告白(2010)のレビュー・感想・評価
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松たか子・木村佳乃という巨塔
アクの強い役をそれぞれに演じるこの2名が、ストーリーの軸を支えている。
岡田将生のズレた胡散臭さも、良い意味で見ていて気持ちが悪い。
松たか子の語りで始まる本作は、個人的にエンディングまでCGや特殊技法に頼らず、語りベースで進めて欲しかった。
各人の視点からのシーン分けに関しては、時間軸等違和感を感じる事は無かったが、最後の爆破シーンでの編集には少し釈然としない感じを受けた。
面白い
冒頭の語りが、気づいたら30分を経っている。だが、まだ聞いていたいあと30分、話していても苦痛ではない。
語りだけでここまで引きつけられたのは初めてだった。
それは松たか子さんの演技力や、発声、纏う空気感全てをものにしているからだと思う。美しいと感じた。
映像に関しては、常に梅雨の曇り空のような色をしていて現実感があった。
殺されるシーンや血飛沫、本来なら目を背けたいようなシーンでも、しっかり魅せてくる演出には、上手いと思った。
子役が何人も出てくるが、棒読みだとか違和感があるような演技はなく、素晴らしかった。
クライマックスのシーンでは、逆周り時計からタイムリープ、CGのような現実味のない映像となり、勿体無かったと思う。
中島哲也監督の素晴らしい演出の新境地
総合85点 ( ストーリー:70点|キャスト:75点|演出:90点|ビジュアル:75点|音楽:75点 )
子供達には子供達の、大人達には大人達のそれぞれの事情とか信念がある。そしてそれが間違っていようが人を傷つけようが関係なく彼らは自分のやりたいことを実行する。1人を除きほぼほぼ登場人物は異常な加害者たちばかりでとち狂っていたし、自分のやりたいことのために暴走していく姿が異様で面白い。北野監督の「アウトレージ」は「登場人物悪人ばかり」が売りだったが、この作品は「登場人物加害者ばかり」。
だがそれ以上に作品を面白くしているのが中島監督の演出だった。この人は「下妻物語」「嫌われ松子の一生」で軽快な演出をしていて世間の注目を集めたし、私も強い印象を抱いた。しかし今回は軽快な演出よりも異様な演出で異様な人々を描き出し、喜劇的演出以外の演出を見せてくれた。静かさに秘められた冷たい狂気を感じさせる演出が気に入ったし、今後はさらに活躍の場を広げてもらいたいという期待感がある。この人は世界に評価される時がくるかもしれない。
物語はいきなり教師が淡々と生徒の前で自分の決め付けた犯罪の真実を語りだすし、その教師が生徒の考えることを把握して事前に爆弾の処理をして、彼が爆弾を起動させた後で電話をしてそれに都合よく電話に出ることが出来るのが変だった。彼女は辞めた学校にも他の大学の研究室にもどうやって自由に入ったのだろうね。彼の行動をこんなにも完全に把握できるなんてCIAの協力でもあるのだろうか。物語の整合性は無理矢理感があった。
それで結局爆弾は本当に爆発したのだろうか、それとも彼の想像の映像なのだろうか。生徒が自分のやったことに衝撃を受けることが大切で実際に爆発したかどうかは問題ではないのかもしれないが、どうなったのか気になる。
とんでもないものを観た
徹底的な復讐劇。
脚本が狂いまくってて衝撃を受けた。最後の最後まで徹底的に復讐して終わるとは思ってなかったので、終わった瞬間はまさに唖然、という感じ。その復讐劇を中心に、その中で様々に歪んだ登場人物たちが各々の心的背景を告白していくのが非常に面白い。
スローモーションが多用され、その瞬間の登場人物の心の機微が色濃く反映された映像だった。
ただ、北原を殺す必要はなかったし、彼女が死んだことによってその告白の意味が中途半端なまま終わってしまった気がする。自分が気付けていないだけで実は彼女が死ぬことに重要性があったとしてもだ、あんなかわいい子殺すな、笑
これは映画なのか。
悪趣味
結局のところ
huluにて。告白を見るのは数年ぶりの二回目で、初めに見たときは単に
【自分で手を下す訳にもいかない、どうにもならない立場の森口先生が全て言葉で言い繕った話】
なのかと思っていました。(牛乳は勿論ブラフ、爆弾も持って行っておらず、ウェルテルの相談も、結果的にそうなったことをあたかも自分が誘導したというように) そして2回目の今回は、ブラフも入ってると思うのですが、「なあんてね」のかかる先が別のところに思えました。
「これが更生の第一歩です→なあんてね、(結局全て嘘だから、こいつが更生する訳がないだろう)
というような、更生と1連の出来事への諦めの思いを含めた「なあんてね」。
それよりは今回は
「なあんてね、(先生っぽいでしょ?)」みたいに聞こえた。
つまり復讐を全く思いとどまることもなく、思う存分精神面(もしくは実際に)から攻撃を果たした結果の達成感を織り交ぜつつかなと。
森口先生の精神面が、以前より酷薄なものに寄っているように感じた。心が荒んでいるのかしら。
アクが強すぎてオススメはできないが、僕は好きです
周りの友人からは批判ばかりされてるのですが、僕は好きです。
小説も読んだんですが、担任が一方的に話すことで情報が得られるホームルームのシーンや、クラス一同の動向を一人の生徒の視線で語る手法を映像で表現するには、あのスピード感、あのダンスなんかは、必然的に必要だったのかと。
そこを読み取れない人からは「なんじゃこれ」と思われるだけなのでしょう。
