「唖然茫然」告白(2010) こめこさんの映画レビュー(感想・評価)
唖然茫然
告白。
当時本屋大賞受賞したとかで騒がれてました。
いつもなら手を伸ばすのですが、告白は未見でした。
でも、後味の悪い小説だ、という噂は聞いていました。
そして、映画化。
あの不幸の連続の重い重い松子の一生をなんとも楽しそうに?映像化した中島監督。
当時CM見て、後味の悪い悪い告白を、今回もそんなライトな感じで映像化したのかな?
とだまされた人がここにいます(汗
あの悪意の塊が、魑魅魍魎がうごめく?映画のワンシーンを切り取って繋げたらあ~んなCMになるんですね!感心しました!
そして、レビューを見てからいくべきだったと初めて後悔しました…。
この日、映画観た後そのまま本屋へ直行し、原作一気読みしました。
もう、中島監督の作ったこの「告白」という映画には何の文句もありません。
役者もベテランも生徒たちもすべて素晴らしい。
本当に見て損はないです。(後悔はするかも)
色々思うところはすべてこの原作にあります。
殺された少女の父親は聖職者として天国へ旅立ちました。
復讐では何も生まれない。生徒は立ち直れる、と。
しかし母親は、そんな父親の思いを全く汲み取るどころか、おそらく死んだ娘も引くくらい、突き抜けた素晴らしい復讐を遂げました。
あの人この復讐遂げてこれからどうやって生きていくつもりなんでしょうか。
目には目を。歯には歯を。しかし、目に針さして、歯をペンチで抜いちゃいました。
中二病の彼らは大人をなめすぎてましたね。
敵に回してこんな怖い大人いません。最強です。
善意の後輩教師も犯人以外の自分の生徒もぜ~んぶ復讐の道具にしちゃいました。
そして、犯人の少年ABの母親はもっとも使える復讐の道具としてしまいました。
色んな人が、彼女の復讐劇のため新たに命を落としました。
死んだ愛娘以上の人間の数ですよ!
映画では原作以上に、人間がモノでしかない、命の軽さが十分伝わってきました。
そして、原作には最後の「な~んてね」がないのです。全く空恐ろしいです。
あの「な~んてね」の一言で、いいようにとらえて映画を観終わることができた人もいるかもしれません。
ラッキーです。
映画の森口先生は、自分に更生云々、などといえる人間ではなくなったことを認識しています。
あの「な~んてね」は私はそう取りました。
原作の森口先生は本気であの復讐が彼の更生の第一歩とか言っちゃってそうなんですよ…。
こんな大人が子どもを育ててたら、死んでしまったかわいいあの子も、もしかしたらきっととんでもないモンスターに育ってしまったかもしれません…。
子どもを殺されたというだけであんなに人間堕ちますかね。
もともと素養があったとしか思えません。すごいです。
とにかく、よくこの小説を映画化しました。あっぱれです。
これを問題作!衝撃!と思える自分は平和なんだと思いました。