は
むしろ周囲の感情の方が目立ち、
やり方に非はあるにせよ単なる人でなしとも思えない。
実際、成功した後も誰よりも夜更けまで働く姿や
その責任感は“Facebook”を誰よりも真剣に大切に
思っているそんな彼が伺える訳でw。
アメリカは、勝ち抜いて上に立つという厳しさを知ってる分
実力者の富みに対して素直に賞賛できる国。
(失敗すればいいのにとは思ってるかもしれないけど)
あんなにとんがった彼も今はまだそんなに憎まれてないハズ。
エドゥアルドにした仕打ちも一見、裏切り行為に見えるけど
ショーンが持っている経験とエンターテイメント性の助言も
理論的に間違ってるようにも見えないこともあったりで、、、
「仕事と友達は別」というのも社会の常識とは言いつつ
あの流れでしかもあの若さでは、エドゥアルドには
仕方ないとはいえ、やっぱちょっと可哀想だった。
でも、無価値の30%より数十億のコンマ%をあげたかった
マークに愛がなかったわけじゃないんだよねー(切ない)
ま、そんな理論で我が道をひた走るマークも女弁護士に
「事実がどうであれ、判断するのは感情ある人間ですから…」
的な一言にはぐぅの音もでない様子だったけどw
日本は“Facebook”より“mixi"ユーザーの方が多いけど
あのアイビーリーグの香りが漂うブランド感、
資格や地位がなくともセレブと繋がれるワクワク感。
きっと、当初では大興奮だったに違いないと思います。
コメントありがとうございます。
この映画、演出に演技に加えてあの控えめながら印象的な音楽に
すべてが良かったように思います。
たんたんとしたドキュメントな展開をこんなに惹き付けて
観られる作品もそうそうないです。
見る人を選ぶ作品とは思いますが、この面白ポイントを
少しでも誰かと分かち合えれば幸いですw
鑑賞後、読んで一番しっくり共感できたのがharizoさんのレビューでした。
私も、主人公マークがただの人でなしには見えなかった。
その点において、監督の演出と役者さんの演技が、非常に巧みだったと思います。
映画を観る機会は決して多いほうではないのですが、自分の感じた作品への思いを
こんなふうに精彩な文章で表現してもらえると、実にすっきりして、
毎回鑑賞後の楽しみになっています。
映画は違いますが、「インセプション」のレビューも共感しました。
アカデミーは、あの映画をもっと評価して欲しかった・・・というのが
今の心境です。
次のレビューも楽しみにしています。