「絵だけが上手」借りぐらしのアリエッティ りりまるさんの映画レビュー(感想・評価)
絵だけが上手
絵本を見ているようです。すごくきれいな絵で細部まで凝っていて、本当にすごいなと思います。
ひとつも絵の手を抜いてないことは分かります。でも、詰め込みすぎていると思います。
どんとした印象に残るシーンがないと思います。
この映画は、どきどきしないです…。トトロを見たときに感じた、トトロに会えるかもという感情や主人公と同じようなワクワクやはらはら。大自然に圧倒されたり、家に憧れたり。
自分が大人になってしまったのが原因なら残念です。今でもトトロを見ると感動しますが、それは子供のときに見た感動が蘇っているせいなのかなと考えたりします。
翔はかっこいいです。中学生なのに物腰が柔らかくてまじめで優しくて。考えが足りない行動にはらはらしたりはありますが。
でも、何か足りないです。大人になっても、こういう恋愛したいなという感情は映画を見て湧いてきます。この映画では、そこまでに至らないのが残念です。
また、ふたりのこの先をいいように予感出来るものがあればいいのになと思います。叶いそうになくても、会う約束をするとか…。
いきなり翔が絶滅の話をするのは、夢がなくて悲しかったですし、なんであのセリフを言わせたのかなと思いました。繋がりを感じませんでした。
小人の男の子とのエピソードがもっと欲しいです。そしたら、観客は種族的に翔とは結ばれないのは分かっているけど、アリエッティを思ってくれてる人がいることにせつなさを感じると私は思います…。
借りの代わりに何かいいことをしてるエピソードがあればいいのになと思います。または、借りをもっと小人のいたづらっぽく見せるとか。家政婦が泥棒と言ってましたが、事実なので、何でも人間のせいにする小人たちをかわいいと思えませんでした。