「素晴らしい作品、邦画の雄!」最後の忠臣蔵 としぱぱさんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしい作品、邦画の雄!
まず、素晴らしい作品に出会えた興奮を皆に伝えたい。
不覚ながら、涙が止まらなかった。
素晴らしい、確かな演技力と、シナリオ、音楽。
そして、美しい季節の移り変わりの描写。
全てが近年の邦画の中では最高の評価としたい。
役所広司はもう流石の主役の演技力。重鎮です。
信念を貫く、忠義の男を実直に演じています。
それに、ストーリー上のカギとなる熱い男、佐藤浩市。
これまた、必要以上に重要ながら、さりげない演技。
最後に新人とはとても思えない、繊細な演技の桜庭ななみ。
この3人の紡ぐせつないも、感動的なもう一つの忠臣蔵。
いやーもう、これは凄すぎる。
正直、表題からは想像もつかない面白いストーリーでした。
何となく、年末になるとえんえん繰り返される、
おなじみの忠臣蔵かと、思っていたので、「おや?」
という感じで魅入ってしまいました。
冬、秋、春の季節感もうまく取り入れた絵面もきれいで
BGMとマッチしてこの作品の魅力となっています。
仕えた主君の為に、「卑怯者」と罵られても
自分の意思は捨ててその想いに一心に応える。
まさしく、忠義の人をこんなシナリオで演じるなんて・・。
嫁入りのシーンで自分は不覚ながら涙が止まらなかった。
娘の嫁入りがダブったのではない。男が生涯を賭けて
打ち込んだ結果がはっきりと出たからだ。
誰にも打ち明けられず、孤独で自分の心(気持ち)さえも
隠して打ち込んだつらい、つらい16年を思っての
我が涙である。
また、それを察した佐藤浩市の想いもその感情にさらに
感情を湧き起こす。
女の気持にも揺らがず、最後は自害して主君の元に逝く。
むしろ異常な同性愛的な重いさへ感じてしまう。
だが、私は思う「ザ・サムライ」とはこうあるべきなのだ。
男の生き方はこう有るべきかな。
そして、その爪の垢でも煎じて飲む様にしたい。
満足感一杯でした。