告白(2010)のレビュー・感想・評価
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偽善に満ちた少年保護法制に対する怒りをぶちまけた復讐劇
1 作品のテーマ=復讐
本作は娘を教え子の中学生に殺された女性教師が、およそあらゆる方法で犯人の生徒を追い詰め、徹底的に痛めつけていくという、恐ろしくも痛快な復讐劇である。いくら中学生だって、悪い奴は悪い。徹底的にいたぶってやるべきだ。そんな見る側の内心の声に、見事に応えてくれるのであるw
2 少年少女犯罪への見方について
少年少女による重大犯罪に対しては、かつては刑法の刑事責任年齢や少年法を盾に保護を第一に考え、犯罪の原因を究明して、それを取り除く社会的な施策を講ずるべきだとする議論が盛んだった。
いわく「何故人を殺してはいけないかが分からない少年少女がいる。彼らを生んだ原因こそ問題だ」、いわく「人を傷つけてはいけないことをしっかり教育すべきだ」…。
しかし、保護や教育だけで片付く問題ではない、少年法などは偽善に過ぎない――そんな疑問の声も拡大してきている。本作はそれを証明する産物だろう。
3 勧善懲悪の池井戸潤と復讐劇の湊かなえ
勧善懲悪と言えば、池井戸潤が代表者だろう。社会悪に貶められた人々の怒りや不満を、最後に善を勝利させることで爆発させてくれる現代の水戸黄門シリーズが池井戸作品である。
ところがいかんせん、彼の作品には公式に認められた、誰が見ても悪いこと、いわば表面的な悪の定型しか登場しない。少年犯罪のような、「悪」かどうか議論の余地あるものは登場してこないし、懲悪も過剰なものは控えた、お利口な懲悪wどまりなのである。
そこを埋めるように登場したのが湊かなえだった。この作家の特徴を一言で表現すれば、「ドロドロしている」。もはや品などに構っている暇はない。「あたしの怒りを、あたしの恨みを、全身を刺し貫く憎悪を晴らさでおくものか!!!」――そんな凶悪、醜悪な感情に満ちていて、それだけ観客の心の深奥に潜む根深いものに訴えかけてくる。本作を復讐譚ではないとする解説もあるが、あれだけ人の死ぬ話が復讐譚でなくてなんだというのかw
だから後味は悪いが、奇妙な爽快感があるのだ。池井戸作品はあくまで「悪を懲らしめる」だけだが、湊作品は「恨みを晴らす」。より徹底的でより奥深い。
4 キャスト等
湊かなえ作品にどっぷり浸かってしまうのも人間としていかがなものかと思うwが、本作は危険な原作に挑んで、新たなジャンル切り開いた作品と評価できるのではなかろうか。公開当時はさぞセンセーショナルだったと想像する。
キャストは、その後名を上げた橋本愛が目立つ。本作のコスチュームも格好いいのだが、微妙に似合っていないのが残念だ。能年玲奈、三吉彩花はちょっと登場シーンが分からなかった。芦田愛菜はこんなにガキなのに、こんなに上手いのかと、やはり驚くしかない。
松たか子は被害者かつ恨みを晴らす一種のターミネーターなのだが、無機質であると同時に、我と我が身を斬り苛みながら娘の恨みを晴らす悲嘆を垣間見せ、いい演技だと思う。
ネタバレせずに観たい作品
文章と映像は違う
母の愛、母への愛
復習の仕方
なーんてねっ。本心を隠した告白。
画面から目を離せず、食い入るように鑑賞!
冒頭シーンを観ただけで、1本の映画を観たくらいの満足感があった。
話が核心に触れていくなかで生徒たちが先生の話に耳を傾けるようになるのと、こちらが映画に引き込まれていくのがリンクしていく感覚が気持ち良かった。
これ以上どうやって展開していくのか?これよりもっと面白くなるのか?と少し不安になったが、最後までダレずにしっかりと面白かった。
ただ、ラストのどっかーんの尺長くない?笑ってしまった笑
中学生達のクソガキ加減がリアルで、自分自身の中学生時代のクラスメイトを彷彿とさせて良い意味でとても胸糞だった。
子どもたちの行動はとてつもなく凶悪に見えるし、子どもとは思えないようなことをしているように見えるけど、みな誰かに認められたい、愛されたい、という強い気持ちが根本にあり、大人になりきれない感じが可愛らしかった。あと、言われた言葉を素直に信じて流されるあたりが愛らしかった。特に少年Bが可愛いかった。
ほんとに怖い
松たか子は好きでもないけど
踊る大捜査線の青島の方が好きだ。
72点
人が人を裁くこと
罪に相応しい罰とは?
刑を執行できない相手に、罪の大きさを理解させ、相応の罰を与えるには、どうすれば良いのだろうか?
愛娘の死に直接的に関わった中学生の教え子に、自身が味わった喪失感・絶望感と相応の罰を与えようと、当事者らを精神的に追い込む復讐をしかける話。
遺族は被害者の不条理な死に対して、理性的には受け止めづらいことを考えると、こういう復讐方法もあり得そうで、復讐劇として楽しむことができた。ただ、精神的に成熟しきれていない中学生を精神的に追い詰めるのは、正しいことだったのだろうか。私は度を越してしまっていると思う。観終わった後は、その辺のモヤモヤを解消するのに時間がかかった。
さて、映像として楽しめる映画だったのかという点では、不満が少し残った。松たか子の演技は、絶望感が滲み出いており、とても惹き込まれるものだった。けれど、シーンの作り方やBGMが野暮ったい箇所がいくつかあり、自分としては映像の流れに違和感を感じ、もったいないなかった。
面白かったです
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