「乗馬お疲れさまでした。」雷桜 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
乗馬お疲れさまでした。
公開前、何度も何度も流れる予告編に…実はやや^^;
うんざりしていたのは事実である。
時代劇にメロドラマを持ち込むのかい?とその時は、
また現代っ子を使いそぐわない時代劇が展開される
のか、、と危惧していた。
原作はまったく知らないので比べようがないが、
いやはや恐れ入る二人の演技力というかその佇まい
に於いて、なかなか惹かれるものを感じて良かった。
身分違いの恋。という意味では悲恋モノなのだろうが、
私は二人が置かれた過酷な運命と境遇に惹かれた。
実親の愛を知らずに育てられた者同士。
もしも普通に育てられて両親のもとで成長したならば、
この二人は出逢っていたんだろうか。出逢ったとしても、
果たして惹かれあっただろうか。まったく別のところで
互いに抱えているトラウマや世間への恐れが、身分を
越えてさらけ出すことで、歓びの解放感へと変わった。
ある意味での呪縛のようなものが解け、やっと本来の
自分と向き合えるようになったということは誰にとっても
この上なく嬉しいことなんじゃないだろうか。
そしてそんな自分をひき出してくれた相手にだからこそ、
安心して身を委ねられるんだと私は思う。
なのでこの物語は、特に時代劇こだわる必要はなく^^;
(こーゆうこと言っちゃ、身も蓋もありませんが)
心に病を抱えたお坊っちゃまと、天真爛漫な野生児の
よくある恋愛物語をベースにしているような気がする。
更にロミオとジュリエットばりの身分違いの恋。という
(ここで時代劇!)設定が、またしてもひと山越えた二人
を阻む…という二重展開。だからまったく目が離せない。
更には育ての親、実の親、家臣、兄妹…など家族を
中心に描かれた話は、こんな事態になってしまったのを
嘆くと同時に、人間はその環境の下でたくましく生きる
ことができるという訓示にもなっている。
主演の二人は若いながら、心の葛藤とゆれ動く思いを
見事に体現していたと思う。とくに岡田将生は生白い顔
(ゴメンね)が映えて、無情な行動に出る恐ろしさが巧く、
蒼井優の猛々しさともベストマッチv小出君もいつも通り、
柄本明はさすがの説得力で最期を飾る。時任も頑張った。
残念なのは、やはり現代風というか台詞がその時代を
無視した言い回しになっているのと、間延びしてしまった
後半の長さ、、、かなぁ。あの後半をもっとタイトに纏め、
ラストの感動にスパッと繋げてほしかった。やや無念…。
(殿もひとりのオトコだったのね。ラブシーン、長かったし^^;)