最後の爆発の心理描写も素晴らしいです。
僕の場合はこのような「なぜこの表現方法なんだ?」と考えながら観るのが楽しかったんですが、我ながら少数派な視点なのかと思います。
それでいて点数は高めなので、みんなはどこで面白さを感じたんだろうと、興味が持てます。
復讐とは
けっこう残酷
松たか子演じる女教師が自身の娘が殺されたことの生徒への告白、復讐が主な中身である。
少年少女たちの心理を同級生・教師・保護者の3方向から揺さぶっていく。また大人たちも保護者であれば自身の子どもからといったように心を揺さぶられている。その結果、殺人やいじめのような事件につながっていくという。
しかし心の動揺は自分の内側から来るものともいえる。自身の身の回りの環境や立場を自分なりに都合よく解釈した結果、それら残酷なものへと発展していくような気がする。映画の中でも「エイズの血液入りの牛乳を飲んでしまったクラスメイトに対する過剰反応」「深刻な状況をあえて騒ぐことによって無理やり隠すクラスメイト」「自身の存在を生き別れた母に認めてもらいたいがためにエスカレートしていく発明」「何とか幼いころのかわいい我が子の姿を忘れることができずエゴを発揮する親」など様々なところで垣間見ることができた。
そんな中、女教師は我が娘殺害の復讐を果たそうとするのだが、ほかの周りの人物と異なり、周りに流され動揺することがない。よく言えば目標達成のために冷静な人間といえるが、悪く言えば人間味の欠ける姿であったような感じがした。
「命」をテーマにした映画であろうが、あまりに映画の中での命の価値が軽すぎて、結局映画の中の世界だし…ということで、女教師が黒板に大きく書いた「命」、に関するメッセージは伝わってこなかった。
しかし、学校教育におけるいじめの構図や家庭環境との問題のつながりなどに問題提起をしてくれるような作品であった。
最後の女教師の「なーんてね」という言葉の内容は明らかになっていないが、少年AかB(どっちか忘れた)が自身の爆発装置の発明で自分の母親を殺してしまったんだという電話での脅しに対してであろう。確か映画の中で、女教師が爆発物を解除したという描写はなかっただろうか…。しかもタイムスリップして爆発している光景を少年が目撃するというのも、映画の中で唯一SFな場面である。結局エイズの血入りの牛乳だって嘘であるのだから、女教師にとっての本当の復讐とは少年たちが自分たちで辛い思いをすることではなかったのだろうか…。女教師がわざといじめを助長させたのも、それ自体が復讐ではなく、それによって少年自身が自らを追い詰めることが目的だったのだろう。
R15指定にしては残酷な描写が多く怖かったのと、残酷さが行き過ぎてメッセージが薄れ、結果として残酷なだけでなんかすっきりせず終わる感じがしたので★3つにした。ただ残酷ながらも飽きずに見続けることができた。ストーリーは面白い。
?な作品だけど最後まで観ると面白い
重いテーマです。怖い。クロユリ団地よりよほど怖い(笑) 橋本愛がか...
この映画は、映像も音楽も内容も、すべてがほぼ満点なんじゃないかと思う。
異常に高い周りの評価と、予告編で見た映像美と、
音楽の迫力につられて観に行きました。
初めは、娘を殺した犯人を捜し出すのかと思ってたら、犯人は序盤に判明。
彼らに対する復讐劇と、登場人物それぞれの心情の告白をもって
ストーリーは進んで行きます。
この映画は、映像も音楽も内容も、すべてがほぼ満点なんじゃないかと思う。
映像:教室の中のほの暗い雰囲気を醸し出す色は、グレースケールのよう。
かと思いきや、突如鮮明に映し出される鮮やかな赤と白の液体が混じり合う映像。
これは、、血?
熱血先生に対しへつらう態度で踊る生徒たちは、すこぶるシュールです。
音楽:特にクラシックが多様されててよかった。ものすごく重いシーンにコミカルな音楽を持ってくることで、目をあてることが出来た。
内容:驚きの連続。みんな異常だけど、もとは普通の人。
少年Aは、母によって異常になった。
少年Bとモリグチ先生は少年Aによって異常になった。
少年Bの母は少年Bによって異常になった。
熱血教師はモリグチ先生によって異常になった。
連鎖。
ドミノが倒れていくように、前の人が後ろに続く人を巻き込んで倒れていく。
結局誰も止めることが出来ない救いのない話です。
この映画、特に委員長の死を持って思うことは、
人って簡単に人を殺せるってこと。
素手でだって、飲み会でのビール瓶でだって、チャンスはすぐそこに潜んでる。
けど、ほとんどの人が実行しないのは人間に理性が備わっているから。
でももし、ホームの最前列で電車を待っている時、
ふと後ろの人の理性がなくなったら。
どん。
それだけで自分は死ぬ。
誰がいつ理性を失うなんて分からないから、
もしかしたら親友が自分を殺すかもしれない。
まぁ、自分が信じた親友なら、それはもう運の問題。
けど、少年Aのように、精神が異常だとわかってる人には、
近付いちゃいけない。
理性がなくなる確率は、他の人に比べて桁違いに高く、
理解しようと思ってはいけない。同情すら自分の首を絞めるようなもの。
死は運のような偶然のものではなく必然的になってしまうからです。
「告白が、あなたの命につきささる。」
監督 中島哲也
2010/6/9@多摩センター
見てよかった
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